人生エクソダス

なんてことのない日々のこもごもをつらつらと書き連ねたり連ねなかったりする。

ラミレス元監督が投手陣を壊したという説

2021-04-24 21:29:19 | 日記

 四月末現在、横浜DeNAベイスターズはボロ雑巾のように負けている。
 井納も梶谷も巨人に獲られたから?先発ケガ人続発だから?外国人選手の入国手続きでフロントが糞ヘマこいたから?
 理由はいろいろある。

 そんな中で言われるのは、前監督のラミレス氏が先発を過保護にする一方で中継ぎを酷使したからやりくりが崩壊気味だ、ということだ。実際先発がしょっちゅう炎上して2番手以降を出さざるを得ないヤクルト以外では横浜は圧倒的に多い登板率だった。

 事実、日本シリーズの立役者だった三上、田中、須田のうち、三上と田中はリハビリから一軍復帰の目処が立っていないし、須田に至ってはケガによって戦力外、古巣の社会人野球に戻ることになった。

 一方で横浜の中継ぎ陣はとてつもなくタフでもある。パットンは冷蔵庫パンチした以外で怪我はしなかったし、エスコバーや三嶋も長期離脱することなくシーズンを終えている。70試合以上登板しているにもかかわらず、だ。

 こういう意見を言っている人たちは、ラミレス監督が預かったころのベイスターズを忘れているように思う。
 今永が”投げる哲学者”などと言われるほど勝ち運に恵まれなかったり根本的に打ち込まれたりしている中、信頼を寄せていただろう井納は調子が良さそうにしていながら突然爆発炎上したり、山口は糞メンタルをなだめすかす繊細な取り扱いが必要だったり、石田はガラス細工と化していた。
 
はっきり言って先発が6回まで調子よく投げるのも博打だったし、7回まで引っ張るのもまた博打だった。結局翌年の濵口加入に至ってもそこは変わらず、今永濵口がCS日シリと宝石のような活躍をしていたとはいえ、先発のイニング消化の信頼性は低かった。

 先発を引っ張ればせっかく中盤まで有利に試合を進められていたのに逆転され、後半の7回以降のようなたった9回しか失敗できないピンチを招き入れる羽目になる。そうなれば勝ち星は消え、試合に負けリーグの順位が落ちる、という厳然たる事実だけが残る。
 そこには「途中まで調子がよかった」とか下園の選球眼とか、砂金集めしているような良いところ探しをするくらいしか意味がない。

 そしてそれは、【監督】という編成をマネジメントしてチームをより勝たせるという使命を背負った人間からすれば、そんな生温かく選手を見守ることより勝ち星を守ることを命題にするのは当然のことである。ましてDeNAはそろそろ優勝してもいい頃合いだ、ということで「優勝を至上命題にしている」ことを公言している。

 そもそも横浜の監督は人事権が乏しく、コーチに至るまで監督の選ぶ余地はない。これは監督が代わって人事がごっそり入れ替われば長期的な選手やシステムの育成ができなくなる、という球団の意向であり、日ハムを模範としている育成重視の選手運用は球団の是でもある。
 ここにも問題がある。日ハムはここ数年Bクラス常連の凋落気味であり、果たしてそのやり方を参考にしていてうまく行っているんですか、ということ。そして、監督がコーチを選抜していないので結局監督の意向や方針はコーチに伝わらずコーチが話半分なら選手にはもっと伝わらないのではないか、ということだ。監督がコーチの頭上を越えて選手に助言とか指導とかしても評価は少なく、運用で同じ意志を持っていないコーチに対して監督が強行すればスポーツ紙や週刊誌でワンマン独裁的だと謗られる。かといってコーチ任せにした結果育った選手・生き残った選手はどれくらい居ましたか、という話でもある。もちろん国吉のように入団して9年目で開花した存在もいる。しかし国吉の他に誰が居るのか。たいてい戦力外や怪我で一線復帰できていない。

 つまり先発が長いイニングを投げられないのはコーチが選手をうまく育成できていないからであり、投手が長いイニング食えるほど育っていないからであり、もっと言えばそんな用意をした球団のせいである。こと横浜の監督はあてがわれた人員からベストを尽くすしか方法がない。

