須藤甚一郎ウィークリーニュース!

目黒区議会議員・ジャーナリスト須藤甚一郎のウィークリーニュースです。

432号 区民住宅が、朝鮮総連本部の不正の舞台に!?&区がコムスン不正を委員会に報告

2007-06-14 | 記 事
★目黒の区民住宅が、総連本部の不正取引の舞台に!?

「目黒区の区民住宅が、朝鮮総連本部の怪しげな取引の舞台になっているのか」って、昨日、ひと騒ぎがあったのだ。
今朝(6月14日)も新聞・テレビは、朝鮮総連本部(千代田区)の土地・建物の怪しげな売買について取り上げている。緒方重威(しげたけ)元公安調査庁長官(73)が社長の投資顧問会社「ハーベスト」(目黒区柿の木坂)が、土地・建物を35億円で買ったことになっている。

昨日夕方、東京地検は公正証書原本不実記載の容疑で、緒方氏の自宅(「ハーベスト」本店は自宅と同じ)を家宅捜索したと報道されている。
ニュースサイト「J-CIA」が、いち早く「ハーベスト」の会社登記簿の写しを入手し公開した。
それによれば、緒方氏の自宅と「ハーベスト」本店が、目黒区柿の木坂1-32-15となっている。その住所には、目黒区の区民住宅「柿の木坂森戸マンション」(5階建て)がある。問題発覚当時、森戸マンションと映していたテレビのニュースもあったそうだ。

★区民住宅マンションの住所が、元公安調査庁官の自宅と同じ!

区民住宅は、区が借り上げて区民に貸していて、区が家賃の一部を負担しているわけだ。その区民住宅を住居以外の目的で使用するのは、違反だよ。目黒区立区民住宅条例第27条4で「区民住宅の一部を住宅以外の用途に使用するとき」は、区長の許可を受けなければならない、となっている。

ぼくは、昨日、生活福祉委員会が終了したあとに、区の住宅・街づくりセンターに確認の電話をするいっぽう柿の木坂の現場へ向かった。
現場は、目黒キャンパス(都立大学跡)の区民斎場の角から都立大学駅方面に向かって、1本目の路地を左に曲がった所だ。

現場に到着する直前に、担当係長からぼくの携帯に連絡があって「区民住宅の森戸マンションには、緒方という人は住んでいない。住宅地図で確認したら、森戸マンション前の路地を挟んだ向かい側の同じ住所に、一戸建てで緒方という家があります」といった。
携帯で担当係長としゃべりながら、歩いて調べてみると、確かに森戸マンションの向かい側一角の5~6軒が、すべて柿の木坂1-32-15だ。

★同じ住所の枝番号に数軒が、なぜ、あるのか!

で、幅4メートルほどの私道の突き当たりの家に“緒方”という表札があった。結局、森戸マンションと同じ住所の緒方氏の自宅に「ハーベスト」本店が登記されていたのが判明した。
けれど、普通は1-32-15の枝番号にあたる“15”には、1軒しかないのだが、なぜか5~6軒あるために、混乱したわけだ。かつて大きな敷地があり、住所の枝番号をつけたあと、その場所にマンションと複数の戸建ての家ができたが、住所がそのままになっているのだろう。

ぼくが緒方氏の家を確認し、デジカメで写真を撮ったのは、午後5時少し前だった。が、家宅捜索をしている様子はなかったよ。外にそれらしいクルマもないし、捜査員らしい人影もなかった。そのあとに家宅捜索が行われたのかも。

★目黒区議会の常任委員会に、コムスンの不正の報告があった!

きのう(6月13日)、ぼくが所属する区議会の常任委員会・生活福祉委員会が、午前10時から午後3時まで開かれた。その中で、コムスンに関しての報告が区側からあった。その概要をお伝えしよう。
まあ、結論から先にいえば、目黒区はコムスンのとんでもない不正行為を深刻に受け止めていないということだ。

報告資料の表題は「介護サービス事業者の不正行為に対する対応について」だ。不正行為をやったのは、株式会社コムスンなのだから、「介護サービス事業者の不正行為」などとわざわざボカす必要はない。なぜ、そんな表題にするのか。
報告の内容は、まず経緯。
その一節に「改正介護保険法では、事業所の指定について6年毎の更新制度があり、今回の場合は、コムスンは、当該事業所を含めたすべての同種事業所の指定と更新を受けられない」とある。

★介護保険課長が、なんと「6年毎」を「6年まい」と誤読した!

