かんだ

かんだは、なんだの続き。
話を広げたり、掘り下げたり・・・。

広告

※このエリアは、60日間投稿が無い場合に表示されます。記事を投稿すると、表示されなくなります。

行きたい温泉ベスト10と山

2019-03-20 08:39:08 | Weblog

 3月9日付、朝日新聞beランキングのテーマは「行きたい温泉」だった。1位は由布院、2位は草津で、10位までは、酸ヶ湯、乳頭、道後、別府、指宿、有馬、登別、箱根の順で紹介されていた。読者アンケートによる行きたい温泉ベスト10だが、なんとぼくにとってこの10湯は、「行きたい」ではなく行ったことがあった。「日本百名山」「ぼくの新日本百名山」を組み込んで登山教室を企画、日本全国の山々を巡り歩いた結果である。

 由布院温泉は、ぼくにとっても「行きたい温泉」。由布岳に登り、下って由布院温泉というのは、「山と温泉」好きにとって究極の山旅コース。双耳峰の由布岳は秀麗で、由布院温泉の宿を品が良く、露天風呂に浸かって手足を伸ばすひとときは、名湯と名山を実感できる至福の時間になる。

 横手山頂ヒュッテに泊まり、翌日渋峠を越え芳ヶ平から草津温泉へと抜けるコースは、下り方向だから程よく汗はかくが、脚筋力には無理がない。草津温泉のためにあるようなハイキングコースといえる。

 酸ヶ湯といえば八甲田山。ロープウェイを利用して山頂公園駅に上がり、赤倉岳、井戸岳を経て避難小屋の建つ鞍部に下り、八甲田山の主峰、大岳を往復してから毛無岱の湿原を抜けて下れば酸ヶ湯が待っている。「山と温泉」を楽しむモデルコースとしてお勧めだ。

 乳頭温泉郷は一軒宿が多い。もっとも古いのが鶴ノ湯、大白森・小白森山の登山口に位置する。まさに秘湯、浸かるだけで満足できるが、大白森・小白森山を往復登山してくれば満足度は倍加する。

 道後温泉イコール坊ちゃん、松山市街地にある。道後温泉をめざして松山には飛べないが、愛媛には日本百名山の石鎚山がある。石鎚山をめざして松山に飛んだとき、

ちょっと寄り道、道後温泉に浸かって坊ちゃん気分を味わってきた。

 久住山、祖母山、阿蘇高岳という日本百名山を攻めるのに、大分空港、熊本空港、どっちからアプローチするのが効率的か、いつも考える。はるばる九州まで出かけていくのだ。めざす山だけ登って帰ってくるのでは、時間的にも経済的にももったいない。プラスαを考える。このαでどっちの空港にするか決まるだろう。千灯岳、津波戸山など国東半島の山にも登った。アプローチは大分空港、別府温泉にも立ち寄れる。指宿温泉は開聞岳と組み合わせた。砂蒸し風呂が最高。有馬温泉は六甲山。芦屋川駅に集合、風吹岩から雨ヶ峠を越え、七曲りを登って主稜線上に立つ。最高点を往復してから魚屋道を有馬温泉に下った。これがぼくの初めての六甲山。

 登別温泉まできて頭に?マークが浮かんだ。登別には入ってないぞ、北海道では数多くの温泉に入っているので、勘違いしていた。そして第10位は箱根温泉。箱根の山の麓から中腹に点在する温泉群の総称だ。どう組み合わせても「山と温泉」。


岩崎登山新聞 http://www.iwasaki-motoo.com/home.html
無 名 山 塾 http://www.sanjc.com/


単独行を考える

2019-02-20 11:16:40 | Weblog

 登山情報誌『山と渓谷』2月号の特集記事は、「単独行の登山術」であった。中高年登山リーダーの一人であることを自認する筆者としては、単独行の是非についてこれまで非の立場を取っていた。「単独行は止めましょう」というのが、登山界の立場であると認識していた。雑誌で単独行が特集されたり、単独行を勧めるような本の出版には一人で憤慨していた。そこにもってきてまたまた単独行の特集、早速「単独行は止めましょう」という論陣を張るべくペンを執ったところ、「待てよ」という思いが心の片隅に湧いたのだ。

