久しぶりの更新。
ご存知の方も多いと思うが、僕はセブ島でダイビングのインストラクターライセンスを目指していた。
プロ選手につきもののセカンドキャリアの問題をシーズン開始前にクリアにすべく、強行スケジュールでNZ→日本→セブ→日本→NZと予定を組んだ。
予定では日本に二回の一時帰国も滞在時間は数時間という大統領並みのスケジュールを立てていたのだが、僕の意思とは関係なくその予定は木っ端微塵につぶれたのである。
ダイビングの世界はまだまだ未開。
複雑な利権争いもあるし、法的秩序が保たれていないのも事実。
ライセンス制であると思われているダイビングも、実のところ誰でも潜れる。
有名なところではやはりPADI。
街で見かけるPADIオープンウォーターライセンスという広告も、あれが無くてはダイビングできないかのような広告だが、実は誰でも出来る。
しかし、安全面の問題でショップ側にも責任が生じ、まったくノーライセンスの者に「はい、どうぞ」とタンクは貸せない。
そういう意味ではライセンスはやっぱり必要不可欠なものである。
先述したPADIはダイビングをしたことが無い人でもその名前を聞いたことがあったりロゴを見たことがあったりと、とにかく知名度はナンバーワン。
事実、世界に数多とあるダイビング団体全部を足してもPADIの登録メンバーには追いつけないというダントツのシェアを誇る。
自分も今回、このPADIのインストラクターライセンス取得を目指してセブ島まで足を運んだ。
実際、勉強をしてみてもその教育理念と水準の高さは素晴らしく、アメリカでは大学の単位として認められるレベルである。
しかし残念なことに、今回僕はそのPADIに非常に悔しい思いをさせられたのだ。
ここで簡単にPADIのシステムを紹介することにしよう。
PADIは世界中でIEと呼ばれるインストラクターになるための試験を行っており、今回僕がなぜセブ島まで足を運んだかと言えば、シーズン開始までにIEを受けられるのがセブ島しかなかったからだ。
そのIEを受けるためにはPADIのコースデレクターのもと、IDCと呼ばれるIEを受けるための勉強期間が設けられる。
この期間中、多くのものは夜中まで勉強に追われ、お休みなどは無い。
リゾートにいながら、部屋の中でひたすらお勉強。
そうかと思えばプールで800mの泳力テストやスキルの練習、海での実習、そしてお勉強など、とにかくハードなスケジュールをこなすのである。
僕の場合、フィリピンについて最初の歓迎は強烈な腹痛であり、無保険で乗り込んだために一切の診断を拒否し続けたのだが三日目についに観念。
点滴4本をブチ込んで、ようやく立ち直ったのだ。
ただでさえきついスケジュールのうちの3日間をベッドとトイレで過ごした僕は、IDCの残りのスケジュールをコースデレクターとマンツーマンでそれこそ寝食を忘れて取り組んだ。
そしていよいよIE前日。
明日からIE!全ての準備は整った。
学科も完璧!スキルも大丈夫!!
後は3日後の合格発表を待つだけだ!!!
そう思っていた矢先、コースデレクターから衝撃の発表が・・・
「仁さん、明日のIEが無くなりました」
理由を聞いてびっくり。
PADIは今回のフィリピンで行われるIE参加者が僕一人だったことから、僕にもスタッフにもなんの断りも無しに勝手に「参加者一人やし今回はやめとくわ~」とやめちゃったのである。
しかも前日にメールで伝えるて・・・
さらに担当者に電話をかけるも定時に帰ったと。
さらにその日は金曜日。土日をはさんで次に連絡がつくのは3日後の月曜日。
金曜日にその連絡を聞いた僕は日曜日には飛行機に乗っていた。
IEを受けられないセブ島には居る意味が無いからだ。
プロフェッショナリズムってなんでしょう?
