フィンランド建築・デザイン雑記帳

地震で壊れた「アールトの花瓶」を「金継ぎ(きんつぎ)」で修繕。



地震で壊れてしまったアールトの花瓶を「金継ぎ(きんつぎ)」で修繕してみた。

2011年3月11日に発生した東日本大震災は、多くの亡くなられた方と行方不明者を出し、悲しい大災害として、僕たちの記憶に深く残っている。

三陸沖を震源としたマグニチュード9.0、最大震度7の巨大地震は、首都圏でも震度5強の揺れで、家屋の倒壊や地盤の液状化、大規模な停電と被害も甚大であった。
発生直後から首都圏の鉄道は、運行を停止し、大規模な通話規制で電話やメールが繋がりにくくなり、公衆電話に長蛇の列ができたことを覚えている人も多いだろう。

我が家は、12階建ての高層建築の10階で、その時の凄まじい揺れは、今まで経験のない最大規模で、本棚の本は床に落ち、家具の一部は倒れてしまった。
キャスター付きの台に載っていたテレビが2メートル程も飛ばされていたのには驚いた。
そんな状況下でも、棚の中の食器やガラス器には、それほどの被害が無かったのは幸運であった。

地震の揺れが収まり、かたずけを始めて発見した被害の一つが、棚の上にあった「アールトの花瓶」だった。





地震で壊れてしまった花瓶を見たときは、少なからずのショックで、床に散乱したガラス片をすぐにはかたずける気にならなかった。
何日間も床にそのままになっていた後、ガラス片を集めて袋に入れておいた。

何十年も前にヘルシンキで購入した、思い出の「アールトの花瓶}。
ガラス片、ゴミとして捨てる気になどには到底ならず、さてどうしたものかと考えたが、以前から興味のあった「金継ぎ(きんつぎ)」という手法で、この花瓶の修繕を思いついた。
思いついたが、なかなか手が付けられない。
壊れてから11年目、昨年やっとの完成である。



「金継ぎ」の修繕を覚えてから、家じゅうの割れたり欠けたりした食器を探しだし「金継ぎ」に夢中になってしまった。
修繕した中から、フィンランドの「アラビア(arabia)」の陶器や「イッタラ(iittala)」のガラス器に施した、金継ぎ作品?の一部を紹介しよう。





アラビアの「ファエンツァ」シリーズの「Mustaraita ムスタライタ」
僕たちは、このシリーズを「ブラックリボン」と呼び、「アラビア」の陶器の中でも最も好きなシリーズである。
1970年代に5年ほどしか製造されなかった、このシリーズは今やビンテージモデルだそうだが、我が家では現在も現役で、毎日の食卓に並ぶ。
雑な扱いが原因で、何枚かの皿やカップにヒビや欠けが出来てしまったので今回、それも「金継ぎ」で修繕してみた。






「イッタラ」のガラスの皿やグラスも、ついでに修繕。
「アイノ・アールト(Aino Aalto)」デザインのガラス皿。
「タピオ・ウィルカラ(Tapio Wirkkala)」デザインのグラス「Aslak」。
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