デジタル経済に関する首脳特別イベントの開催
2019/6/28 G20公式ページ
1. 6月28日、午後0時15分から約10分間、G20大阪サミットの機会に、安倍晋三内閣総理大臣が
「デジタル経済に関する首脳特別イベント」を主催し、今回のサミットへの参加国のうち計27か国の
首脳及び世界貿易機関(WTO)をはじめとする参加国際機関の長が出席しました。
2. 本イベントにおいては、これらの国々の首脳が、現在WTOにおいて進められている電子商取引に
関するルール作りに参加する78か国・地域と共に、今後、デジタル経済、特にデータ流通や
電子商取引に関する国際的なルール作りを進めていくプロセスである「大阪トラック」を立ち上げる
旨の「デジタル経済に関する大阪宣言」が発出されました。これにより、78か国・地域が参加を
表明しているWTOでの電子商取引に関する交渉が本格的に進むことが期待されます。
3. 安倍総理大臣からは、「急速に進行するデジタル化の潜在力を最大限活用するには、それに
遅れをとらない、国際的なルールが不可欠」であること、また「デジタル時代の成長の『エンジン』
である、データ流通,電子商取引に関するルール作りは急務」であることを述べた上で、
「大阪トラック」の立上げを宣言し、「データ流通や電子商取引に関する国際的なルール作りを、
スピード感を持って進めていきます」と表明しました。
4. また、本イベントに出席した習近平中国国家主席、ユンカー欧州委員会委員長、トランプ米国大統領、
及びアゼベドWTO事務局長からそれぞれ発言があり、「大阪トラック」の立上げに向けた安倍総理大臣
のイニシアティブに対する歓迎と支持が示されました。
「大阪トラック」創設、安倍首相がG20で宣言
2019/6/28 読売新聞
ワーキングランチ冒頭で発言する安倍首相(28日午後、大阪市住之江区で)=代表撮影
日本が初めて議長国を務める主要20か国・地域(G20)首脳会議が28日、大阪市の
大規模展示場「インテックス大阪」で開幕した。安倍首相は、デジタル経済分野のイベントで、
国境を越えた自由なデータ流通の国際ルールづくりの枠組み「大阪トラック」の創設を宣言した。
データを使ったビジネスに対応する国際ルールの整備を進めていく。首脳会議では世界経済などを
議論し、米中貿易摩擦が及ぼす悪影響への懸念を共有した。
安倍首相はイベントで、「急速に進行するデジタル化の潜在力を最大限活用するためには、
それに後れをとらない国際的なルールが不可欠だ」と述べた。個人情報や知的財産権を保護しながら、
データがスムーズに国境を越えて流通するルールの必要性を強調した。
世界貿易機関(WTO)に加盟する約80の有志国がすでに議論に着手しており、
「大阪トラック」創設の宣言で、交渉が本格化することになる。
トラックには、議論の「枠組み」や「道のり」といった意味がある。
各国は今後、来年6月のWTO閣僚会議までの決着を目指すが、「デジタル覇権」を巡る攻防は、
すでに始まっている。米中は29日の首脳会談を前にさっそく、さや当てを演じた。
イベントの冒頭、中国の習近平(シージンピン)国家主席は、「各国のデータの自主管理権を尊重し、
データの安全と利用を確保する必要がある」と述べた。「自主管理権を尊重」という文言に、
米欧などの干渉を許さずに、中国が擁する人口約14億人のデータを囲い込んで中国政府の意に
沿うように活用したいとの考えがのぞく。
一方、トランプ米大統領は、「データの移転を規制し、プライバシーと知的財産権を侵害する
『ローカライゼーション(地域化)』には反対する」と強調した。国外から中国に進出する
IT企業に自国内でのサーバー設置を義務づけるなど独自の規制を設ける中国をけん制したものだ。
米中対立に多くの国は不安を感じている。世界経済を巡る議論では、米中の貿易摩擦に対する
懸念の表明が相次いだ。会議の冒頭、安倍首相は世界経済について、「下振れリスクの方が大きい。
何よりも、貿易と地政学を巡る緊張が増大している」と指摘。
米中摩擦を念頭に、「貿易制限措置の応酬はどの国の利益にもならない」と訴えた。紛争解決システムの
機能不全が指摘されるWTOの改革も呼びかけた。
首脳会議は2日目の29日、気候変動や環境・エネルギー問題などを話し合い、首脳宣言を採択して
閉幕する。