 なぜ「単独行は止めましょう」なのかといえば、単独行はリスクが大きいからだ。山岳遭難事故が最悪の結果に至るケースは、単独行が圧倒的に多い。その事実は自明といえる。安全登山を考えるなら単独行は非、そのようにアドバイスしてきた。

 前述のリスクについて、特集記事の一項「単独行のメリットとデメリット」に「山岳遭難における単独行とパーティの比較」があり、パーティでは遭難件数の51%が無事救助、負傷が42%、死亡・行方不明が7%であるのに対し、単独行ではそれぞれ、48%、32%、20%、死亡・行方不明は単独行ではパーティの約3倍になっていて、単独行のリスクの高さが証明されている。

 他方、単独行のメリットとしては、①自分の実力に見合った(好みの)プランニングができる。②自分のペースで歩ける。③自由にルートを変更できる。④慎重になる、が挙げられている。これで、単独で登っている人の多いことの説明がつく。ルポ「ひとりで山を歩くということ」には、「コース変更も気ままにできるし、『充分楽しんだから、今回はこのくらいにしとこう』と誰に気兼ねすることなく中断できる」「北鎌尾根のような最初から最後まで緊張感が連続するルートでは、独力で登り切ったという充実感がこたえられない」と、単独行のメリットを語っている。「リスクがあるから自分を磨ける」という考えもある。

 単独行のメリットがこれだけあるのなら、デメリットの側に立って単独行を非とするのではなく、是とした上で、単独行の問題点を解決する方法を考えていくことが、実情に合うのではないかと考えるようになった。是とすれば、2月号の特集記事にうなずく点が多くなる。「単独行の登山術」とは、リスク回避にほかならない。

「アタシを山に連れて行って」という初心者が多いようだが、他人に連れて行って貰う登山は、単独行の対極にある山の登り方ではあるまいか。リスクがない代わりに、①自分でプランすることはない。②自分のペースで歩けない。③自由にルートを変更できない。④状況判断の必要がなく、慎重にならずに済む。連れて行って貰う登山では、登山は学べないのだ。登山を学びたかったら、自分を磨くリスクがある単独行にチャレンジしてみるっきゃない。高尾山あたりから始めてみたらいかがだろう・・・。

岩崎登山新聞 http://www.iwasaki-motoo.com/home.html
無 名 山 塾 http://www.sanjc.com/


登山を学ぶ場所

2019-01-21 09:57:01 | Weblog

 日頃会いたいと思いながら、なかなか会えない方から届く年賀状はうれしいもの。添え書きされている近況を、フムフムと思いながら読む。これがうれしい。「初孫誕生」とあって、孫を抱いている旧い山仲間の写真は年賀にふさわしくめでたい。大学ワンダーフォーゲル部の顧問をやっている知人からの賀状の片隅に、「新入部員が入らず、活動を休止しています」とあって、こちらにはショックをうけた。数年前の添え書きには、「新入生数人が入部、倶楽部が活性化」とあって、喜んでいたのに・・・。

 中高年登山ブームが一段落し、山ガール・山スカブーム到来で、若い登山者の増加も実感していたのに、と思いつつ、集団化を嫌う傾向に気づかされた。以前にも書いたが、最たるものは一人用テントである。単独でのテント山行ならいざ知らず、グループ山行でも各自が一人用を携行する。

 数年前、アルプス入門の登山教室として好みのコース、鳳凰三山を計画した。平均年齢が七十歳になるパーティなので、小屋泊まりである。新宿発七時の特急スーパーあずさ1号で韮崎、韮崎からタクシーで御座石温泉まで入る。登山口から燕頭山越えは、アルプス入門にふさわしい急登だ。この日は鳳凰小屋泊。2日目は賽の河原に登って地蔵岳にタッチ、観音岳に立ち、薬師岳を越えて夜叉神峠まで縦走、峠小屋泊。3日目、のんびり峠登山口まで下り、タクシーで甲府に戻る。

