オピオイド蔓延、トランプ氏が非常事態を宣言。米国
2017.10.27 Fri posted at 13:48 JST CNN
ワシントン(CNN) 米国で処方鎮痛剤「オピオイド」の乱用が蔓延(まんえん)している問題で、トランプ米大統領は26日、
ホワイトハウスで演説し、公衆衛生上の非常事態を宣言した。「われわれはオピオイドの蔓延に終止符を打つ世代になることができる」
としている。
トランプ氏は演説の中で、オピオイドの蔓延について「公衆衛生上の国家的な非常事態だ」と言及。「今起こっているような事態は
誰も見たことがない」と指摘した。
そのうえで、「米国民として、この状況が続くのを容認することはできない。薬物中毒の災厄からわれわれの地域社会を解放すべき
時が来た」などと述べた。
トランプ氏はまた、さらなる取り締まりの必要性を強調。メキシコとの国境に壁を建設する自身の計画を、違法薬物の米国流入を
阻止するための取り組みと結び付けた。「米国内のヘロインの90%は国境の南から流入している」と述べ、国境の壁建設がこの
問題の解決に大きく資するとしている。
ただ一部の専門家は、オピオイドがもともと鎮痛剤として米国内で医師から処方されるものであることを踏まえ、
この問題に対処するうえでの国境の壁の有効性について懐疑的な見方を示している。
トランプ氏はこの数カ月、資金拠出や規模の面でより幅広い命令である国家非常事態の宣言を検討していた。
ただトランプ氏は今回、ハーガン厚生長官代行に対し、公衆衛生法に基づく公衆衛生上の非常事態を宣言するよう指示した。
米国では1999年以来、オピオイドの過剰摂取による死者数が4倍に増加した。2000年から15年にかけては、50万人以上が
薬物の過剰摂取で死亡。この大半がオピオイド絡みだった。
2017.10.27 10:09 Sankei Biz抜粋
「公衆衛生の非常事態」宣言を受け、関係機関を中心に、中毒者が治療を受けやすくしたり、中毒性が低い鎮痛剤の普及を図る。
製薬会社が違法な宣伝を行っていないか取り締まるほか、外国からの違法薬物流入を阻止する。
依存症となった人が違法薬物に手を出すケースも多く、合成薬「フェンタニル」の一種が中国で製造され、米国に流入していると
指摘されてきた。トランプ氏は会見で、中国を名指しし、来月の訪中で「習近平主席と会った際、優先課題として言及する」と述べ、
中国側の対応を求める考えを示した。米国では郵政公社など関係当局で、中国からの郵便物の検査を強化するという。
オピオイドは、ヘロインやモルヒネと同様、ケシに含まれる成分から製造した麻薬の一種。日本では処方が厳しく制限されている。