ダウト ～あるカトリック学校で～

評価：★★★★[4/5]



嘘から出た誠・・・？

◇

１９６４年。
アメリカ・ニューヨーク。
ブロンクスのカトリック学校に教える
鉄のように厳格な校長シスター・アロイシスは
ある“疑惑”を抱いていた。

それは、
進歩的で生徒ににも人気があるフリン神父が
学校で唯一の黒人生徒と“不適切な関係”を
持っているのではないか？ということ。
純真な新人教師シスター・ジェイムズの
目撃談によって芽生えた小さな“疑惑”は
やがて、一滴の毒が浸透していくかのように
シスター・アロイシスの心を支配し
フリン神父に対する激しい敵意へと変貌していく。

彼のいかなる釈明にも、頑なに耳を傾けないアロイシス。
一方、
シスター・ジェイムズはフリン神父の説明を聞き入れ
反対に“疑惑”のモンスターと化したアロイシスへの
不信感を募らせていく。

果たして、すべてはシスター・アロイシスの妄想なのか？
それとも、フリン神父は虚偽の証言を行っているのか？
＜公式サイト＞

◇

元々は互いに“そり”が合わない校長と神父。
立場的には神父の方が校長より上であるとのことだ。
カトリック学校のことは無知である私にとっては
映画を通して知識が付いていくことに感謝する次第だ＾＾

本作のストーリーは、とてもシンプルであるが故
演じる俳優らの技量を問われる作品だと思った。
厳格な校長シスター・アロイシスにメリル・ストリーブ。
対する、フリン神父にはフィリップ・シーモア・ホフマン。
まさに演技界のヘビー級タイトルマッチと言えよう。

さらに脇を固める新人教師役のエイミー・アダムスと
黒人生徒の母を演じたヴィオラ・デイヴィスが
主役を食っていたんじゃないかと言うくらい
存在感があって、この演技合戦は見応え十分であった。

黒人少年への性的虐待疑惑で
中盤辺りから息詰まる言葉の応酬合戦に
幾分不利な展開になる神父さんだが
後半から徐々に反撃に出てカウンターがヒットし始める。
このまま優勢勝ちで行くのかと思いきや
終盤で校長の出会い頭のカウンターが顎にヒットすることに。

初めはお互いに冷静さをもって
大人の対応をしていたのだが
話が核心に迫ってくる頃には、お互いが
感情を露わにし始めるのである。
しかし、一切の無駄のない台詞に脚本の良さが伺える。

ラストで掟破りの暴挙に出た校長。
そしてそこから見えてきたものは意外なものだった。

この結末はそれぞれの観客に委ねられている。
その答えは観ているひとが決めなさいと・・・。

映画の題名“ダウト”は
トランプゲームにもありますね＾＾

鑑賞前は、くどい映画かなと思っていたが
意外とそういうこともなく
寧ろ、余りにもシンプルで映画のキーとなる
その一点のみに観る者を引きつけさせているので
まったく飽きさせないし
また、カメラの構図といい、挿入されている音楽の質の高さも含め
なかなかによく出来た作品であった。


おまけ）
・カメラの構図が見どころのひとつだなと思っていたら
なんと！『ファーゴ』『ノーカントリー』の撮影監督さんでした。

・学校にラジオを持って来て没収された男子生徒。
もしかしたらこいつ、子供時代のＭ・マドセンじゃないのか？

・悪ガキ男子のひとりにＳ・ヨハンソンそっくりな奴が居たが・・

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監督：ジョン・パトリック・シャンリー
脚本：ジョン・パトリック・シャンリー
撮影：ロジャー・ディーキンス
音楽：ハワード・ショア


出演：メリル・ストリープ/フィリップ・シーモア・ホフマン/
　　　エイミー・アダムス/ヴィオラ・デイヴィス/


『ダウト ～あるカトリック学校で～』