 鳳凰小屋に上がったのは午後4時頃、びっくりした。テント場が満タンで、一張の余地もない。グループ山行でも、寝るときは一人にしてとばかり全員が一人用テントを携行、それくらいに個人主義が主張される時代になったのかと、ため息つくのはぼく一人ではあるまい。ため息をついても、山岳部や山岳会に新人は入ってこない。いや、新人が入ってこなくてもこちらは困らないのだ。人がいなくなって山岳会が継続しないなら、それはそれでいいと思っている。ぼくが心配するのは彼らの方だ。山岳会に入らず、どこで登山の勉強をするのだろう。

 山岳遭難事故が年々増加している。最も多いのは「道迷い」だという。ぼくらが現役の頃、遭難原因のトップは「転倒・滑落」だった。

 集会の席上で山行計画を出すと、リーダー会員が目を通し、「今年は雪が早いから、ピッケル・アイゼンは持っていけ」とか「あそこは一か所ヤバイとこあるから、ロープ持っていけ」とか、問題点をアドバイスしてくれた。雪が早いか遅いかは、その日、その時でないと分からないことだ。

 山岳会に入らない彼らの勉強の場は、ネットだという。ネット上の文字によるアドバイスより、山岳会の先輩の肉声によるアドバイスの方が実効が大きいことは自明であろう。昨今の遭難で最も多いのが「道迷い」というのは、勉強の場がネットだからというのがぼくの持論である。


岩崎登山新聞 http://www.iwasaki-motoo.com/home.html
無 名 山 塾 http://www.sanjc.com/


寝過ごし、懐かしい思い出

2018-12-18 13:56:05 | Weblog

「気がつけばもう師走も中旬・・・」、という書き出しで、今朝(12月12日付)の天声人語は始まっている。今週、来週と忘年会が続き、飲んで騒いで終電に乗り、目が覚めると見知らぬ遠方の駅――。そんな「寝過ごし」は避けたいものだと続く。

「寝過ごし」とインプットされて、真っ先に思い出すのは、谷川岳からの帰路のことである。昭和38年に入会した昭和山岳会の修行の段階は、入会した初年度の4月に新人歓迎会があり、5月にカモシカ山行と称するトレーニングがある。これは青梅線御岳駅を夜の10時にスタート、大岳山、御前山、三頭山といわゆる奥多摩三山を結び、笹尾根を下って生藤山を越え、和田峠から陣馬山に登り返し、影信山、城山、高尾山と歩いて中央線高尾駅まで歩き通した。約70㎞、高尾駅到着は翌日の夜の10時になっていた。

 6月に丹沢大倉尾根を塔ノ岳まで30㎏のキスリングを背負って登るボッカ訓練があり、8月に新人の夏山縦走合宿があった。11月下旬に富士山で雪上訓練があり、年末年始の冬山合宿が明けると、2月、初めての岩登り訓練が鷹取山であった。2年会員になると自分たちで誘い合って沢登りをしてこいとおっぽり出された。

 表丹沢水無川流域の沢登りからスタート、夏前には西丹沢の同角沢やザンザ洞、箱根屋沢、悪沢など登った。夏山合宿は南ア・赤石岳集中合宿で、ぼくは赤石沢北沢を登った。秋になると沢筋の雪が消えて、谷川岳南面の沢登りと東面マチガ沢流域が解禁になった。ヒツゴー沢、オジカ沢、鷹ノ巣A沢、C沢、川棚沢を登り、赤谷川本谷も登り、マチガ沢シンセン沢左俣、沖ノ耳東南稜を攀じた。それらの経験をふまえて、3年目の夏、一ノ倉沢、幽ノ沢の岩場が解禁になった。

