★都市出版から、まだ35,000部発行を裏付ける報告なし!
今日現在、まだ発行部数の疑惑が明らかになっていない。目黒区に都市出版から、まだ35,000部発行を裏付ける報告がないのだ。
今回も「目黒区を楽しむ本」(月刊「東京人」11月増刊)の続報だ。前号でお伝えしたように、一番の問題点は、目黒区が1,500万円で契約し35,000部発行することになっているが、実際に発行されたか否かである。
35,000部のうち5,000部を目黒区に納品。残り30,000部について、目黒区は書店に配本されると考えていた。
しかし、「東京人」(都市出版)の発行人・編集長の高橋栄一氏は、ぼくの電話での問い合わせに「配本したのは10,000部弱で、20,000部強は、倉庫と会社にある」旨の回答をしたのは、前号で報告した通りだ。
これでは、目黒区のPRのために、区民のカネで1,500万円もかけて作成委託したのに、PRの役に立っていないじゃないか。そして、本当に20,000部強も残っているのか、現品を確認する必要がある。
★区は発行部数を確認するまで、支払いはしない!
その後、どうなっているのか。
今朝(10月16日)午前9時過ぎ、区の広報課長に電話で確認した。が、まだ「東京人」の発行人・編集長の高橋氏から、35,000部発行したことを証明する回答はないという。
契約金の1,500万円は、まだ支払いはされていない。目黒区としては、発行部数が確認されるまで支払いをしないとしているが、当然のことである。
目黒区は、「東京人」の高橋氏からの返事待ちの状態だ。区としては、今日中に発行を裏付ける返事がなければ、現品確認のためにでかけるとしている。けれど、文書での確認だけではなく、残っている現品の部数確認が必要なのは、改めていうまでもない。
★都市出版の役員リストに意外な人の名前が!
契約書と仕様書を入手したので、それを紹介する。が、その前に発行元の都市出版(株)のホームページを見たら、会社の役員として、下記のリストがあった。
代表取締役社長 高橋栄一
取締役 田中健一
取締役 眞仁田勉
取締役 村田良平
監査役 諸藤潤一
相談役 粕谷一希
この中で、眞仁田勉氏は目黒区に縁のある人だ。眞仁田氏は目黒区在住で、鈴木俊一・東京都知事のときの副知事である。眞仁田氏は、薬師寺・前区長の平成10年に行われた区長選のとき、頼まれて薬師寺後援会の会長をやったが、その後に辞めた。
ネットで調べてみると、眞仁田氏は、目黒区の自民区議から前回の都議選で都議のなった鈴木隆道・都議の都政報告会で、ゲストとして挨拶をしている写真が鈴木都議のホームページに載っていた。
★契約書の内容はこうだ!
それはともかく、「目黒区を楽しむ本」の契約書・仕様書の内容は、いったいどんなことが決められているのか。
まず、契約書だ。
件名:月刊「東京人」(増刊号)作成委託
契約金額: ¥14,999、985
(税抜金額 ¥14,285,700
消費税額 ¥714,285)
契約期間:平成19年6月15日から平成19年9月26日まで
履行場所:企画経営部広報課
支払方法:完了後支払
契約締結日:平成19年6月15日
目黒区契約担当者:目黒区長 青木英二
受託者:会社名 都市出版(株)
代表者 代表取締役 高橋栄一
契約書には、伊東契約課長、横田総務部長、決定権者・佐々木副区長らのハンコが押してある。
★区は契約にある10日以内を過ぎても、部数の検査を行う!
契約条項(委託)は、15条からなるが、委託契約全般について、共通の条項なのだろう。本件に関係のある条項は、第4条2に「検査は契約終了から10日以内に行う」とあることだ。9月26日の契約終了から、すでに10日以上経っている。
都市出版がこの条項をタテにして、10日以上過ぎているのだから現品の部数検査を拒否すると断ることもできそうだ。しかし、区の広報課は、部数を確認するといっておいたので、これからでも部数の検査はできるとしている。
都市出版の「東京人」の田中紀子・増刊編集長が「35,000部は公称であって、35,000部は発行していない」と断言したのだから、その後、勘違いだったと訂正しても、倉庫と会社に残っているという部数の立ち入り検査は絶対に必要だ。それが一番手っ取り早いし、確実な方法だ。
★仕様書は、なんとこんなに杜撰な内容だった!
