須藤甚一郎ウィークリーニュース!

目黒区議会議員・ジャーナリスト須藤甚一郎のウィークリーニュースです。

433号 渋谷の爆発事故、危険なのは天然ガスだけではない!&一般質問で指定管理者を!

2007-06-20 | 記 事
★爆発事故の危険性は、天然ガスだけではない!

恐ろしい爆発事故だ。渋谷松涛の女性専用の温泉施設で起きた爆発事故は、人災だよ。人間の無知、不注意が招いた悲惨な事故だ。
きのうからテレビのニュース、ワイドショーで爆発事故を報道しているので、それを片っぱしから見ている。が、肝心なことを伝えていない。地下から温泉を汲み上げるとき、温水に混じってでてくるメタンガスなどの天然ガスが危険であるように、テレビでは伝えているよ。でも、爆発する危険性は、都市ガス、プロパンガス、そしてガソリンでも同じなのだ。

ぼくは週刊誌記者、テレビリポーターとして、いくつかのガス爆発事故を取材してきたので、多少の予備知識がある。
あれは1970年(昭和45年)4月、大阪で万国博覧会がはじまったばかりのときだった。大阪の地下鉄工事現場で、ガス漏れによる大規模なガス爆発事故があり、何十人もの市民が巻き添えをくって亡くなった。事故発生を知って、ぼくは週刊誌記者として、東京から現場に駆け取材をした。

事故は、工事現場の広い道路で夕方、大きな火柱が立ち、その周りに近所のおとなや子どもが集まって火柱を見ていたとき、地下の工事現場で爆発が起きたという。
現場に駆けつけてみて驚いた。

現場の道路は、目黒通りほどの広さで、地下で工事をしていたので、100メートル以上にわたり、路上にタタミ1畳ぐらいの厚い鉄板が敷き詰められていた。それが爆風で吹っ飛び、幅約20メートル×長さ約100メートルの深い工事溝がむき出しになったのだから、強烈な爆風だ。
道路の両側の建物は、鉄板の直撃で壁が壊れたり、爆風ですべての窓ガラスが割れたりして、さながら空爆をうけた状態だった。きのうの渋谷の爆発現場とそっくりだったが、もっと大規模だった。

★気をつけよう!ガソリンでも爆発する!

なぜ、こんな大事故になったのか。当時、専門家の話を聞いた。
可燃性のガスは、多いときには燃える。最初に火柱が立ったのは、これだった。しかし、可燃性のガスが少量、空気と混じった状態で引火すると爆発する。その専門家は、自動車を例にして説明してくれた。教習所の構造の講義で、エンジンの機能について、「吸入→圧縮→爆発→廃棄」と教える。その原理でクルマが走る。

つまり、ガソリン少量を空気と混ぜて吸入し、圧縮して点火して爆発させるのだ。ガソリンは爆発物ではないが、少量を気化して空気と混ぜると爆発する。必ずしも気化した状態ではなくても、爆発が起きる。石炭の炭鉱の炭塵(たんじん、石炭の微小な粒)爆発がそうだという。石炭が主要なエネルギー源だったときは、あちこちの炭鉱で炭塵爆発が起きた。
専門家が、そういうことを説明してくれたのを、いまでも憶えている。
昨日、きょうの報道では、天然ガスだけが危険であるかのように伝えているのは、正確ではない。

20年以上前には、静岡の駅ビルでガス漏れによる大きな爆発事故があった。一次爆発があり、消火にあたっていた消防士など多くの方が、そのあとの二次爆発で亡くなった。その爆発事故も都市ガスが少量漏れて、爆発点に達して、何かの原因で引火したためだった。

★商業地、住宅街に温泉施設をつくるなんて!

静岡駅ビルの爆発の少しあとだった。友人の放送作家が、駒沢の国立第二病院(現・東京医療センター)で急死し、訪ねた。正面入り口にでたとき、病院の真ん前にある新築中のマンションの最上階で、「ドカーン!」と大爆発。病院の窓ガラスにヒビが入った。ぼくは検査室のカメラを借りて、爆発現場を撮影して、夕方のニュースで放送した。
新築中に都市ガスが漏れて爆発したのだ。

数年前には、ビル内の事務所にガソリンをまいて、火をつけるつもりが、大爆発になった事件があった。ガソリンが気化し事務所内に広がったため、爆発したのだ。
今朝のフジテレビ「とくダネ!」に温泉学の専門家が生出演し、今回の爆発事故について「天然ガスが、室内で爆発する下限量に達して、何らかの原因で引火し、爆発したのでしょう」とコメントしていた。