 当時は交通事情も悪く、登髙に時間を費やすと両夜行を強いられることも珍しくなかった。そんな時は谷川温泉の露天風呂に入って時間を潰していた。夜行列車は上野駅に朝5時前に到着したと思う。ぼくは横浜に住んでいたので、桜木町が終点だった京浜東北線の電車を利用していた。

 その朝も桜木町行きに乗る。シートに腰を落とすとすぐに寝入った。あっ寝過ごしちゃいけないと思って目を覚ます。どこかのホームに滑り込んだところで、看板に「浜松町」とあったので、なあんだまだ浜松町かと安心し、もうひと眠りしようと思った次の瞬間びっくりした。電車は上野に向かって走っているではないか。わがことながら大笑い。今朝の天声人語は、懐かしい「寝過ごし」を思い出させてくれた。

 最終の中央線で寝過ごし、終点の高尾駅で途方に暮れている酔っ払い救済のため、西東京バスでは12月の金曜日に限って、高尾駅から八王子駅まで臨時バスを1便走らせる。「終電で寝過ごし、寒天を仰ぐのもまた相当につらい。くれぐれもご用心を」。天声人語はそう結んであった。


岩崎登山新聞 http://www.iwasaki-motoo.com/home.html
無 名 山 塾 http://www.sanjc.com/


こんな所に日本

2018-11-26 16:54:33 | Weblog

 2005年3月28日が誕生日、ぼくは還暦を迎える。その前年、アルパインツアーの現社長、芹澤健一氏から声がかかった。「どこか、一緒に行って誕生日祝いをやりましょう」。そのひと声がきっかけになって、2005年3月24日~4月3日の「アンナプルナ・ダウラギリ展望トレッキング」が企画された。当初はシリーズ化するとは思わなかったので、タイトルなど頭になかったのが、この年の11月にニュージーランド、翌年3月にカナディアンロッキー、9月にアラスカ・ノースフェイスロッジと回が重なったので、シリーズ化を念頭に“地球を遠足”とネーミングしたのだった。2005年3月のネパールを第一回と数えると、先月のコモド3島で95回、もうすぐ100回を迎える。

 少し前から、テレビ番組で気になっていることがある。山がらみ、海外がらみの絵が多いのだ。「山」については別の機会に書く。「海外」について言えば、「世界不思議発見」「こんな所に日本人」「クイズ番組」、などなど。“地球を遠足”のおかげで、あちこちの国をめぐることができた。スイッチをオンにして、テレビ画面に絵が出てくると、あっここ行った、あっここも行った、と訪れた国がけっこう出てくる。

 先日、クイズ番組でコモド島が登場した。A国・B国・インドネシアと三つの国名が出て、コモド島はどこの国か、という問題だった。コモド島となると、誰もが知っているという島ではないようだ。「こんな所に日本人」という番組では、コモド3島で、コモドドラゴンのガイドをやっている男性が紹介されていた。ボリビアにいる日本人を捜し当てると、彼はウユニ塩湖のガイドだった。

 コモドドラゴンのガイドをやっている映像は、実際に“地球を遠足”で行く一週間くらい前のことだったので、世界が狭くなっていることを実感した。ウユニ塩湖というか、ボリビアからは首都ラパス在住の日本語ガイド井上節子さんを取り上げて欲しいとおもっている。

 ラパスの空港は世界最高所にある国際空港であり、ラパスは世界最高所3,632mにある首都である。第90回“地球を遠足”ウユニ塩湖とチチカカ湖を訪ねる遠足で、ラパスに降り立ったぼくはウユニ塩湖で高山病になってしまった。チチカカ湖への移動日、ラパスの空港に残されたぼくを、ホテルに案内してくれたり病院に連れて行ってくれたりと面倒みてくれたのが、ラパス在住の日本語ガイド井上節子さんだった。まさに「こんな所に日本人」であった。この紙面からも改めて、お礼を言わせていただきます。

 ペトラ遺跡濁流の映像にはビックリ、2009年11月、第17回“地球を遠足”でエジプト~ヨルダンを訪れている。継続は力というが、”地球を遠足”ももうすぐ100回、面白さがタテ・ヨコ・ナナメに広がっている。