 ことラミレス氏は巨人の原監督を監督の模範にしているようで、それは政権末期の調子の悪い選手を二軍に落とす速度のあたりからしても、そういう原監督のドラスティックな部分を継承しているように見える。しかし巨人と横浜では後備えの質が段違いであり、結局二軍から上がってきて躍進するシンデレラはいなかった。いたとすれば遂に開花した国吉くらいだろうが、それと引き換えに山崎の調子の悪さが深刻だったため結局層は厚くならなかった。

 野球の解説をしている人たちがぽつぽつ言うのは、もっと辛抱して見守ってほしい、心中するくらいの気持ちで、ということだ。

 しかし、ラミレス氏は果たして切れやすかっただろうか。多くの人の記憶に残るカナダが生んだロマックは、圧倒的な成績の悪さにもかかわらず80打席もの間見守られた。またスランプは一軍で試合に出ることで解消される、という自身の経験に基づいた論理に基づいて、冷温停止してしまった野手に対しても簡単に二軍に落とすようなことはしなかった。
 ちなみにロマックは結局NPBではピッチャーと同レベルの打撃成績のまま日本を去り韓国でプレーすることになり、そこでかなりの好成績を収めた結果、KBOでの成績-NPBでの成績で引き算したものを日本での成績の目安にする”ロマック算”なるスラング誕生のきっかけになり、事実KBOからやってきた元阪神のロサリオはロマック算に近い成績に収まってしまった。

 根本的に監督の仕事はチームに勝利を収めることである。そのために勝負所で采配を振るい少ない勝機を手繰り寄せたり、勝利を盤石にしたりする。心中するつもりで選手に託してほしい、というのはエゴであり博打である。そして一番勘違いしているのは、そういう選手たちはプロの選手であるということである。根本的な話だが、二軍で活躍することで一軍起用の可能性が生まれるわけだから、その期待値が落ちれば二軍でやり直しを要求されるのは、クオリティキープできなかった選手が悪いのであり、そこで腐るのは幼稚な精神性である。

 はっきり言って人員が糞である。
 コーチが多ければいいというものではなく、多くの人間が色々言うせいで迷って自分を見失うことは往々にしてあるが、現状では選手育成やケアのために必要な人員が足りていなうように思う。それはエキスパートがいなくなってFAでやってきた大和が半ばコーチのような支柱になっているあたりからも火の車感が出ている。
 また田中浩康にはとても申し訳ないが、戦力外選手を獲得して「ええのとったわ!」といつまでもやっている感じがある。中井大介にしても、風張蓮にしても、思った以上に活躍してくれたり、やっぱり戦力外だったりというところがある、しかし年俸から考えれば上々、ということをこの数年ずっと繰り返している。補強する気があるのか。

 結局、育つ若手育たない若手で斑模様をつくりつつ支柱になれる年長者はいない、という若手からの突き上げに望みは薄く、大型連敗からの脱出方法を知らない若い人間ばかりなので負けが込めば脆さがでる、打撃で打ち勝てないから得失点差で負けるし、先発投手が抑えきれないから継投で逃げ切りを図らざるをえない。

 根本的に弱兵だったから、勝ち星をむしり取るために強みである中継ぎを運用して勝ちを拾ってきた。そこが批判されるなら、では選手を温存するために負けることを是認するのか、という問題に向き合うべきだろう。選手の年俸は1試合見に行くのに映画館で2本映画を見れるのと同額の金をかけたファンの人たちのチケット代が元になっている。そのファンの人たちの前で、勝利より優先するものがある、という名目でけちな試合を見せることが正しいことなのか、と言いたくなる。

 結局2020年にBクラス落ちをしたことでラミレス氏は責任を取ることになった。確かにパットン先発とか9番投手とか、根強く非難される処方はあった。

 だがこの結果は監督一人だけの責任ではない。

 5回で燃え尽きる先発投手のスタミナのなさが悪い。

 連続性のない打撃にならざるを得ず、クリーンナップの単体火力に頼らざるを得なかった野手陣の打撃の不甲斐なさが悪い。

 けがをしやすかったり、問題解決に乏しい育成陣が悪い。

 戦力外で廃材アートで遊んで根本的な人員のテコ入れを怠った球団が悪い。

 チームが勝てないのはチーム各々の責任だ。

 弱くて、活躍できないのが悪い。

奮起しろ。

ぼんやり戦って、

ぼんやり負けるな。

この数年なんだったんだ。

漫然と過ごしてきたのか、

渇望を思い出せ。



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