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比大統領、駐留米軍の撤退を要求 対米関係さらに険悪に?

2016-09-20 16:05:06 | フィリピン

比大統領、駐留米軍の撤退を要求 対米関係さらに険悪に?

2016 年 9 月 13 日 10:28 JST  THE WALL STREET JOURNAL

20世紀初頭の米国植民地時代にフィリピンのイスラム教徒を殺害した米軍の写真を示すドゥテルテ大統領(12日、マニラ)

 【マニラ】フィリピンのドゥテルテ大統領は12日、同国南部に米軍顧問らが巡回駐留していることでイスラム過激派組織アブサヤフの格好の標的になっていると訴え、顧問らの撤収を要求した。


 ドゥテルテ氏は数々の暴言で知られているが、この発言はすでに険悪化しているフィリピンと米国との関係をさらに悪化させる可能性が大きい。

オバマ大統領は先週、ラオスで開催された東アジアサミットを機会にドゥテルテ氏と会談する予定だったが、同氏がオバマ氏を侮辱的な言葉で罵り、米国がかつてフィリピンを植民地支配していたことを非難したことから、会談を取りやめた。

オバマ氏は、ドゥテルテ氏が麻薬取り締まりで人権を侵害していると問題視しており、ドゥテルテ氏がそれに対する反論を展開している中で、この発言が飛び出した。


 ドゥテルテ氏は、公務員の宣誓就任式典で演説した際、「米軍がフィリピンに駐留している限り、決して平和は実現できない」と断じ、「米軍が駐留を続ければ、アブサヤフ掃討作戦の危険性をさらに高める恐れがある」と警告した。治安問題専門家によれば、アブサヤフの戦闘員は約300人と推定されている。

 

 ドゥテルテ氏の発言は同国の政治家から批判を浴びている。元海軍将校のアントニオ・トリラネス上院議員は、ドゥテルテ大統領は感情に流されていると批判した。

同議員は声明で、「大統領は反米感情を基にわが国の安全保障政策を手直しすべきではない」とし、「フィリピンに駐留している米軍特殊部隊は、フィリピン軍の強化や向上に役立っている」と強調した。

 米軍は2002年以降フィリピン南部に巡回駐留し、対アブサヤフ作戦に従事するフィリピン軍への訓練や助言に当たっている。アブサヤフは国際テロ組織アルカイダの系列組織だが、最近になって過激派組織「イスラム国(IS)」への忠誠を宣誓した。

アブサヤフとその同調者は、9月初め南部ダバオ市で発生し14人の犠牲者を出した爆弾テロについて犯行を認めた。同市は、ドゥテルテ氏がかつて市長を務めていた。

 

比南部ダバオで爆発、14人死亡 大統領「テロ行為」


フィリピンのドゥテルテ大統領は暴言を吐いたことでオバマ米大統領との会談を棒に振ってしまった

 米軍は、フィリピン軍と合同のアブサヤフ掃討作戦に、ピーク時には1000人強の兵力を投入していたが、2015年に同作戦は公式に終了した。だが現在も数少ない米軍の顧問や技術支援チームが南部に残留している。


 ドゥテルテ氏は、米国との緊密な関係は重要だとしながらも、米国は過去の行き過ぎた行為について責任があると強く主張している。12日の演説でも、米・スペイン戦争後の20世紀初頭、米軍が行ったフィリピン南部の平定作戦中に、米軍兵士がイスラム教徒の集団墓地を見下ろしている写真を示してから、残留している米軍部隊の撤収を要求した。

 ドゥテルテ氏の報道官は声明で、同氏は米国に対し、フィリピン南部のイスラム教徒に残虐行為を働いたことを償うよう求めていると述べた。ドゥテルテ氏は、米国の過去の蛮行が、アブサヤフがテロ活動を続けている根源的な理由の1つであると指摘した。同報道官は「ドイツはホロコースト(ユダヤ人大虐殺)を悔い償い、日本は占領時代の残虐行為に対し補償した。米国がこの問題に口をつぐんでいるのは、『道義』に背くことだ」と主張した。