『住民投票をやってしまえば多数意見だけに従って政治を動かさなければいけなくなる。住民投票という手段をとらなくても、市長は国に対してどんどん意見を言っていけばいい。間接代表制とはそういうことだ』
読売情勢調査
読売新聞社は10日投開票の山口県岩国市長選について、世論調査と取材を基に情勢を分析した。新人で前自民党衆院議員の福田良彦氏(37)と、再選を目指す前市長の井原勝介氏(57)(ともに無所属)が、横一線で激しく競り合っている。
有権者の4人に1人は態度を決めておらず、情勢は流動的だ。
市長選は在日米軍再編に伴う米海兵隊岩国基地への空母艦載機部隊移駐受け入れに反対する井原氏の辞職に伴うものだ。受け入れに柔軟姿勢を示す福田氏との一騎打ちとなっている。
福田氏は自民支持層の6割、公明支持層の6割強を固めた。井原氏は、実質支援する民主支持層で6割強の支持を得ている。支持政党のない無党派層では井原氏支持が4割強、福田氏が2割強となっている。
移駐計画の日米合意案については「賛成」が15%、「地元の意見を反映して修正すれば賛成」が31%、「反対」が47%だった。「賛成」と答えた人の7割強は福田氏を支持した。「修正すれば賛成」では福田氏が6割弱、井原氏が2割弱の支持を得た。「反対」は井原氏支持が6割で、2割弱が福田氏を支持した。
選挙の争点として特に重視したい問題(複数回答)は、〈1〉「基地や米軍再編の問題」(67%)〈2〉「市の行財政改革」(48%)〈3〉「地元経済の活性化」「医療や福祉の充実」(ともに47%)--などの順だった。
調査は市長選告示の3日午後から4日にかけて、岩国市の有権者を対象に、無作為に作成した番号に電話をかける方法で実施した。有権者在住が判明した1251世帯のうち815人から回答を得た(回答率65%)。