PADIのコースデレクターが開催するIDCでは何度もこの言葉が出てくる。
プロフェッショナリズム。
つまり約束や法律や理念、モラルや常識を尊守する。
それがどこの誰であろうと、海を好きなもの、ダイビングに関わろうとする全ての人を受け入れ、そしてその人が安全に楽しく、自由でいながら常識を理解し、最高の環境を作り、守り。
簡単に言うと、一人でも多くのダイバーを誕生させ、海の楽しさを教えるとともに、しっかりとしたガイドラインを徹底させることでダイビングに関わる全てをトータルマネージメントしていきましょうという運動のことと理解できる。
現場の人間はそのことを理解し、現に僕一人のためにいったい何人のスタッフが動いてくれたことか。
朝の7時過ぎから始まるそのスケジュールは、時に夜中の2時を回る。
それでも嫌な顔ひとつせずに協力してくれる現場スタッフには頭が下がるし、今後僕が現場に出るときにはひとつの指針となる素晴らしい対応だったと言えよう。
しかしだ、それを徹底させるはずのPADIトップが「一人しかおらんしやめよう~っと」ってIE前日にメールで連絡を済ませるとはいったいどういう了見か!!
しかもその言い訳が「だって17日(約1週間前)にも一回メールしてるもん」って子供の言い訳かっ!!!
今回の損失はお金だけではなく、もちろん時間もなのだが、僕のPADIに対する憧れや期待は脆くも崩れ去った。
現場のスタッフはもう一度帰ってきてください、旅行代理店の方もなんとか気を取り直してもう一度セブで・・・と言ってくれるのだが、実際問題そんなPADIのインストラクターになって「PADIの理念は・・・」と授業が出来るのだろうか?
「僕はPADI公認のインストラクターです」と胸をはれるのだろうか?
現時点での答えはノー。
今後のPADIの対応が僕の意思を決定することになる。
個人だって組織だって過ちを犯すことはある。
それを許せないのは単なる傲慢だ。
しっかりした謝罪と、今後このようなことが起きないよう組織改善を約束してくれれば、PADIは今まで以上の素晴らしい組織に成長していくだろうと思う。
僕はそのとき、もう一度IEを受けに行っているのではないだろうか。
今回のセブでは踏んだり蹴ったりであったが、コースデレクターをはじめとする優秀で親切なインストラクターの皆さんにお会いすることができ、またそこで知り合ったダイバーの皆さん、さらには僕より2週間遅れでセブ島に来たIDC同期生の二人、素晴らしい出会いがあった。
IDC同期二人は僕より1週間遅く開催されるIEに参加予定。
今頃お勉強とスキルの練習で目が回りそうになっているであろうが、必ず合格して見事インストラクターになってくれるだろう。
僕は少なくとも半年後以降の取得になる。
同期なのに取得は半年以上、もしかしたら1年以上の差が出るかもしれないが、同期は同期?毎年どこかに潜りに行こうと約束した。
ダイバーは皆気持ちの良い人ばかりだ。
やはり僕は海が好きだし、ダイビングが好きだし、気持ちの良いダイバーに会えることが何よりも嬉しい。
PADIの今後に期待する。
海を、ダイビングを、嫌いにさせないでくれ!
