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吹楽オススメ&思い出の一曲 <『リンカンシャーの花束』編>

2005-01-26 17:45:00 | 吹奏楽
 今回は演奏経験のある曲で、今現在すごくヘビーに聴きまくっている『リンカンシャーの花束(P.グレインジャー作曲)』を紹介しようかなぁと思います。いつもはどんな曲かを文章だけでしかお伝えできなかったのですが、今回はこの曲を全部タダで聴けちゃうサイトを発見したので、そちらで公開されているmp3を聴きながら読んでいただけたらなぁと思います。ちなみに演奏はアメリカ海兵隊バンドだそうです。とてもスバラシイ演奏ですよ♪

こちらのサイトのLincolnshire Posy全6曲を聴いてみてください)


この曲、1937年に作曲されたもので、以下の6つの楽章で構成されています。
1.リスボン(水夫の歌)
 Lisbon (Sailor's Song)
2.ホークストウの墓場(けちん坊と召使い-地方の哀歌)
 Horkstow Grange (The Miser and his Man: A local Tragedy)
3.ラフォード公園の密猟者(密猟の歌)
 Rufford Park Poachers (Poaching Song)
4.元気な若い水夫(愛人と結婚するための帰郷)
 The brisk young Sailor (returned to wed his True Love)
5.メルボルン卿(戦争の歌)
 Lord Melbourne (War Song)
6.行方不明の貴婦人が見つかった(踊りの歌)
 The Lost Lady Found (Dance Song)


 グレインジャーという方は元々オーストラリアの出身でしたが、「オーストラリアで生まれ」「ドイツで学び」「イギリスで成功し」「アメリカで活躍した」作曲家と言われるようにこちらのサイト参照)、いろんな国を渡り歩きながら音楽活動を行ってきた方です。その中で、彼のライフワークの一つであったイギリスの民謡収集の中から、リンカンシャー地方に伝わる6つの曲をピックアップして一つの組曲に仕上げたのが、この『リンカンシャーの花束』なんです。1937年に作曲されて以来、いろんな所で演奏され、今でも吹奏楽の重要なレパートリーの一つとなっています。


 この曲には、民謡を題材にしているということもあってか、独特の暖かさが感じられるのではないかと思います。題材が題材なだけに、という事もあるかもしれませんが、その暖かさにはもう一つ理由があるようなんです。それは、他の通常の吹奏楽曲の編成よりも木管楽器のパートが厚くなっているためだと思うのです。特にグレインジャーはサックスがお気に入りだったようで、通常はアルト2パート,テナー,バリトンで組まれるところにソプラノとバス(←バスはよっぽどデカい編成でない限りは通常使われません)を加えた編成にしてあったりします。他の木管もかなり厚い編成になっているので、とても暖かなサウンドに仕上がっているのではないかと思うのです。 …なので、「もっと木管のパートを削っても良いのではないか」と言う方もいらっしゃるようです(^^ゞ


 さてさて。この曲を聴いていただくと、「なんて素朴な曲なんだろう」と思うかもしれませんが、この曲、じつはかなり難しい曲なんです。グレインジャーはこの曲で、実際にその地方で歌われている節やアクセントを忠実に再現するために、至るところで変拍子が登場したり、変なところにアクセントマークがついていたりしているんです^^; 演奏した時にはこれに泣かされましたですよ・・ しかも5曲目の『メルボルン卿』。これ、冒頭部分には拍子が無いのですよ^^; その代わり、音符一個一個の上には「↓」というマークが記されていて、「指揮者がこの矢印のところで振るから、それに従いなさい」というような感じになっているんです(汗) 


 実は、イギリスの民謡を題材にした吹奏楽曲というのは、組曲『惑星』を作曲したホルスト(吹奏楽のための第一組曲、同第二組曲など)ヴォーン・ウィリアムズ(イギリス民謡組曲、行進曲風トッカータなど)等多くの人が発表しているのですが、その方たちの場合は大抵4拍子か3拍子で丸く治めているんです。しかしグレインジャーは、その地方で歌われたままの形を楽譜に書き上げたのです。そこに、この『リンカンシャーの花束』が長く演奏され続けている秘密があるのではないかなぁと思うのです。

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