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フィンランド建築・デザイン雑記帳

マッティ・サナクセンアホ、トゥルク の 「聖ヘンリー・アート・チャペル」


Kuva : Pyhän Henrikin Ekumeeninen Taidekaapeli Kotisivusta.

フィンランドの友人が、マッティ・サナクセンアホの「トゥルクのアート・チャペル」を観たとメールを書いてきた。
このチャペルは、日本でも建築雑誌 (a+u)で取り上げられたり、展覧会(2003年の「聖なる空間 展 Pyha Tila」)で紹介されたりしたので知っている人も多いかもしれない。 
僕はまだ実物を観ていないが、友人は想像していた以上に良かったと書いていた・・・ フィンランドにまた気になる建築が増えてしまったようだ・・・。


2005年に完成したマッティ・サナクセンアホの 「トゥルクのアート・チャペル」は、写真や図面で観る限り、外観も平面もとてもシンプルな建物である。
外観はVの字を逆さにしたような屋根が壁も兼ねているという形で、ヴィルヨ・レヴェル (Viljo Revell)のカンガサラのチャペル (Kangasala Vatial Chapel 1960年)を思い起こさせる。
外部を覆うのは全て銅板であるが、内部は全てが木で出来ている。
内部では屋根・壁を構成する梁(リブ)が丁度船底をひっくり返したように整然と並んで、リズミカルな印象を与える。
友人の感想では、天井が実際より高く感じられ (実際の高さは12m)スリットのような窓からの外光は刻々と変化し、光が織り成す陰影はとても美しいとの事。

このチャペルの祭壇は、フィンランドの著名な木彫家 カイン・タッペル (Kain Tapper 1930-2004年) の作品となる予定であったが、残念なことに着工直前に彼は亡くなり、実現されなかった。
カイン・タッペルは、祭壇の最終デザインにも満足していなかったということで、チャペルには祭壇を設けないことになったという。

このチャペルの設計は、マッティ・サナクセンアホ  (Matti Sanaksenaho)と彼の奥さんであるピルヨ・サナクセンアホ  (Pirjo Sanaksenaho) そしてエンリコ・ガルビン (Enrico Garbin)が参加している。
マッティ・サナクセンアホは 1966年生まれの39才、フィンランド建築界若手ホープの一人である。
1992年のセビリア万博・フィンランド・パヴィリオンを設計した 「Monark」のメンバーの一人で、当時まだヘルシンキ工科大学の学生だった彼らは、フィンランド・パヴィリオンで建築界にデヴューした。
親日家の彼は、既に何回も来日しているので、実際に彼に会ったという人も多いであろう。

このチャペルの正式名称は、
英語では 「St.Henry's Ecumenical Art Chapel」
フィンランド語では 「Pyhän Henrikin Ekumeeninen Taidekaapeli」という。
チャペルのホームページのkuva-arkistoに完成前のキリスト教の祭礼(地鎮祭、上棟式?)の様子や工事途中の写真などが掲載されている。

●チャペルは、次のアワードを受賞している。
「2005年ルーフ・オブ・ザ・イヤー賞(The Roof of The Year 2005)」
「ウッド・アワード(Wood Award 2005)」・・・一般の人々の投票により選ばれる
「教会・文化賞(The Cultural Award of the Church)」


チャペルの所在地はTurku, Seiskarinkatu 30 で、毎日正午から午後6時まで開いており、見学が出来る。



【写真1】 チャペル内部の様子



【写真2】 チャペル玄関部分外観

Photos Quoted from Pyhän Henrikin Ekumeeninen Taidekaapeli Kotisivu.
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