結局、大事なシーズン前の貴重な時間を無駄に過ごしてしまった。
素晴らしい出会いがあったとはいえ、僕の目的はあくまでもIEを受けること。インストラクターになることであったから。
しかしいつまでもそればっかりにとらわれていては成長は無い。
これからは頭をラグビーモードに切り替え、NPCという最大の目標を掴み取らなくてはならない。
今週末の試合は出場できそうに無いが、グラウンドにはスパイクを持っていく。
それが礼儀だろう。
明後日、NZへ向けてまた出発する。
ちょうど一年前、同じようにNZへ出かけた男はヘレンズベルでプレミアを勝ち取り、オークランドセブンス代表スコッドに入り、ラグビー以外でも大きく成長して帰国した。しかし彼は結局NPCという目標には追いつけなかったのだ。
僕は時々そいつと会話をする。
そしてそいつにいつも聞かれる。
「お前は本当にNPCに入りたいのか?」
厳しい練習時も、過酷な個人練習時も、試合前の緊張時も、そいつにその質問をされると僕はいつもこう答える。
「みてろ・・・」
1年前の僕はなかなか厳しいやつだ。
僕をサボらせない。
さて、明後日から再出発だ。
みてろ。
ご存知の方も多いと思うが、僕はセブ島でダイビングのインストラクターライセンスを目指していた。
プロ選手につきもののセカンドキャリアの問題をシーズン開始前にクリアにすべく、強行スケジュールでNZ→日本→セブ→日本→NZと予定を組んだ。
予定では日本に二回の一時帰国も滞在時間は数時間という大統領並みのスケジュールを立てていたのだが、僕の意思とは関係なくその予定は木っ端微塵につぶれたのである。
ダイビングの世界はまだまだ未開。
複雑な利権争いもあるし、法的秩序が保たれていないのも事実。
ライセンス制であると思われているダイビングも、実のところ誰でも潜れる。
有名なところではやはりPADI。
街で見かけるPADIオープンウォーターライセンスという広告も、あれが無くてはダイビングできないかのような広告だが、実は誰でも出来る。
しかし、安全面の問題でショップ側にも責任が生じ、まったくノーライセンスの者に「はい、どうぞ」とタンクは貸せない。
そういう意味ではライセンスはやっぱり必要不可欠なものである。
先述したPADIはダイビングをしたことが無い人でもその名前を聞いたことがあったりロゴを見たことがあったりと、とにかく知名度はナンバーワン。
事実、世界に数多とあるダイビング団体全部を足してもPADIの登録メンバーには追いつけないというダントツのシェアを誇る。
自分も今回、このPADIのインストラクターライセンス取得を目指してセブ島まで足を運んだ。
実際、勉強をしてみてもその教育理念と水準の高さは素晴らしく、アメリカでは大学の単位として認められるレベルである。
しかし残念なことに、今回僕はそのPADIに非常に悔しい思いをさせられたのだ。
ここで簡単にPADIのシステムを紹介することにしよう。
PADIは世界中でIEと呼ばれるインストラクターになるための試験を行っており、今回僕がなぜセブ島まで足を運んだかと言えば、シーズン開始までにIEを受けられるのがセブ島しかなかったからだ。
そのIEを受けるためにはPADIのコースデレクターのもと、IDCと呼ばれるIEを受けるための勉強期間が設けられる。
この期間中、多くのものは夜中まで勉強に追われ、お休みなどは無い。
リゾートにいながら、部屋の中でひたすらお勉強。
そうかと思えばプールで800mの泳力テストやスキルの練習、海での実習、そしてお勉強など、とにかくハードなスケジュールをこなすのである。
僕の場合、フィリピンについて最初の歓迎は強烈な腹痛であり、無保険で乗り込んだために一切の診断を拒否し続けたのだが三日目についに観念。
点滴4本をブチ込んで、ようやく立ち直ったのだ。
ただでさえきついスケジュールのうちの3日間をベッドとトイレで過ごした僕は、IDCの残りのスケジュールをコースデレクターとマンツーマンでそれこそ寝食を忘れて取り組んだ。
そしていよいよIE前日。
明日からIE!全ての準備は整った。
学科も完璧!スキルも大丈夫!!
後は3日後の合格発表を待つだけだ!!!
そう思っていた矢先、コースデレクターから衝撃の発表が・・・
「仁さん、明日のIEが無くなりました」
理由を聞いてびっくり。
PADIは今回のフィリピンで行われるIE参加者が僕一人だったことから、僕にもスタッフにもなんの断りも無しに勝手に「参加者一人やし今回はやめとくわ~」とやめちゃったのである。
しかも前日にメールで伝えるて・・・
さらに担当者に電話をかけるも定時に帰ったと。
さらにその日は金曜日。土日をはさんで次に連絡がつくのは3日後の月曜日。
金曜日にその連絡を聞いた僕は日曜日には飛行機に乗っていた。
IEを受けられないセブ島には居る意味が無いからだ。
プロフェッショナリズムってなんでしょう?
