フィンランド建築・デザイン雑記帳

真夏のフィンランド、湖畔の厄介者は、蚊・ヒュットネン!


フィンランド中部、ユバ (Juva)という町の湖畔にある、建築家 ヨリ・グローテンフェルト (Georg Grotenfelt)のサウナ。
屋根は、土を載せて、草(トゥルペ turpe)を生やす、伝統的なサウナのスタイル。


一昔前、1970年代に、僕がフィンランドから両親に出した便り。

「フィンランド中部の町 ユバ (Juva) という小さな町に来ています。
グローテンフェルトさん、ライティネンさんやヤルヴィネンさん、そして彼の友人のマキネンさんと湖畔のサウナに入りました。
90度以上もあるサウナから、ほてった体で湖に飛び込むのです。
白夜の中でのサウナは快適で、森や湖は素晴らしいのですが、蚊が多くて困りました。
彼らは、蚊の事をヒュットネンと呼びます」

手紙を読んだ母は、フィンランドの人の名前は、~ネンが付く人が多いけど、蚊にもネンが付くんだね と。 

フィンランド語の講座で、フィンランド人の名前の末尾がネンでおわる人が多く、これが何を意味するのか、習ったような気もするが、忘れてしまった。
スウェーデンでは~ソン (~son) 、デンマークやノルウェーでは~セン (~sen) 、きっと~ネン (~nen) も同じ様なものなんでしょうね ?

フィンランド語で「蚊」のことを、ヒュットネン (hyttnen)という。
友達の中には、サースキ (sääski )と呼んでいたのもいたけど、ヒュットネンとは蚊の種類が違うのかもしれない ? 

フィンランドの夏の湖畔は、とにかく「蚊」が多い。
フィンランドの友人たちは、貧乏ゆすりのように小刻みに体を動かして巧みに蚊をやり過ごしていたが、その様には笑ってしまった。
ヒュットネンは、日本の蚊よりも大きく、はるかに強力で、ジーンズの上からも刺してくる。
蚊に刺されやすい体質というのがあるのか? 蚊に好まれそうな血 (血筋)とういうのがあるのか? 
僕は、他の人に比べて蚊に刺されやすいように思う。
多くの人たちが、フィンランドの夏の湖畔の情景や体験をロマンチックに書いているが、僕にとっての最大の敵は つねに「ヒュットネン」 であった。

統計によるとフィンランドにはなんと、全部で188,000もの湖があるという。 (ちなみに、日本の湖の数は、大きさ100m X 100m以上のものが、12,700湖あるそうです)。
フィンランドは、日本の15倍ちかく、 さすが 「森と湖」の国 ! 湖の数に驚いてしまうが、
そこにはどれだけの数の「蚊」がいるんだろう ? と蚊嫌いの僕は想像してしまう。

1970-80年代、僕たちの間で、フィンランドの友人への隠れた、人気土産品は 「金鳥の蚊取り線香」と 「ゴキブリホイホイ」だった。
蚊取り線香でも、当時フィンランドでは入手不可能だった、腰からぶら下げる、携帯式のものが特に喜ばれた。

「ゴキブリホイホイ」は、フィンランドにはゴキブリ (torakka)はいないのだが 「ボール紙のゴキブリ館」にゴキブリをおびき寄せ、強力な粘着力で動けなくしてしまうというアイデア、発想が彼らには奇想天外で笑いを誘い、人気があった。

ゴキブリ (昭和の時代、僕たちはアブラムシと呼んでいた)といえば何年か前、建築家のセヴェリ・ブロムステッド(Severi Blomstedt)が来日した折、彼と飛騨高山へ出かけた。 
新幹線の中で、なぜかゴキブリが話題となり、僕が「日本には、ゴキブリ亭主(torakka mies ?)というのがいて、深夜に冷蔵庫をあさりに来るんだよ」 と・・・。

その話は、彼に大うけで大いにもりあがった。 
フィンランドには、ゴキブリはいなくても、ゴキブリ亭主の存在は共通のようだ。
どちらも、懐かしい思い出である。



フィンランド中部、ユバ (Juva)という町の湖畔にある、建築家 ヨリ・グローテンフェルト (Georg Grotenfelt)のサウナ。
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