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【社説】朝鮮半島の危険な時期 。北朝鮮は韓国大統領の窮地と米国の政権移行期に付けこみかねない

2016-11-30 01:50:45 | 北朝鮮

【社説】朝鮮半島の危険な時期

北朝鮮は韓国大統領の窮地と米国の政権移行期に付けこみかねない

2016 年 11 月 29 日 17:26 JST THE WALL STREET JOURNAL

 朝鮮半島は常に物騒だが、向こう数カ月間はとりわけ危険な状態になるだろう。とっぴな動きをしがちで核武装した北朝鮮は裕福な韓国をいまだに欲しがっており、その韓国は大統領の弾劾危機に直面している。しかも米国は政権移行期に入っている。今は米国が超党派で外交を進めるべき時だ。


 韓国の検察当局は、政府関係者の助けを借りて巨大財閥に7000万ドルの拠出を強要したとして朴槿恵(パク・クネ)大統領の友人を起訴した。今回のケースは、現代の企業というより封建時代の領主のように振る舞う財閥の影響力を抑えるために必要な改革につながる可能性がある。民主主義にとっては望ましい動きだ。


 だがこのスキャンダルのために、北朝鮮に対して強硬姿勢をとってきた朴大統領が、残り1年3カ月の任期を全うすべく政治的な延命に気をとられることになる。朴氏の支持率は4%にまで低下し、ソウルでは朴氏の退陣を求める数万人規模の抗議活動が毎週末に行われている。まもなく朴氏の弾劾訴追案が国会で採決される可能性があるうえ、与党議員からも朴氏の追放を支持するとの声が出ている。


 問題は北朝鮮がこれを好機ととらえかねないことである。独裁者の金正恩氏は最良の時であっても予測不可能だ。金氏やその軍隊は、韓国の民主的な議論や説明責任を巡る騒動を弱体化の証しと勘違いしかねない。来年2月に予定されている米韓の合同軍事演習を攻撃や侵攻の口実として利用するかもしれない。


トランプ、オバマ両氏が連携を

 孤立状態にある北朝鮮は米国の政権移行期を好機と誤解する可能性もある。ドナルド・トランプ次期大統領は選挙戦での軽々しい発言で、韓国や日本は自力で防衛すべきであり、駐留米軍の撤退もあり得ると示唆した。だが当選後は発言を後退させ、朴大統領との電話会談では、米国は韓国を防衛するため条約に基づく義務を果たすと述べた。


 政権移行チームは、できればオバマ政権と連携して公式声明を出すのが望ましい。中国に対しては、現況につけ込むようないかなる試みも金正恩政権の終わりと中国国境までの南北統一を意味すると伝えるべきだ。中国はそのメッセージを北朝鮮に伝える必要がある。


 重要なことは誤算と戦争が起こり得る可能性を減らすことだ。過去には実際に戦争が起きた。1950年に当時のディーン・アチソン国務長官が行った演説の中で、不用意に米国の防衛範囲から朝鮮半島を外したため、金氏の祖父が38度線を越えて戦車を韓国側に乗り入れた。


 ほかの全体主義政権と同様に、北朝鮮は軍人らしい勇敢さへの狂信を人々に植え付けている。米国と韓国の軍隊は北朝鮮の軍隊をたちまち壊滅させられるだろうが、ソウルは北朝鮮からの砲撃射程内にあるため、わずか数日の戦闘であったとしてもその被害は壊滅的なものになるだろう。


 世界の独裁者たちは常に米国の新任大統領を試すものだ。トランプ氏が選挙期間中に発した言葉は誤った解釈を招きかねない。同氏は次期政権の要職任命を行いながら国家の安全保障に関してゆっくりと信頼性を築きつつある。トランプ、オバマ両氏は、敵が政権移行期に付けこむような隙を見せてはならない。北朝鮮によるいかなる攻撃も破壊的な反撃に遭うことを明確に示す必要がある。