フィンランド建築・デザイン雑記帳

フィンランドの国の花、国花は、すずらん(鈴蘭)、 花言葉は「純粋」、「純潔」、「謙虚・謙遜」、


Photo : Quoted from YLE(Yleisradio)
大きな葉に隠れ、下を向いて咲く「すずらん」の花。 


この2-3日、気温が上がり、世の中は一挙に春めいてきた。
桜の季節、近所の桜の名所を訪ねる途中に「すずらん」によく似た「すずらん水仙、スノーフレーク」の咲いている小さな公園がある。
今年は、寒い気候のせいか、春の花の開花が1週間ほど遅れているようだが、「すずらん水仙」は既に咲いていた。
僕は長い間、これが「すずらん」だと思っていたが、友人に、これは違う種類だと指摘された。
そういえば、「すずらん」の葉は大きく広がっているが、「すずらん水仙」は細い。

タンペレ、ピスパラ(Tampere, Pispala)の丘の上で群生した「すずらん」を見たことがあるのだけど、昔の事で忘れてしまっていた。
東京の公園で「すずらん」を見かけたことは無い。
よく目にするのは、この「すずらん水仙」だが、この花も発見するたびに、その可憐な花の姿に感激してしまう。





小さな公園の「すずらん水仙 スノーフレーク」
僕は、長い間、これも「すずらん」だと思っていた。

[追記]
「東京の公園で ”すずらん” を見かけたことは無い。」と書いたが、昨年、近所の道端に「すずらん」 らしきを発見した。
花は無かったが、葉は「すずらん」のようで、その場所を覚えておいた。
今年、再び訪ねると、なんと「すずらん」が咲いていた。 感激!






フィンランド語で「すずらん」は、「Kielo(キエロ)」という。
フィンランドの国の花、国花である。
葉の形は、大きな舌のようで、フィンランド語の 「kieli 舌」が名前の由来だそうだ。

「すずらん」が国の花に制定されたのは、そう昔の事ではない。 
フィンランド独立50周年の1967年、フィンランド放送協会 (Yleisradio) が国花に関する投票を行い、最終的に国の国花委員会が選定した。

1949年 (昭和24年)に発行された市河かよ子氏の本「北欧の夢」の中に、「フィンランドは寒い国の事ですから、外で咲く花といえば、鈴らんか夏草の花のようなものしかありません」という文がある。 「すずらん」は、昔からフィンランドの人々にとって身近の植物だったようだ。

「すずらん」は、フィンランドの硬貨にも描かれていた。
1990年に発行された「10ペンニア硬貨(10 penniä)」で、2002年にユーロが導入され、フィンランド・マルッカが廃止されるまで使用された。
片面には「すずらん」、もう片面には「化学構造式」?が描かれている。





「すずらん」の花言葉は、「純粋」「純潔」「謙虚」。
花の形が、聖母マリアのベールに似ていることから、ヨーロッパでは古くから聖母マリアの花とされ、それに由来して「純粋」「純潔」という花言葉がついたという。
そして、「謙虚」という花言葉は、大きな葉に隠れ、下を向いて咲く「すずらん」の花、姿が小さく慎まやかな印象を与えることに由来しているそうだ。

「すずらん」の可憐な花を見るとき、隣の大国「ロシア(ソビエト)」に翻弄され、幾度もの困難な歴史の中を生き抜いてきた、フィンランドの歴史を象徴するようで、少し悲しい気分になる。

フィンランドの友人たちと話していて、色々な場面に「modest (謙虚=vaatimaton)、「humility (謙遜=nöyryys)という言葉が出てくる。
それも、良い意味で、肯定の言葉として登場する。
尊敬と愛情を込めて「彼は、謙虚な人だ(He is a modest.)」などと言う。

僕は、フィンランドの人達は「謙虚、謙遜」は、美徳で、そのような人を尊ぶように思う。 
彼らは、ハッキリと言わないが、「出しゃばり」で、「目立ちたがり屋」の人は好きではない。

僕たちは、フィンランド人の国民性・性格(日本人との類似点)を話す時、昔から「恥ずかしがり (フィンランド語で Ujo=ウヨ)」をトップに挙げるが、実は、その「恥ずかしがり」の中に、彼らが尊ぶ「謙虚・謙遜」の要素が多分に入っているのかもしれない と思う。

「追記」
このブログを読んだ友人が「すずらん」の群生が見られる場所を教えてくれた。
長野県の「入笠山」で「日本すずらん」の群生を、そして「入笠すずらん山野草公園」では、見事な「ドイツすずらん」の群生が見られるとの事。
5~6月が見ごろだとか、是非出かけてみたい。
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