介護保険課長が、報告するときに上記引用の一節を音読した。ぼくはそれを聞いていて「6年まいの更新制度があり」と読んだので、何のことかと資料を見ると「6年毎」とあるじゃないか。
「6年毎」を「6年ごと」と読まずに「6年まい」と読んだのだ。あきれた話だよ。資料を自分で作らないから、こんな考えられない誤読をするのだろう。仮りに部下に作らせたとしても、報告するのに事前に目を通してないからだ。

ぼくは質疑するとき、その誤読について指摘した。すると、介護保険課長の上司の加藤芳照・健康福祉部長が「毎を“まい”と読んだだけですから」などと擁護していた。が、冗談じゃない。内容を理解していないから、そんなマチガイを犯すのだ。

★区が報告したコムスンへの今後の対応はこれだ!

コムスンの目黒区内事業所と利用者数、今後の対応は、
(1) 地域密着型サービス:認知症グループホーム・・1か所・12人
(2) その他の区内介護保険サービス事業所
① 訪問介護1か所②居宅介護支援1か所③訪問介護・居宅介護支援2か所④通所介護1か所
(3) 利用者数:区内事業者延べ459人・区外事業所227人・計686人(1人で複数サービスを利用している者がいるので、実数は530人位だという)
(4) 障害福祉サービス等に係る状況:19年4月現在利用者数26人(内訳:居宅介護24人、重度訪問介護1人、移動支援1人)、事業所6か所

「今後の対応」は、
(1) 区長が指定権限を有する地域密着型サービス(認知症高齢者グループホーム「コムスンのほほえみ都立大学」)については昨年度に続き、指定基準に違反していないかの実地指導等を行う。
(2) 事業の一定期間の継続や、他事業者への円滑な引継ぎと利用者への丁寧な説明について指導していく。
(3) また、当面、①利用者のサービス継続の確保②事業者を変更したい場合のケアマネジャーをはじめとする他事業者への協力等を行っていく。

★区はコムスンの現状を把握していない!

以上の資料を一読して、今後、区はコムスンの不正行為について、どうするのかわかりますか。わからないですよね。まして、現在コムスンのサービスを受けている本人や家族の不安解消になるかといえば、まったくならないはずだ。
課長は、口頭でコムスンの事業責任者、区内責任者を呼んで話し合ったと説明した。

で、ぼくは、区側の説明を聞いてから質疑をした。今後の対応の(1)は、当然のことだから、やるのは当たり前だ。不正をやったコムスンなのだから、徹底的にやることだ。

(2)(3)は、こんなこといったところで、コムスン会長の折口はテレビに出演して、コムスンを譲渡すると公言しており、実効性を確保できる保証はない。
課長が口頭で、昨日の昼のNHKニュースでやっていたコムスンの夜間訪問介護の一部をすでに他社に譲渡したケースを報告した。

今朝の新聞では、コムスンの親会社であるグッドウィルグループは、コムスンをはじめ介護関連6社すべてを7月末までに、外部に譲渡すると発表した。
ことほどさように事態は急変しているのに、区は新聞・テレビのニュースさえちゃんと把握していないと思える答弁を繰り返し、流動的だからと弁解するだけだったよ。こんなことでどうする。

★区の介護ガイドブックのコムスンのでかい広告が!

つぎにぼくは、前号で触れた今年4月から区が配布している「介護サービス事業者ガイドブック」について質疑した。この「ハートページ」2007年・目黒区(無料配布、フリーぺーパー)と称するガイドブックが、大変なシロモノでコムスンの広告がもっともらしく、2ページにわたりカラー印刷で、デカデカと載っており、あたかも目黒がコムスンを推薦していると誤解されても仕方がない。

表紙には、大きな活字で「監修/指定居宅介護事業者目黒連絡会 事業者情報提供・編集協力/目黒区介護保険課」と印刷されている。情報提供・編集協力とあれば、目黒区の介護保険課が中心になって、このガイドブックを作ったと誰でもが思うのは当然だよ。
「ハートページ」の発行は、ハートぺージ株式会社だ。平成17年には区が107万円(広告収入11万円)をかけて作成したという。

今年4月から配布しているが、昨年12月初旬には「読売新聞」が、コムスンが不正容疑で東京都の監査をうけているという記事を掲載した。すでにコムスンが怪しいとわかりかけていたのだ。コムスンは「事実無根だ!」と抗議し開き直ったが、あとで「読売新聞」に謝罪し、抗議文をホームページから削除」している。ぼくは質疑で、そのこともいっておいた。
編集協力しているのなら、コムスンの広告を掲載させないことも可能であった。が、それをしなかったのは怠慢であり、利用者に迷惑をかけたわけだ。

★健康福祉部長が「行政の責任でつくることになったいない」と!