つぎに仕様書だ。
関係のある個所だけを紹介しておく。
規格:版型 B5版、ページ数 128ページ程度、色刷り:単色刷り、一部4色
目的:平成19年は、区政施行75周年に当るので、改めて区民が地域に愛着を持ち、誇りを持って住み続けたいと思っていただくために、また、区の個性や文化の「目黒区の魅力」として内外に発信し、区外の方にも目黒区の魅力をPRすることを目的として、月刊「東京人」(増刊号)の作成を委託する。
目的を読むと、もっともらしく美辞麗句を並べている。が、「東京人」増刊号の
「目黒区を楽しむ本」のどこにも区政施行75周年の文字はないし、発行するに当り、費用全額1,500万円を目黒区が負担していることも記載されていないのは、どういうことだ。
目黒区の自由が丘、中目黒を特集した雑誌、ムック(マガジンとブックの合成語、「目黒区を楽しむ本」もこれだ)なら、書店の店頭にズラリを並んでいるのは、ご存知の通り。それらと変りがないどころか、すでに市販されているそっちのほうが出来がいいよ。
★なぜ、区はホームページ、区報で告知しないのか!
また、すでに10月10日に発行されているのに、目黒区ホームページにも何ら告知されていない。それだけではない。「めぐろ区報」にも告知されていないのだ。秘密出版ではあるまいし、「目黒区の魅力」を内外に発信するためにカネをかけて作ったのに、それはないだろう。
★部数確認の方法を決めてなかった!
仕様書の委託内容では、企画、取材、編集、レイアウトなどについて、決めている。
問題なのは、「発行」に関してだ。月刊「東京人」(増刊号)を以下の通り発行するとして、
(1)初版本 35,000部 内5,000部は、区に納品する。
納入場所:目黒区総合庁舎4階 企画経営部広報課
(2)販売 納入分以外
販売期間:1年間
販売場所:首都圏(都内中心)・全国都道府県 目黒区の書店・JR駅売店等
販売価格:700円(税込み)
本契約終了後、一年の間に増刷する場合は、受託者と区が協議して行うこととする。区は、特別な理由がない限り、増刷を認めることとする。
ご覧のように簡単なことした決めていない。これでは、仕様書とはいえまい。35,000部のうち区に納入した5,000部はいいとして、それ以外の30,000部についての販売、配本方法について、何ら記載がないのだ。だから、10,000部弱しか配本しないというおかしなことになったのだ。
それよりも区納品分以外については、先方の都市出版まかせなのに、印刷、発行部数の確認方法の取り決めをしなかったのかどうしてか。
また、1,500万円もかけて目黒区をPRするというのに、肝心な配本についての取り決めをしていないのだ。目黒区は、30,000部全部を書店等に配本すると思っていたが、仕様書では配本の取り決めないので、「10,000部弱の配本でも契約違反ではない」と突っぱねたら、それまでである。なぜ、こんな杜撰(ずさん)な契約をしたのか。それが問題だ。
★販売期間:1年間とあるが、これも疑問あり!
販売期間:1年間というのも出版界の常識ではない。ぼくが、田中・増刊編集長に確認したときは、書店におくのは2ヶ月だといった。また、発行人・編集長の高橋氏は、1週間で返品する書店もあれば6ヶ月間店頭におく書店もあるといった。
表紙に「東京人」2007年11月増刊と印刷された「目黒区を楽しむ本」を、書店やJR売店が自動的に1年間も店頭におくことはない。出版界は、書籍も雑誌も買い取り制ではなく、委託制が原則だ。が、書店は6ヶ月以上店頭においたら、売れなくても請求書がきて、支払いをしなければないない。
そうしたことを検討せず、販売期間:1年間としたのは、どうしてなのか。目黒区が知らなければ、出版社のほうで説明するのがビジネスの常識だ。
目黒区が制作費全額1,500万円を払うのに、おかしなことに販売分の収入は全額、都市出版のものになる。けれど、仕様書では単に「販売 納入分以外」とあるだけで、分配方法などは何も決めていないのである。目黒区は、みすみす損をしたのだ。
以上見てきたように、盲点だらけの仕様書であり、考えられない契約である。
この項、まだ続く。
(10月16日午後12:40更新)
今日現在、まだ発行部数の疑惑が明らかになっていない。目黒区に都市出版から、まだ35,000部発行を裏付ける報告がないのだ。
今回も「目黒区を楽しむ本」(月刊「東京人」11月増刊)の続報だ。前号でお伝えしたように、一番の問題点は、目黒区が1,500万円で契約し35,000部発行することになっているが、実際に発行されたか否かである。
35,000部のうち5,000部を目黒区に納品。残り30,000部について、目黒区は書店に配本されると考えていた。
しかし、「東京人」(都市出版)の発行人・編集長の高橋栄一氏は、ぼくの電話での問い合わせに「配本したのは10,000部弱で、20,000部強は、倉庫と会社にある」旨の回答をしたのは、前号で報告した通りだ。
これでは、目黒区のPRのために、区民のカネで1,500万円もかけて作成委託したのに、PRの役に立っていないじゃないか。そして、本当に20,000部強も残っているのか、現品を確認する必要がある。
★区は発行部数を確認するまで、支払いはしない!
