米司法省は17日、ロシア政府による米大統領選介入疑惑の捜査を指揮する特別検察官に元連邦捜査局(FBI)長官のロバート・モラー氏を任命した。捜査対象には、トランプ大統領陣営とロシア側が共謀したかも含まれる。強力な権限を持つ特別検察官の登場で、「ロシア疑惑」の真相解明は新たな段階に入った。
任命を受けた声明で、トランプ氏は「捜査により私の選挙活動で外国との共謀はなかったことが改めて確認される。結果が早く出ることを望む」と述べた。
司法省は当初、特別検察官の任命に否定的だった。だが、コミー前FBI長官を解任したトランプ氏を野党・民主党が「司法妨害」と非難し、特別検察官の任命を要求。与党・共和党の一部からも真相解明を求める声が上がっていた。
ローゼンスタイン司法副長官は、政権からの独立性が高い特別検察官を任命した理由を「米国民に捜査結果を完全に信頼してもらうため」と声明で述べた。米メディアは司法省がホワイトハウスに相談せず、任命直前に通知したと伝えた。
モラー氏は「私の能力の全てを注ぐ」とコメントした。モラー氏はコミー氏の前任。ブッシュ政権時代の2001年に任命され、通常任期10年を超えオバマ政権下の13年まで務めた。01年の米同時多発テロの捜査も担い、共和、民主両党から評価が高い。
ロシア疑惑を巡っては、16日、トランプ氏が解任前のコミー氏に、ロシア側と不適切な接触で辞任したフリン前大統領補佐官(国家安全保障問題担当)への捜査打ち切りを要請した疑いが浮上。トランプ氏がラブロフ露外相らとの会談時に機密情報を漏らした可能性も浮上した。民主党はトランプ氏弾劾も視野に追及姿勢を強めている。
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