コムスンのデカデカの広告について、介護保険課長は「ある程度やむを得ない」と答弁した。これは、広告のスポンサーはカネだけ出せば、インチキ会社であっても、区が無料で配布する事業者名簿にデカデカを掲載するというこだと。ある程度なんかではない。

その後で、加藤・健康福祉部長が、考えられない答弁が飛び出した。介護サービス事業者名簿について、加藤部長は「行政の責任でつくることになっていない」答弁したのだ。その瞬間、副区長や他の部課長が、アレッという表情をしたのが見えた。「違う」という顔つきで首を横に振る者もいたよ。
当たり前だよ。

即座にぼくはこう攻めた。「それならば、なぜ、これまで介護保険制度が導入されてから6年も7年も、区はわざわざカネを遣って事業者名簿をつくってきたのか。「行政の責任でつくることになってない」のならば、業者につくらせばいいじゃないか!」
行政の責任でつくることになっていないのに、行政の責任とカネでつくってきたのは、ムダ遣いそのものだとぼくは追及した。すると、加藤部長は最後に、答弁と訂正すると発言して、必ずしも行政のカネでつくることにはなっていないという趣旨だったと詭弁を弄して言い訳をした。

目黒区介護保険課が、編集協力したというが、目黒区独自の情報は124ページ中わずか数ページだけ。あとはコムスン、ワタミなどの派手な広告と業者の名簿だ。タダでつくってもらえるのだから、と利用者の区民に配布するのに業者にお任せだったのだろう。
タダできたとしても、インチキなコムスンの広告が派手に掲載されているガイドブック、業者名簿をつくって利用者の判断を誤らせた責任は重い。

★区はこれからも配布する!コムスンを剥ぎ取れ!

現在もまだ、この問題のガイドブック、業者名簿「ハートページ」を目黒区は、区民に配布しているのだ。グッドウィルグループとコムスンの会長である折口は、すでに不正を認め、介護関連事業すべてを7月末までに外部に譲渡すると発表しているのだ。

これからも配布し続けるのか、と加藤部長に質問したら「配布することが、著しく正義に反することにはならない」などといい、配布するといった。不正行為を認めて介護事業から撤退するコムスンの広告が掲載されたガイドブックに、これほど擁護する擁護する理由は何なのか。
配布するのなら、コムスンの広告ページを剥ぎ取ったらどうか。

★なんと「週刊新潮」がコムスン・折口を記事にせず!

前号で「週刊新潮」のコムスンとタイアップのグラビア企画「介護最前線」に」ついて書いた。きょう発売の「週刊新潮」を買って、腰が抜けるほどびっくりしたよ。というのは、この1週間の最大のネタ、しかも「週刊新潮」好みのスキャンダルであるグッドウィルグループ、コムスンの会長・折口に関して、1行の記事もないのだ。

こんなことは、「週刊新潮」50年の歴史で初めだよ。「週刊新潮」の魅力は、相手が総理であれ、マル暴関係であれ、是々非々で徹底的に暴くことにある。
ところが、コムスンとタイアップの広告企画の連載をやってきたからといって、手心を加える必要はどこにもないよ。今週号の「介護最前線」の記事の最後に(了)とあるので、連載はこれで終わりだ。で、いつもコムスンの縦三分の一の広告があった個所には、新潮社の自社広告である新潮選書の広告が載っている。

競争誌の「週刊文春」は、折口ネタでグラビア5ページ、記事10ページの大特集を組んでいる。
「週刊新潮」は、義理堅いといえば、そのとおりだが、広告のタイアップをしてきたのは事実だが、不正行為が露見したのだから、ガンガンやるべきだった。「週刊新潮」は、今回のことがキッカケで、50年間かけ築いてきた信用がガタ落ちになるかもしれないよ。(6月14日17:00更新) 

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