その後、どうなっているのか。
今朝(10月16日)午前9時過ぎ、区の広報課長に電話で確認した。が、まだ「東京人」の発行人・編集長の高橋氏から、35,000部発行したことを証明する回答はないという。
契約金の1,500万円は、まだ支払いはされていない。目黒区としては、発行部数が確認されるまで支払いをしないとしているが、当然のことである。
目黒区は、「東京人」の高橋氏からの返事待ちの状態だ。区としては、今日中に発行を裏付ける返事がなければ、現品確認のためにでかけるとしている。けれど、文書での確認だけではなく、残っている現品の部数確認が必要なのは、改めていうまでもない。
★都市出版の役員リストに意外な人の名前が!
契約書と仕様書を入手したので、それを紹介する。が、その前に発行元の都市出版(株)のホームページを見たら、会社の役員として、下記のリストがあった。
代表取締役社長 高橋栄一
取締役 田中健一
取締役 眞仁田勉
取締役 村田良平
監査役 諸藤潤一
相談役 粕谷一希
この中で、眞仁田勉氏は目黒区に縁のある人だ。眞仁田氏は目黒区在住で、鈴木俊一・東京都知事のときの副知事である。眞仁田氏は、薬師寺・前区長の平成10年に行われた区長選のとき、頼まれて薬師寺後援会の会長をやったが、その後に辞めた。
ネットで調べてみると、眞仁田氏は、目黒区の自民区議から前回の都議選で都議のなった鈴木隆道・都議の都政報告会で、ゲストとして挨拶をしている写真が鈴木都議のホームページに載っていた。
★契約書の内容はこうだ!
それはともかく、「目黒区を楽しむ本」の契約書・仕様書の内容は、いったいどんなことが決められているのか。
まず、契約書だ。
件名:月刊「東京人」(増刊号)作成委託
契約金額: ¥14,999、985
(税抜金額 ¥14,285,700
消費税額 ¥714,285)
契約期間:平成19年6月15日から平成19年9月26日まで
履行場所:企画経営部広報課
支払方法:完了後支払
契約締結日:平成19年6月15日
目黒区契約担当者:目黒区長 青木英二
受託者:会社名 都市出版(株)
代表者 代表取締役 高橋栄一
契約書には、伊東契約課長、横田総務部長、決定権者・佐々木副区長らのハンコが押してある。
★区は契約にある10日以内を過ぎても、部数の検査を行う!
契約条項(委託)は、15条からなるが、委託契約全般について、共通の条項なのだろう。本件に関係のある条項は、第4条2に「検査は契約終了から10日以内に行う」とあることだ。9月26日の契約終了から、すでに10日以上経っている。
都市出版がこの条項をタテにして、10日以上過ぎているのだから現品の部数検査を拒否すると断ることもできそうだ。しかし、区の広報課は、部数を確認するといっておいたので、これからでも部数の検査はできるとしている。
都市出版の「東京人」の田中紀子・増刊編集長が「35,000部は公称であって、35,000部は発行していない」と断言したのだから、その後、勘違いだったと訂正しても、倉庫と会社に残っているという部数の立ち入り検査は絶対に必要だ。それが一番手っ取り早いし、確実な方法だ。
★仕様書は、なんとこんなに杜撰な内容だった!
