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フィンランド建築・デザイン雑記帳

アールトの「ラウタタロ」持ち主変わる・・・・4つの財団へ売却


【写真・撮影】 平山 達氏 (Photo: Susumu Hirayama)


アルヴァ・アールト作品の持ち主が変わったニュース、その2。
今回はヘルシンキの中心部ケスクスカツ通り(Kesukusukatu)にある「ラウタタロ」。
1951年に鉄鋼会社が主催した指名コンペでアールトが入賞し、1957年に完成したオフィースビルである。
隣がサーリネンの事務所建築(1921年)、向かい側がフロステルスのストックマン・デパート(1930年)と歴史的な建物に囲まれて、アールトの周囲と調和したファサードデザインが評価された建物である。
鉄鋼会社にちなみ、建物の名前はフィンランド語で鉄・鉄鋼を意味するラウタ(rauta)と建物・家を意味するタロ(talo) からラウタタロ(Rautatalo) と呼ばれている。
その後持ち主が年金保障会社 (Ilmarinen) に変わり、今回4つの財団法人に売却されたと 2006年1月5日付のヘルシンギン・サノマット・フィンランド語版が報じている。
「ラウタタロ」は一時、自由に建物内部に入ることができなかったが、1階部分のカフェや吹き抜けの空間はオリジナルなデザインに戻され又、市民に開放されるのではと期待される・・・。


ヘルシンギン・サノマット(フィンランド語版)2006年1月5日の記事概略

ヘルシンキの中心部のメインストリートにある「ラウタタロ」の持ち主が変わった。
旧持ち主、年金保障協会のイルマリネン(Ilmarinen Elakevakuutus OY)が木曜日に語ったところによると、4つの財団法人に売却されたという。
購入者の4つの財団とは、アルフレド・コルデリン文化財団 (Alfred Kordelinin Yleinen edistys-ja sivisitysrahasto)、アルコ年金財団 (Alkon elakesaatio)、ジェニー&アンティ・ウイフリ財団 (Jenny ja Antti Wihurin rahasto)、そして フィンランド文化財団 (Suomen Kulttuurirahasto)である。

ラウタタロの床面積はおよそ10000㎡であり、事務所階の主要なテナントは金融会社 Nordeaである。地上レベルや地下の一部は ストックマンデパートが使用している。 
テナントは、それゆえ堅実であると言える。

イルマリネンと財団は、建物の値段を公表しないことで合意しているが、推定では5000万ユーロ(日本円約70億円)であったといわれている。
設計はアルヴァ・アールトで、建物は行政により保護されている。 
1957年に完成し、鉄鋼会社の事務所ビルであったことから「タウタタロ」という名前が使われてきた。

以上、ヘルシンギン・サノマットからの記事概略

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新聞の記事は、建物の持ち主が変わった事のみを伝えているため、「ラウタタロ」の1階部分、カフェなどが現在、どの様な状態にあるのか分からない。
フィンランド文化財団やその他の基金が新たな持ち主になったことで、以前のように吹き抜け部分やカフェ(Cafe Colombia)が市民に開放されることを期待したい。




ラウタタロ内部
【写真・撮影】 平山 達氏(Photo Susumu Hirayama) 

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多摩美術大学の平山 達氏のブログ「北欧建築ゼミ アアルト」に「ラウタタロ」の写真が多数掲載されています。 
他のアールト作品と共に是非ご覧下さい。
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