確かに、その通りなのだが、可燃性ガスが少量だけ空気と混じった場合には、燃えるのではなく、爆発するというのは、専門家にとっては常識だ。
けれど、シロウトは、そのことがわからないのだから、それから説明しないとダメだね。

渋谷の爆発事故の報道で、汲み上げた温泉水を天然ガスを分離する装置があるといっているが、分離した天然ガスをどう処理しているかの説明もない。東急デパート本店裏のビル、マンション、住宅の密集地に、分離した天然ガスをそのまま放出していたのか。それならが、隣りの家も爆発した可能性もあったのだ。
そもそも、こんな場所に温泉施設をつくるなんて危険そのもの。でも、法令の規制は何もないそうだ。困ったもんだ。

★一般質問で指定管理者の問題点を取り上げた!

昨日、目黒区議会の本会議で、区長・青木英二に対して、一般質問をした。持ち時間は、わずか30分。質問の骨子は、先日、通告書内容をお伝えした。
まず、1問目はつぎの通り。

1 指定管理者制度について
 目黒区が、平成18年度から指定管理者制度を導入して、1年が経過した。管理者制度の目的は、民間事業者のノウハウを活用して、行政コストの縮減と住民サービスの向上にあることは、改めていうまでもない。住民サービスは、区民に対する人的サービスと区民が利用しやすい施設管理に二分され、その内容はまったく違うというべきである。
 すでに指定管理者制度導入後の18年度の決算予定額がでている。そこで、以下の質問をする。

(1)各所管が、指定管理者制度の導入後について、各施設を検証することはもちろんだが、区として包括的に検証し良かった点、悪かった点を明らかにして、区民と議会に公表すべきだが、そのつもりはなるのか。

(2)人的サービスが主な施設といえば、目黒区社会福祉事業団が指定管理者になっている各施設である。指定管理者制度の導入により、18年度は17年度と比較すると、大幅に行政コストは縮減されている。しかし、それ以外の施設管理が主な施設では、従前の行政コストと変化のない施設が多々ある。青木区長は、この実態をどう考えるのか。

区長・青木は、この通告書にしたがって、所管の課長などが答弁書を書いたのを壇上で、ただ棒読みにするだけだ。
ぼくは、通告書以外に、指定管理者が導入されて1年以上経過したのに、区の幹部さえいまだに指定管理者制度に関して、よく理解していない証拠として、つぎの事例を挙げた。

★目黒区は、いまだに幹部すら指定管理者制度を理解していない!

先日、ぼくの所属する生活福祉委員会で、区民斎場の指定管理者導入に関して、ぼくが質疑しているとき、担当部長は競争入札の予定価格に相当する基準価格について「競争入札の過程では・・・」と的外れの答弁をした。
指定管理者を選定・指定するのは、競争入札で行うものではないし、また契約にも該当しないという摩訶不思議な発注方法なのだ。契約ではなく、地方自治法では「行政処分」、つまり「行政行為」ということになっているのだ。こんなことは、指定管理者制度のイロハのイであるのに、そのことすら理解していないのである。

また、人的サービスで典型的な特養ホームなどの指定管理者である社会福祉事業団に関して、事業報告書、決算書が提出されたので、その一部を読みあげた。「18年度の支出決算額は28億2千百万円余。経常経費(人件費、事務費、事業費)を平成17年度決算額を比較しますと約1億3千7百万円余の減、率にして5.1%の減となりました」とある。大きな縮減額だ。
とくに、人件費で職員の俸給、手当、非常勤職員給与がすべて大幅に減っている。これで肝心のサービスは、向上しているのか。

★区長・青木の答弁は、逃げの一手だったよ!

こうした質問に対する区長・青木の答弁は、逃げの一手でまともな答弁はなし。区長・青木は、指定管理者と担当所管部が定期的に会議をしているだの、事業報告書の評価を行ない、来月、区民に公表するといった当たり前のことを答弁した。
こちらが聞いているのは、目黒区として包括的、総括的に導入後の1年間を検討するつもりがあるのか、ということだ。が、その点についての言及はなかった。で、再質問で、区長・青木が行革推進本部長なのに、包括的にやるのか、やらないのかと迫ったら「解題整理はあります」といったのだが。

人的サービスのとくに人件費の削減に関しては「施設ごとに異なっているので」などと曖昧(あいまい)な答弁に始終し、行政コストは縮減されたが、サービスはどうかということについての答弁はなかったよ。
こんなことで、これから区の公の施設をじゃんじゃん指定管理者に移行させていくようでは、目黒区はけっして良くはなるまい。(6月20日11:25)

2問目の開発許可については次号で!
今日も午後1時から本会議なので、これからでかけます。
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