大統領選出馬示唆は国連決議に抵触するのではないか? 頻繁な訪韓や「自国びいき」も度々問題視されてきたが…
2016.5.31 12:00 産経新聞
国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長が韓国訪問中に韓国大統領選への出馬の可能性を示唆する
発言をしたことに、「事務総長という職務の中立性」を逸脱しているのではないか、と疑問の声が
上がっている。
国連創設後間もない1946年1月に総会で採択された決議では
「事務総長は多くの政府(加盟国)が持つ機密を共有する友人なのだから、(中略)そうした政 府
(加盟国)の役職に就くことは望ましくない」と、加盟国に対し政府の要職を(退任後の)事務総長に
申し出ないよう求めている。
左派系韓 国紙「ハンキョレ」は、「国連決議も意に介しない国連事務総長の政治発言」と
題した記事で、「任期をまだ7カ月残す現職の国連事務総長の『政治的な動き』 をどう理解
すべきだろうか」と問題提起。
前述の総会決議の規定などから潘氏の発言は「最高位の国際公務員の職分を逸脱したものだ」と指摘した
同紙は別の記事でも「国連の事務総長が大統領候補の最大の資格であるかのように掲げ、自分を過大に
包装している印象を拭えない」と批判した。
潘氏は韓国に毎年のように“里帰り”しているが、今回は訪日をはさんだ約1週間に2度も韓国入り。
国連関係者は「中立性を重んじる事務総長はアジア訪問の 際、日本、中国、韓国をセットにして
バランスを取る慣行があったが、潘氏にはそうした発想はないようだ」と話している。
中立性だけでなく、「自国びいき」も度々問題視されてきた。
複数の国連文書によると、潘氏の就任から1年の時点で、国連事務局に勤務する韓国人職員は
就任前より25%も増えた。
政策決定に直接関与できる最高幹部クラスに限ると2人から5人に増加。娘婿が国連関連組織の
要職に就いたことも知られている。
一方、前任のアナン氏(1997~2006年 ガーナ出身)やガリ氏(1992~96年
エジプト出身)、デ・クエヤル氏(1982~91年 ペルー出身)の下では自国出身の国連幹部
職員数は就任前と同数か減少していた。
「中立こそ、まさに事務総長がよりどころとするものです」と述べ、自国出身者の側近への登用には
極めて慎重だったというデ・クエヤル氏とは対照的だ。
[社説]国連事務総長は大統領候補になる肩書ではない
2016/5/27 ハンギョレ新聞
国連の潘基文事務総長が25日、済州(チェジュ)で開かれた寛勲クラブの懇談会で、来年の大統領選出馬の可能性を強く示唆した。
4・13総選挙後、与党で「潘基文待望論」が急速に広がっている状況で、国連事務総長としての自身の高い認知度と競争力に自信を
にじませた。
しかし、その 自信とは別に、潘氏が果たして私たちが直面している様々な時代のニーズに応える認識と能力を兼ね備えているのか、
徹底した検証を経ねばならない。
まず指摘したいのは、国連事務総長という地位は潘氏個人に与えられたものではないということだ。
「韓国の順番」となった当時の事務総長の地位に、盧武鉉 (ノムヒョン)政権では別の人を考えていていたが、
候補となった人の一身上の都合で、潘氏に変わったのはよく知られている事実だ。
したがって潘氏は、「事 務総長になった」こと自体ではなく、その職務の遂行によって自らの存在価値を証明しなければならない。
ところが「歴代最悪の事務総長の一人」と英経済誌エ コノミストの酷評を挙げずとも、国際社会の評価はあまりよくない。
国連の事務総長が大統領候補の最大の資格であるかのように掲げ、自分を過大に包装してい る印象を拭えないのも、そのためだ。
潘氏は寛勲クラブ懇談会で「国民統合」をことさら強調し、統合を大統領選挙への挑戦のキーワードにする可能性も示唆した。
しかし彼が生涯歩んできた道を 振り返ってみると、国民統合にどれだけ貢献したか首をかしげざるを得ない。
潘氏は彼を国連事務総長に推薦した盧武鉉大統領が死去した当時、弔問にも行か ず、
2、3か月後の2009年8月に済州平和フォーラム講演者として参加した際にも墓参することがなかった。
与党の大統領選候補を念頭にした者としては賢 い政治判断だったかもしれないが、国民統合とは程遠い姿だ。
潘氏は1980年代、ハーバード大学研修生時代に、米国に亡命中の金大中(キムデジュン)元大統領の動向を報告したことについて
も「政府と国家のために 観察・報告しただけだ」と積極的に釈明した。
このような釈明は「魂なき外交公務員」としては素晴らしい言い訳かもしれない。
しかし、当時の悲痛な時代状況 を思うと、大統領になろうとする人にしては、あまりにも時代意識が欠けている。
潘氏が今後乗り越えるべき道は、かなり険しいものになりそうだ。
英誌エコノミスト厳しく批判: 潘基文事務総長=歴代最悪の事務総長の一人
国連に限らず国際機関の役割やその長となったものがどういう事を求められるのか、どういう行動をとるべきか、
それが韓国という国は判っていない。国民は世界大統領になったと浮かれ、潘氏を持ち上げ、潘氏は権力を得たと勘違いした。
過去に学べば道標はあるはずなのに。
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