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スシローが「回らないすし店」に乗り出すワケ。 業界トップも"ついに"フードコートに初出店

2018-03-22 17:42:38 | 産業・企業情報

スシローが「回らないすし店」に乗り出すワケ

業界トップも"ついに"フードコートに初出店

2018年03月20日    東洋経済
 

回転ずしチェーンで最大手のあきんどスシローが、回らない新業態で勝負に出る。

同社は3月20日、初のフードコート業態「スシローコノミ」を横浜市の商業施設に出店する。店内にはスシローでおなじみの

回転レーンは見当たらない。紙に食べたいネタを記入して店員に渡し、会計をした後に商品が出てくる仕組みだ。


郊外の出店競争は厳しくなるばかり

スシローコノミを出店するのは、20日に横浜駅に隣接する商業施設「ジョイナス」にオープンするフードコート「FOOD&TIME

ISETAN YOKOHAMA」。スシローコノミ以外にも、カフェやイタリアン、ラーメンなど幅広い業態の飲食店が軒を連ね、

130席の共有イートインスペースを設けている。

 

新業態となるスシローコノミでは、最初に6貫、8貫、10貫、12貫の4種類から注文貫数を選択。そしてその数に合うようにスシネタを

選ぶ。すしは1貫60円、100円、200円(いずれも税抜き)と、それぞれの金額のカテゴリーから好きなネタを選ぶ。


それ以外にも、みそ汁といったサイドメニューや、スシローのほかの店舗で注文できるラーメンやうどんなどの麺商品も提供する。

生ビールなどのアルコールやソフトドリンクも、用紙に記入して注文することが可能だ。


スシローがフードコート内に出店するのは今回が初めて。郊外のロードサイドを中心に出店攻勢を続けてきたスシローの店舗数は

現在約490店。昨年9月には島根県に出店し、47都道府県への出店を達成するなど順調に見える。そんなスシローがなぜ今、

フードコートという新たな領域に進出するのか。


「郊外は競合他社も積極的に出店している。競争は厳しい状況だ」。スシローの福田哲也・取締役執行役員はこう危機感をあらわに

する。スシローは年間30~40出店を計画する一方で、競合のくらコーポレーションも年間20出店を継続。そのほかの回転ずし

チェーンも出店を加速するなど、郊外立地の"陣取り合戦"は年々激しさを増している。

 

こうした状況下でスシローは郊外以外への出店に乗り出している。2016年9月には東京・池袋に、2017年5月に東京・五反田に

都心型モデルの回転ずし店舗を出店。今回のフードコート型は、都心型店舗と同様に、郊外とは異なる立地への展開を目指したものだ。

今回、フードコートに出店するにあたり、通常の回転ずしのスシローとは異なる点もある。ネタを入れる業務用冷蔵庫は、

扉タイプではなく、引き出しタイプのものを導入し、ネタを載せやすくするようにした。うどんは通常よりも半分の時間で

ゆであがるゆで麺機を使用し、客の待ち時間を短縮することに力を入れた。

多店舗展開を視野に入れる

商品面では通常店舗で提供する「あぶりもの」の商品を扱わない。火を使うと初期投資がかさむこともあり、今回の店舗では提供

しないことにした。一方で、「生サーモンアボカド」や「えびアボカド」(いずれも税抜きで1貫100円)という手間のかかる商品は、

オペレーション上の観点から反対意見もある中、最終的にメニューに入れ込んだ。


スシローコノミの店舗にはテイクアウトメニューで盛り合わせなど幅広い商品もそろえる


「立地を考えると女性のお客様も多くいらっしゃる。看板商品ということもあり、これだけは外せないということで頑張って入れた」

(山本直幹・事業創造推進部長)


他方、ターミナル駅に隣接する商業施設のフードコートという好立地を考慮すると、当然賃料などは安くないはず。ただ、通常店舗で

働く人員が20~30人に対し、今回のフードコート店はピーク時でも6~7人。「人件費だけではなく、店舗サイズも小さいので初期

投資は大きくない。コストとのバランスをみながら、しっかりと利益が出せるモデルを構築していきたい」(山本部長)。


2号店のフードコートの出店はまだ決まっていないというが、多店舗展開を視野に入れているという。「回らない」新たなスシローの

取り組みは消費者に受け入れられるだろうか。