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GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)、中国恒大への投資額は96.73億円 / 「中国恒大」問題とは?9兆円超す有利子負債を抱える巨大企業、破綻したらどうなる

2021-09-22 05:56:29 | 産業・企業情報

中国最大の不動産デベロッパー恒大集団が倒産間近

 

 

GPIF、中国恒大への投資額は96.73億円

2021年9月21日11:03   REUTERS   午前18時間前更新

 

[東京 21日 ロイター] - 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF:Government Pension

Investment Fund)によると、経営難が表面化している中国の不動産開発大手、中国恒大集団に対する

投資額は、前年度末時点の時価評価で合計96億7301万円だった。

 

内訳は債券が59億0781万円、株式が37億6520万円。債券の中で最も金額が大きいのは24年

4月償還債で、16億2668万円を保有していた。

GPIFの運用資産額は前年度末時点で186兆1624億円。

 

中国恒大の年内の利払い予定額は6億3110万ドル。今月23日にオンショア債2億3200万元、

オフショア債8353万ドルが予定されている。

 

オンショア・オフショア

オンショア市場は、各国の国内金融市場のこと。参加者は自国の金融機関や投資家で、取引ルールはそれぞれの国の規制が適用されます。

これに対して、オフショア市場は、非居住者の金融・証券取引に対して規制や税制面で優遇されている国際金融市場のことです。オフショアは「沖合に」、オンショアは「沿岸の」という意味です。

 


「中国恒大」問題とは?9兆円超す有利子負債を抱える巨大企業、破綻したらどうなる

利益は吐き出すものの消化可能な数字です。金融システムに異常が出るとは思えません」(専門家)


2021年09月17日 16時15分 JST  HUFFPOST   高橋史弥(Fumiya Takahashi)

https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_6142e0f8e4b07ad8c8db3d46

 

ロビーに詰めかけた大勢の投資家たち。あちこちから「金を返せ」と怒号が鳴り響くー。

そんな光景が繰り広げられたのは、中国広東省深セン市にある不動産大手「中国恒大グループ」本社だ。

中国の不動産バブルに乗り、積極的な投資攻勢で成長。海外の有力選手も所属したプロサッカーチーム

「広州恒大」など手広く事業を拡大したが、日本円にして9兆円を超える有利子負債を抱え、経営難に

あえぐ。

なぜ中国不動産業界の雄は苦しんでいるのか。

過熱した不動産バブルはついに崩壊したのか。

破綻が起きた場合、どんな事態が待っているのか。

専門家への取材を元に一から解説する。

 

中国恒大グループ本社前で座り込む女性

 

■投資攻勢で成長

恒大グループは1996年に中国・広州市で創業した不動産開発大手だ。

中国では日本と違い、土地はすべて国が所有することになっている。

 

国は地方政府を通じて恒大のような開発業者などに土地の「使用権」を販売し、業者がマンションなどを

建設。土地の使用権と建物の所有権をセットにして個人や企業へ売るのが一般的な流れだ。地方政府に

とってみれば、この使用権を売り払った収入が貴重な財源になっている。

 

恒大はいわゆる不動産バブルに乗り、銀行などから融資を受けて積極的な投資を続け、2020年には中国

物件販売面積で第2位となった。

 

金の元手は銀行からの借り入れだけではない。資産運用商品である「理財商品」も販売した。

「理財」とは中国語で資産運用を指し、中国恒大に金を貸す代わりに得た債権を金融商品化したものだ。

一般的には短期間で償還され利回りも高いものが多い(つまり、上手くいけば短期間で割りの良い儲けを

得られる)とされるが、元本が保証されないものもある(大和証券)。

 

恒大は投資の対象を不動産事業以外にも広げる。電気自動車やヘルスケア、それに映画制作や日本の

サッカーファンにも耳馴染みのある「広州恒大」などだ。創業者の許家印(きょ・かいん)氏はアメリカ

の経済誌Forbes(中国語版)の長者番付で中国トップに輝いたこともあった。

中国恒大グループ本社(広東省深セン市)


■銀行は不良債権抱えるが...