PADIのコースデレクターが開催するIDCでは何度もこの言葉が出てくる。
プロフェッショナリズム。
つまり約束や法律や理念、モラルや常識を尊守する。
それがどこの誰であろうと、海を好きなもの、ダイビングに関わろうとする全ての人を受け入れ、そしてその人が安全に楽しく、自由でいながら常識を理解し、最高の環境を作り、守り。
簡単に言うと、一人でも多くのダイバーを誕生させ、海の楽しさを教えるとともに、しっかりとしたガイドラインを徹底させることでダイビングに関わる全てをトータルマネージメントしていきましょうという運動のことと理解できる。
現場の人間はそのことを理解し、現に僕一人のためにいったい何人のスタッフが動いてくれたことか。
朝の7時過ぎから始まるそのスケジュールは、時に夜中の2時を回る。
それでも嫌な顔ひとつせずに協力してくれる現場スタッフには頭が下がるし、今後僕が現場に出るときにはひとつの指針となる素晴らしい対応だったと言えよう。
しかしだ、それを徹底させるはずのPADIトップが「一人しかおらんしやめよう~っと」ってIE前日にメールで連絡を済ませるとはいったいどういう了見か!!
しかもその言い訳が「だって17日(約1週間前)にも一回メールしてるもん」って子供の言い訳かっ!!!
今回の損失はお金だけではなく、もちろん時間もなのだが、僕のPADIに対する憧れや期待は脆くも崩れ去った。
現場のスタッフはもう一度帰ってきてください、旅行代理店の方もなんとか気を取り直してもう一度セブで・・・と言ってくれるのだが、実際問題そんなPADIのインストラクターになって「PADIの理念は・・・」と授業が出来るのだろうか?
「僕はPADI公認のインストラクターです」と胸をはれるのだろうか?
現時点での答えはノー。
今後のPADIの対応が僕の意思を決定することになる。
個人だって組織だって過ちを犯すことはある。
それを許せないのは単なる傲慢だ。
しっかりした謝罪と、今後このようなことが起きないよう組織改善を約束してくれれば、PADIは今まで以上の素晴らしい組織に成長していくだろうと思う。
僕はそのとき、もう一度IEを受けに行っているのではないだろうか。
今回のセブでは踏んだり蹴ったりであったが、コースデレクターをはじめとする優秀で親切なインストラクターの皆さんにお会いすることができ、またそこで知り合ったダイバーの皆さん、さらには僕より2週間遅れでセブ島に来たIDC同期生の二人、素晴らしい出会いがあった。
IDC同期二人は僕より1週間遅く開催されるIEに参加予定。
今頃お勉強とスキルの練習で目が回りそうになっているであろうが、必ず合格して見事インストラクターになってくれるだろう。
僕は少なくとも半年後以降の取得になる。
同期なのに取得は半年以上、もしかしたら1年以上の差が出るかもしれないが、同期は同期?毎年どこかに潜りに行こうと約束した。
ダイバーは皆気持ちの良い人ばかりだ。
やはり僕は海が好きだし、ダイビングが好きだし、気持ちの良いダイバーに会えることが何よりも嬉しい。
PADIの今後に期待する。
海を、ダイビングを、嫌いにさせないでくれ!
結局、大事なシーズン前の貴重な時間を無駄に過ごしてしまった。
素晴らしい出会いがあったとはいえ、僕の目的はあくまでもIEを受けること。インストラクターになることであったから。
しかしいつまでもそればっかりにとらわれていては成長は無い。
これからは頭をラグビーモードに切り替え、NPCという最大の目標を掴み取らなくてはならない。
今週末の試合は出場できそうに無いが、グラウンドにはスパイクを持っていく。
それが礼儀だろう。
明後日、NZへ向けてまた出発する。
ちょうど一年前、同じようにNZへ出かけた男はヘレンズベルでプレミアを勝ち取り、オークランドセブンス代表スコッドに入り、ラグビー以外でも大きく成長して帰国した。しかし彼は結局NPCという目標には追いつけなかったのだ。
僕は時々そいつと会話をする。
そしてそいつにいつも聞かれる。
「お前は本当にNPCに入りたいのか?」
厳しい練習時も、過酷な個人練習時も、試合前の緊張時も、そいつにその質問をされると僕はいつもこう答える。
「みてろ・・・」
1年前の僕はなかなか厳しいやつだ。
僕をサボらせない。
さて、明後日から再出発だ。
みてろ。