岩崎登山新聞 http://www.iwasaki-motoo.com/home.html
無 名 山 塾 http://www.sanjc.com/


アウトドアズ・イン

2018-10-18 11:21:42 | Weblog

 自分も周囲も加齢が進んでいる。10年前くらいだったか、よくご参加下さっていたAさんが突然、「古稀になったから、もう山はやめる」と、おっしゃる。「まだまだ登れますよ、もっと山を楽しみましょうよ」というと、「そうだね」といってご参加が続いていた。75歳になったAさん、「もう後期高齢者になったから、山はやめる」と、おっしゃる。「いま止めちゃあもったいないですよ、もっと山を楽しみ続けましょうよ」というと、「そうだね」といって、年に何回か楽しい時間を一緒に過ごしてきた。

 Aさん、来年には80歳になる。80歳を過ぎた方がトシを理由に山をやめるとおっしゃったら、「まだまだ登れますよ」とは言い難い。山登りを止めるのは仕方ないとして、家に引きこもってしまったら大いなるマイナスだ。自然の中にいることこそ、人の幸せだと確信するからだ。それで発明した言葉が「80歳からはスキー」である。

 スキー板をはいてリフトに乗れば、爽やかな風がほほをなでてくれる。昨今、板も靴も良くなっているからそうそう転びはしない。それでも、転んだら骨折するのではないかと心配で、スキーを始められない方は少なくない。それよりもなによりも、春が来て、雪が消えたらスキーもへったくれもない。

 ウーム・・・、そこで閃いたのが、「アウトドアズ・イン」。強引な和製英語だが、ぼくの想いは充分こもっている。加齢に従って、足があがらなくなる。転倒までには至らないが、上げたつもりの足が上がっていなくて、ツマ先が木の根や岩角にひっかかってつんのめる。山はもう止め、となる。山を止めて、家に引きこもってしまったら百害あって一利なしだ。前述の通り、自然の中にいることこそ人の幸せだ。「アウトドアズ・イン」である。

 先日、救心製薬特別協賛で「岩崎元郎の健康登山講座」が、函館の隣、北斗市で開催された。「新日本百名山・恵山を登る会」の主催であった。翌日、恵山に登る予定が雨のため中止。帰りの飛行機が夕方だったので、恵山の麓、ホテル恵風まで遊びにいった。大きくてきれいな温泉があり、海岸線にもお湯が沸いていて、湯舟が作られている。目を上げれば山、目を下げれば海、山に登らなくても退屈することはない。

 北八ヶ岳、ロープウェイを利用して山頂駅まで上がり、坪庭あたりを散策するのもいい。美ヶ原もいい。標高2000mの高原に、歩くことなく運び上げて貰えるなんて、こんなに有り難いことはない。坪庭も美ヶ原も冬でもOKだ。七時雨山もいい。山に登らなくても、山荘のテラスに座って本でも読んだら文句なしの文化人になれる。

 お元気な方からは、「バカ言ってんじゃないよ」なんて言われそうだが、ぼく自身もさることながら、80歳を越えてまだまだ山に登りたいという方々の安心安全を考えると、「アウトドアズ・イン」、声を大にしてアピールしたいと思っている。

岩崎登山新聞 http://www.iwasaki-motoo.com/home.html
無 名 山 塾 http://www.sanjc.com/


かくてブームは創られる

2018-09-20 13:55:09 | Weblog

「ロゼワイン 人気熟成中?」、8月下旬のある日の夕刊の一面トップ、そんな活字が大きく踊っていた。「じわり 業界に動き」と、サブ見出しも読む人にそう思わせるような言葉で追い打ちをかけている。

 17年度のワイン流通量の割合は、赤66.5%、白30.4%、ロゼ2.5%であったとか。一ヶ月ほど経過した現在、ロゼがブームになっているとは思えないが、ブームはこんな風にマスコミ主導で創りだされることは間違いあるまい。ブーム創出もそうだが、現代(いま)の世の中、すべからくマスコミに操られているように思えて仕方ない。