つぎに仕様書だ。
関係のある個所だけを紹介しておく。
規格:版型 B5版、ページ数 128ページ程度、色刷り:単色刷り、一部4色
目的:平成19年は、区政施行75周年に当るので、改めて区民が地域に愛着を持ち、誇りを持って住み続けたいと思っていただくために、また、区の個性や文化の「目黒区の魅力」として内外に発信し、区外の方にも目黒区の魅力をPRすることを目的として、月刊「東京人」(増刊号)の作成を委託する。
目的を読むと、もっともらしく美辞麗句を並べている。が、「東京人」増刊号の
「目黒区を楽しむ本」のどこにも区政施行75周年の文字はないし、発行するに当り、費用全額1,500万円を目黒区が負担していることも記載されていないのは、どういうことだ。
目黒区の自由が丘、中目黒を特集した雑誌、ムック(マガジンとブックの合成語、「目黒区を楽しむ本」もこれだ)なら、書店の店頭にズラリを並んでいるのは、ご存知の通り。それらと変りがないどころか、すでに市販されているそっちのほうが出来がいいよ。
★なぜ、区はホームページ、区報で告知しないのか!
また、すでに10月10日に発行されているのに、目黒区ホームページにも何ら告知されていない。それだけではない。「めぐろ区報」にも告知されていないのだ。秘密出版ではあるまいし、「目黒区の魅力」を内外に発信するためにカネをかけて作ったのに、それはないだろう。
★部数確認の方法を決めてなかった!
仕様書の委託内容では、企画、取材、編集、レイアウトなどについて、決めている。
問題なのは、「発行」に関してだ。月刊「東京人」(増刊号)を以下の通り発行するとして、
(1)初版本 35,000部 内5,000部は、区に納品する。
納入場所:目黒区総合庁舎4階 企画経営部広報課
(2)販売 納入分以外
販売期間:1年間
販売場所:首都圏(都内中心)・全国都道府県 目黒区の書店・JR駅売店等
販売価格:700円(税込み)
本契約終了後、一年の間に増刷する場合は、受託者と区が協議して行うこととする。区は、特別な理由がない限り、増刷を認めることとする。
ご覧のように簡単なことした決めていない。これでは、仕様書とはいえまい。35,000部のうち区に納入した5,000部はいいとして、それ以外の30,000部についての販売、配本方法について、何ら記載がないのだ。だから、10,000部弱しか配本しないというおかしなことになったのだ。
それよりも区納品分以外については、先方の都市出版まかせなのに、印刷、発行部数の確認方法の取り決めをしなかったのかどうしてか。
また、1,500万円もかけて目黒区をPRするというのに、肝心な配本についての取り決めをしていないのだ。目黒区は、30,000部全部を書店等に配本すると思っていたが、仕様書では配本の取り決めないので、「10,000部弱の配本でも契約違反ではない」と突っぱねたら、それまでである。なぜ、こんな杜撰(ずさん)な契約をしたのか。それが問題だ。
★販売期間:1年間とあるが、これも疑問あり!
販売期間:1年間というのも出版界の常識ではない。ぼくが、田中・増刊編集長に確認したときは、書店におくのは2ヶ月だといった。また、発行人・編集長の高橋氏は、1週間で返品する書店もあれば6ヶ月間店頭におく書店もあるといった。
表紙に「東京人」2007年11月増刊と印刷された「目黒区を楽しむ本」を、書店やJR売店が自動的に1年間も店頭におくことはない。出版界は、書籍も雑誌も買い取り制ではなく、委託制が原則だ。が、書店は6ヶ月以上店頭においたら、売れなくても請求書がきて、支払いをしなければないない。
そうしたことを検討せず、販売期間:1年間としたのは、どうしてなのか。目黒区が知らなければ、出版社のほうで説明するのがビジネスの常識だ。
目黒区が制作費全額1,500万円を払うのに、おかしなことに販売分の収入は全額、都市出版のものになる。けれど、仕様書では単に「販売 納入分以外」とあるだけで、分配方法などは何も決めていないのである。目黒区は、みすみす損をしたのだ。
以上見てきたように、盲点だらけの仕様書であり、考えられない契約である。
この項、まだ続く。
(10月16日午後12:40更新)