2019年のイグノーベル賞が9月13日(日本時間)に発表されました。 心理学賞の受賞者は、ドイツのフリッツ・ストラック(Fritz Strack)。
ストラックは1988年に、口にペンをくわえると、必然的に顔が笑顔になり、気分も幸せになることをユーモラスな実験で発見し、当時は大きな話題となって、「プライミング効果」の実例としても非常に評判になりました。さらには、2002年に心理学者としてノーベル経済学賞を受賞したあのダニエル・カーネマンが、『ファスト&スロー』でこの発見を紹介したのも大きかったのかもしれません。
ところがその後ストラックは、2017年、別の研究者がこの実験を大規模に追試したところ、同じ結果が得られなかったことを報告するに至ります。このイグノーベル賞授賞式でも、ストラック自ら出席し、このことを(わずか2分の時間内で)報告したとのこと。事柄の衝撃の大きさと、ご本人の誠実さとが印象深く私たちの心を打ちます。何より・・・心理学の科学的な実験とはいったい何か!? もちろんこの深い問いが、重く響きを残します。
マシュマロ・テストの顛末に続く、衝撃的なトピックです。
Strack, F., Martin, L. L. &Stepper, S.,1988 Inhibiting and facilitating conditions of the human smile: a nonobtrusive test of the facial feedback hypothesis,in Journal of Personality and Social Psychology, vol.54, no.5, pp.768-777.
Strack, F., 2017 From Data to Truth in Psychological Science. A Personnal Perspective”,in Frontiers in Psychology.
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fpsyg.2017.00702/full
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