その恒大は今、負債に苦しんでいる。発表によれば、有利子負債(利子をつけて返すべき負債)は約5718

億元(9.7兆円/21年6月末時点)まで膨らんでいる。

その理由はなぜか。過熱した不動産バブルが弾け価格が暴落したのかといえば、そうではない。

 

中国の不動産市場は活況だった。新型コロナ対策の一環として、政府が金融緩和(市場に出回る金を増やす

効果がある)をすると、投資マネーが不動産市場に流れ込み、コロナ禍にあえぐ中国経済全体の成長を支え

た。

 

一方で中国政府は「住宅は住むものであり、投機の対象ではない」というスローガンを掲げている。

元は習近平国家主席の言葉だ。

 

そこで、不動産投資を抑制する政策を相次いで打ち出しているのだが、依然としてバブルは崩壊していな

い。政府が15日に公表した統計によると、今年1月から8月までに不動産投資に流れた金は、前の年と比べて

10.9%増加。住宅価格自体も、伸び率こそ鈍化しているが上昇しているのだ。

 

「住宅はよく売れている状況です。政府の価格抑制策が悪い方向に影響したとか、バブル崩壊といった

構図ではありません」中国経済に詳しい大和総研の齋藤尚登・主席研究員はそう指摘する。2015年12月

から、中国の住宅価格の平均値は一度も下落していないという(70都市/対前年同月比)。

大和総研の齋藤尚登・主席研究員(2020年3月撮影)

 

では、苦境の原因はどこにあるのか。

「恒大は電気自動車など幅広い事業に手を出しましたが、膨大な初期投資が必要でした。その資金を銀行

やノンバンク、海外で社債を発行することで得たのですが、その後始末に困っているのが現状です。

“野放図に事業を拡大させた巨大民営企業がデフォルトを起こしそう”。それ以上でも以下でもないと

思います」

デフォルトとは債務不履行のこと。利息をつけて返すべき金が払えなくなったり、遅れたりすることで、

齋藤さんは「そうなる可能性は高い」と分析している。 

 

今回の問題で注目されているのは、中国政府の対応だ。国内屈指の不動産大手が経営破綻などに追い込

まれた場合、国内経済全体への影響が危惧される。政府として救済措置を取るかどうかは焦点の一つだ。

 

「安易には救わないと考えます。元はと言えば放漫経営が招いたものですし、経営方針の誤りから

デフォルトが起きるということ自体はどこにでもあります。その度に政府が助け舟を出せばモラル

ハザード(危機意識が薄れること)になります。デフォルトをしたら投資家が責任を被るのは当然で、

(政府に)損失補填を求めるのはおかしい。ハイリスク・ハイリターンなものに投資するということは、

そういうことです」


しかし、仮に経営破綻などに至った場合、その影響は中国経済全体に広がることはないのだろうか。

例えば恒大に金を貸し付けている銀行が多くの不良債権(約束通りの金が支払われず、価値が低下した

債権)を抱え、影響が波及することはないのか。

 

「例えば銀行を見れば、2020年の中国銀行全体の純利益は1.9兆元です。対して恒大の有利子負債は5700億元

で、この中には(銀行が貸主ではない)社債なども含まれます。銀行からすれば、純利益の数割かは吐き

出すものの消化可能な数字です。金融システムに異常が出る(金融危機などに陥ること)とは思えません。

銀行のウエイトが大きい上海総合株価指数の動きを見ても、マーケットは恐ろしい事態の予兆だとは捉えて

いません」

 

しかしその一方で、恒大1社だけの問題とも言えなさそうだ。例えば、不動産価格は下落リスクに晒される。

また、負債率の高い他の不動産開発業者も資金調達がより難しくなる可能性もあるという。


「恒大は不動産を値下げして“投げ売り”していると聞きます。それが価格全体に波及することはあり得ま

す。しかし、大幅な下落が数年続く事態は避けるべきですが、中国では収入の増加よりも早いペースで

住宅ローンの負担が上昇していますから、下がること自体は悪いとは言い切れません」

 

さらに海外の投資家らが保有する米ドル建ての債権についても「デフォルトリスクは高い一方で、過大に

受け取る必要はありません。リーマン・ショックのような時代を変えてしまうようなイメージは全くあり

ません」と指摘した。

 

恒大は13日の声明で破産や再編を「全くのデマ」と否定した一方で、「未曾有の危機にある」と認めた。

今後は、負債を減らすために資産の売却などが加速する見込みだ。

 

 


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