 サッカーワールドカップのときも然り、テレビでいえば、どのチャンネルにまわしても出て来る画像はサッカーばかり。世の中のニュースはサッカー以外にないとばかりに、だ。テレビ局は数社あるのだから、局間で話し合って取り上げるニュースを分担すればいいのに、と思ったのはぼく一人ではあるまい。

 悪いのはマスコミの側ばかりではない。こちら側、一般庶民の我々一人一人にも問題はあるようだ。日本人は他人の意見に左右されやすい性癖がある。サッカーのワールドカップ報道で日本人の多くはたちまちサッカーファンになった。きのうまでサッカーファンだった多くの人が、きょうはたちまちテニスファンになっている。そうは思わないか?

 ぼく自身は山が大好きだから、サッカーファンにはならなかったけど、大坂ファンにはなってしまった。初めて試合を見たときから、彼女の力強さには惹かれた。インタビューでの受け答えも良かった。彼女の人と成りが素直に伝わってくる、テレビ報道の成功例であろう。

 彼女自身の魅力と存在感があるから、カメラをむけるだけでコトは済むが、彼女ほど魅力や存在感がない対象物にカメラをむけるとなると、押しつけがましくなるというのが実状のような気がする。

 飲み屋さんでは「とりあえずビール」で、次に飲むのは芋焼酎のお湯割りだが、レストランでは赤ワインを頼むこともよくある。健康にいいと聞かされているのが、赤ワインを頼む理由なんでしょうね。いつだったか、カナリア諸島のハイキングを楽しんでいた折、昼食時のテーブルで「この島は白ワインがおいしいんです」と案内されると、じゃ白ワインを飲んでみるか、という気になる。流通量が2.5%のロゼについては、頭に残ってはいなかった。

 そんな自分でも、「ロゼワイン 人気熟成中?」などという記事が目に飛び込むと、今度はロゼでも飲んでみるか、という気になる。考えてみると、情報源というのはマスコミしかないような気がする。友人から仕入れた情報だって、出所はマスコミに違いない。マスコミにご用心といいながら、マスコミにがんじがらめにされているようだ。

 かくてブームに乗せられる(笑)。

岩崎登山新聞 http://www.iwasaki-motoo.com/home.html
無 名 山 塾 http://www.sanjc.com/


観戦でなく参戦

2018-08-23 09:55:51 | Weblog

 8月8日付け朝日新聞夕刊トップ記事の見出しは、「スポーツ観戦 これからは街で」とあった。大型商業施設や駅前などでのスポーツイベントの開催が、近年人気となっている。特に若い世代を集客するねらいで、人の集まる場所に特設の競技スペースをつくることが多くなっている、とか。記事では、コートサイズが比較的狭く、様々な場所での開催が可能な3人制バスケットボールを取り上げ、「これからは人のいるところにスポーツ側が出て行く」という考え方を示した。

 ビーチバレー、スケートボード、ボルダリングなども都市型スポーツとして並べ。「これまでのトラディショナルなスポーツだけでは若者のスポーツ離れを食い止められない。スポーツが待ちの姿勢から攻めの姿勢の変化していくことが大事だ」と言う日本アーバンスポーツ支援協議会々長の渡辺守成氏の話しを紹介している。

 ぼくはこの記事を読んで、ちょっと違うんじゃないかと感じたのだ。「人の集まる場所に特設の競技スペースをつくること」は、スポーツ観戦者を増やすことにはなろうが、スポーツする人を増やすことにはならないと思う。むしろスポーツ離れに拍車をかけるだけではあるまいか。

 以前このページに、「サポーターではなくプレイヤーになろう」という趣旨の論評を書いた。人生の主人公は自分自身である。他人様を応援することは、美徳の一つではあるが、応援者あるいは観戦者という在りようは、自分自身のアイデンティティになるはずがない。どんなに熱く応援しようと、勝利という果実を手にするのは彼であって自分ではない。敗北という苦い薬を飲めるのも彼であって自分ではない。応援や観戦は舞台の上ですることではない。人生の主人公になりえるはずがない。プレイヤーあるいは参戦者であることこそ、自身のアイデンティティの拠り所だ。

