かんだ

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「登りたい山と登れる山」について考えてみた

2009-09-20 18:08:07 | Weblog
 山好きなら誰しもが、登ってみたいと胸焦がす山、憧れの山を
心に秘めていることだろう。しかし、登りたい山が、自分の実力で
登れる山とは限らない。そこが問題だ。   

 昨今の登山者は勉強不足に思えてならない。「山を知り己を知らば、
百山するも危うからず」とは、山に向かう基本的な姿勢である。NHK
教育テレビ番組「中高年のための登山学」の中でもアッピールしたが、
こちらの思いが届いているようには思えない。

  己のことはご自身が良く分かっているはず。登りたい山について、
ガイドブックを読んでみれば、自身の登山力で登れるか否かの判断は、
それほど難しいこととは思えない。

  それなのになぜ、さほど体力があるとは思えない方、登山経験が
豊富とは思われない方、装備が不十分な方が、無雪期とはいえ
難度の高い山に出かけてしまうのか。その理由は、勉強不足、
その山ことを知らないから、としか考えようがない。

  山について勉強して欲しいと思う。登りたい山が自分の実力
で登れる山なのか否か、考えてみて欲しい。登れると判断できる
山ならそれで善し。ちょっと無理かなと思ったら、登れるように
トレーニングしたらいい。あるいは今の実力で登れる山を探して
みたらいい。それがまた楽しい時間になるのだけれど…。

 その山について勉強もしないまま、憧れだけで案内を依頼しては、
ガイドさんにとって迷惑な話だし、その人の登山力を確認のしようも
ないから、登山ツアーへの申込みがあれば、旅行会社は受付ける
しかない。で、そんな人を預かる添乗員さんは、お気の毒と言うものだ。

  ある旅行会社で頑張っている添乗員さんから聞いた話。

  この夏、富士山に出かけた。9合目を過ぎると凄い風、天気も
良くないし非常に寒い。彼は、ガイドさんとも相談し登山中止を決断、
状況を参加者に説明し、納得頂いて下山した。10日後くらいに、
その時の参加者の一人から電話が入った。クレームの電話なので
ある。仮にA氏とする。

 A氏はその後すぐ、別の旅行会社の白馬岳のツアーに参加した。
富士山を中止した時以上の風雨の中、そのツアーは白馬岳に登った。
A氏は、この天気で白馬岳に登れるなら、あの時富士山だって登れた
はず。そう考えると、中止を決定した添乗員に対して無性に腹が立ち、
中止決定に疑問を呈する電話をかけてきた、というもの。

  ちょっと考えてみて欲しい。白馬岳ツアーの添乗員さんなりガイド
さんが、もしプライベートであったとしたらそんな悪天下、山頂を
目指すだろうか。さっさと中止にして下山しているだろう。参加者に
しても同様で、もしプライベートであったなら、登山は中止にして
温泉に向かっているだろう。金銭の授受を前提としたガイド登山、
ツアー登山の難しい問題がここにある。

  登りたい山と登れる山について一考するつもりが、深刻な話になった。
登りたい山は、必ずしも登れる山ではない、ということを一人一人が
認識する必要がある、として拙文のまとめとしよう。

 なんてことを考えた、9月17日であった。

(09.9.17記)


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