「自分捜し」という言葉をよく聞くが、これもまやかしである。捜す必要などない。自分はまぎれもなく、そこ、その場にいるではないか。応援や観戦にうつつを抜かしていると、自分を見失ってしまう。プレイヤーになる、参戦者になる、自分の体を動かせば、自分はそこにいることを発見できるだろう。

 困ったことに、「体の動かし方が分からない」という方が少なからずいる。そんな方たちへのアドバイス、「山に登ってみませんか」。はじめの一歩は高尾山、表参道ともいうべき1号路を登ってみよう。山道具を揃える必要はない。Gパンに運動靴でいいが、ハイヒールはダメ。信じられないことに、ハイヒールで登る女性がいるのだ。新宿から京王線で高尾山口まで行く。改札口を出て右へ5分歩けばケーブルカーとリフト乗り場の清滝駅前。右へ緩やかに登っていくアスファルト舗装の車道が1号路だ。山頂まで約2時間、下りはケーブルカーに乗ってもいいことにする。

岩崎登山新聞 http://www.iwasaki-motoo.com/home.html
無 名 山 塾 http://www.sanjc.com/


夏山登山計画のポイント

2018-07-20 16:57:14 | Weblog

 夏は暑くて当たり前だが、今夏の暑さは異常である。こんな暑さの中、都市近郊の低山を歩いていたのでは熱中症に捕らわれること必定。めざすは中部山岳の高山か、東北、あるいは北海道の山にしたい。

 中部山岳といえば北アルプス、南アルプス、中央アルプス、八ヶ岳。山好きの憧れは槍ヶ岳、白馬岳、穂高岳、剱岳、北岳、甲斐駒ヶ岳、仙丈岳、赤石岳、木曽駒ヶ岳、赤岳、阿弥陀岳。山名が並んだら、その山の特性を考えてみる。ポイントは、技術を必要とする山なのか、体力勝負の山なのか、である。

 槍ヶ岳や剱岳は岩登り技術を要求される山である。山登りに夢中になり始めた多くの山好きは、ネームバリューのある山、技術を要求される山に憧れる。数年前のことになるが、著名な女流登山家が奥穂高岳からジャンダルムを越えて、西穂高岳に縦走した映像が流れると、ジャンダルムがブームになった。ジャンダルムの通過は岩場が連続する、我が国でもトップクラスの難コースだ。めざすとなったら、3級の岩場がリードできるくらいに岩登りのトレーニングを重ねてからにしてほしい。

 必要なトレーニングをせず、憧れだけで一歩踏み出してしまう結果、剱岳のカニのタテバイで最初の一歩が立ちこめなくて逡巡している方、現場は大渋滞。カニのヨコバイでもしかり、現場は大渋滞、大迷惑である。

 ツアー登山、ガイド登山が当たり前になっている昨今、剱岳をめざすガイド登山に申し込んで、登ったつもりになっている方、ご用心。登るのはご自身の足と手と頭であることはお忘れなく。ご自身の足と手と頭がそれなりでないと、怖い思いをするのはご自身である。

 ネームバリューある山への憧れを捨て、今夏の山は体力勝負の山をお勧めしたい。南アルプスの雄、赤石岳は登り甲斐がある。1日目、椹島まで入って泊。2日目千枚小屋、3日目荒川小屋、4日目赤石岳を越えて赤石小屋、5日目椹島に下って帰京。充実の夏山登山になること請け合いだ。

 長期休暇が取れる夏、北海道の山を計画するチャンスでもある。北海道には日本百名山が9座ある。ぼくが初めて計画した山は、日高山脈最高峰の幌尻岳だった。登頂の成否を左右するのは、額平川の水量だ。ベースとなる幌尻山荘まで十数回の徒渉を強いられる。ぼくらがめざしたその日、額平川は前日の雨で増水、登山を断念、翌年出直して幌尻岳の頂きを足下にした。そこであきらめない方がいる。せっかく北海道まで来たのだからと無理矢理突っ込む。徒渉に失敗して流されて遭難、そんな事故が時として発生している。計画のポイントの一つに、「断念」を入れておきたい。

 話しがとりとめもなくなったが、年に一回の夏山登山チャンス。タテ・ヨコ・ナナメ、じっくり考えて、計画を練り上げて頂きたい。

岩崎登山新聞 http://www.iwasaki-motoo.com/home.html
無 名 山 塾 http://www.sanjc.com/


五頭山と遭難事

2018-06-20 13:23:26 | Weblog

 ゴールデンウィーク明け、「新潟県の五頭連山で遭難」の報にびっくりさせられた。「五頭山」と聞かされて、その山がどこにあって、どんな山なのか即答できる山好きは、地元の方たちを除けば決して多くはないと思う。かなりマイナーな山だ。30年くらい前、『新ハイキング』誌で、「五頭山~松平山」のガイド記事に出会った。面白そうな山だなと感じるものがあって、「山の遠足」企画に取り上げ、参加者を募集し、早速歩いてみた。5月下旬のことだったと記憶する。残雪にご用心というガイド記事のアドバイスに従って、参加者には軽アイゼンを用意してもらい、自分は念のため40mのメインロープを携行した。

 五頭山の麓には、五頭温泉郷と呼ばれる村杉、今板、出湯と温泉があるのも魅力、ぼくのご贔屓は出湯温泉だ。入口には「五頭登山口」と彫られた石柱があった。今も健在なのだろうか。案内に従ってやまびこ通りに出、その道を辿ると砂郷沢橋。ここから沢沿いの林道に入ると、どん詰まりから山道が始まる。気分よく登っていくと烏帽子岩を過ぎ、急登を頑張ると五ノ峰に立つ。その先に四ノ峰、三ノ峰、二ノ峰、一ノ峰と続く。一ノ峰は五頭龍神が祀られていて眺望もよく、気分のいい頂き。五頭山三角点はこの先、主稜線上にある。

 三角点から松平山にむかう。尾根の背を通っているときは問題ないが、コースが山腹をまくようになって沢の源頭をトラバースするとになると、そこに雪渓が残っていた。傾斜がけっこう急で、スリップしたら谷底まで滑落する。ぼくは安全を期し、ロープをフィックスした。スリップしてもフィックスロープにぶらさがるだけ、恐怖はない。恐怖がないとへっぴり腰にならず、斜面にしっかり立って足を運べるからスリップの心配がない。参加者全員余裕でトラバース。松平山を超え、出湯温泉に下山。

 山の雰囲気に魅せられて、五頭山にせっせと通うようになったが、いつしか足が遠くなり、忘れかけていたところに「遭難」の報。ぼくの頭に瞬時に浮かんだのは、主稜線上の沢の源頭に残る雪渓のトラバース。マスコミ報道にみる限り、軽アイゼンやロープを携行しているとは思えない。スリップしてコースからはずれれば、大事に至ることは必定だ。残念ながら、行方不明になっていた親子のご遺体は5月29日、松平山山頂から南西約1.7㎞、標高約580mのコクラ沢の斜面で発見された。

「低い山にも潜む危険」とは、山をよく知る人が必ず指摘すること。目の前の山がマッターホルンみたいだったら、山慣れない人がめざすようなことはない。しかし、我が国の近郊の低山は、緑豊かでたおやかで、初心者でも容易に登れそうな山容をしている。多くの登山初心者がスニーカーやGパンなど身軽な恰好で入り込むが、豊かな緑に隠されて急な雪渓があり、岩場があり、脆いガレ場があったりする。麓からは見えない危険を認識して、登山して頂きたい。


岩崎登山新聞 http://www.iwasaki-motoo.com/home.html
無 名 山 塾 http://www.sanjc.com/