![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/41/8a/7dc5034f2ac00f956957dfbecde5e6e3.jpg)
評価:★★★★[4/5]
老人版『俺たちに明日はない!』。
老夫婦による強盗犯の怖いところは、手元が狂って
意図せず発砲しないかというところかもしれません^^;
◇
運命的な出会いを機に結婚したエミルとヘディも、
今では81歳と70歳。
互いに恋に落ちていた頃のことなどすっかり忘れていた。
年金だけでは暮らしていけず、借金取りに追われる毎日の中、
ついに二人の出会いのきっかけだったダイヤのイヤリングをも
借金のカタに取られてしまう。
高齢者に冷たい世の中に怒りを覚えた夫のエミルは、
イヤリングを奪い返すために持病のギックリ腰を押して
20年ぶりに愛車のチャイカを飛ばし、なんと郵便局を紳士的に強盗!
それを皮切りに次々と強盗事件を重ねていく。
一度は警察に協力した妻のヘディも、
奮闘する夫の姿にかつての愛しい気持ちを思い出し、
手を取り合って逃げる決心をする。
<映画サイト>
◇
冒頭、1950年代後半、社会主義国家ハンガリーのとある豪邸。
運命的な出会いをするふたりのシーンがなんとも印象的です。
ドラマティックでまさに映画みたいな出会い!(って映画ですけど)
それから半世紀以上経った現代にストーリーは飛びます。
いまでは年金生活となり少額の年金だけでは借金が増える一方。
夫のエミルは慢性型の持病持ち、ひとり息子は事故で30年前に他界。
この夫婦にとっての楽しみは本とテレビを観ることくらい。
夫婦の会話も殆んどなく、生活からは笑顔がなくなっている。
そして、そんな夫婦に追い打ちをかけるように
家賃滞納で電気は止められ家財道具は差し押さえられ、
挙句は妻の宝物のダイヤのイヤリングまで取られてしまう。
老い先を悲観した夫のエミルは唯一残った年代物の
愛車・1958年型チャイカとそれに偶然付属されていた
ソ連式銃のトカレフを眺め、ある決断をするのだった。
最初の郵便局強盗のシーンはシロウトということもあり
普通に順番待ちをしてるエミル。(強盗する緊張感ありません)
自分の番の時に若い男に割り込まれても
「先に悪いね」「あ~、いいですよ年寄りは暇ですから」
そして自分の番の時に局員に告げるのだった。
「悪いんですけど、この袋に有り金全部入れてもらえませんか?」
「・・・え?もういちど要望を」
「このレジ袋に有り金を全部いれてもらいたいんですけど」
「ここにトカレフ持ってるんですけど発砲したくないんです」
(う~ん、こんなやりとりだったような)
しかし、ほのぼのとした光景でしたね。
まわりの誰もまったく気が付かないのが可笑しかった。
ただ、女性局員は恐怖で半泣き状態でしたけど。
この郵便局強盗の後、ガソリンスタンド強盗もして
後日、連続強盗事件として防犯カメラに映っていた映像が
テレビニュースで流れ、テレビを観ていた妻へディは動揺する。
数日後、警察に身元が知れ、警察への捜査協力をすることに。
夫からの電話を受け、警察と連携して待ち合わせ場所に行くも
久しぶりに再会した夫が以前より逞しくなっていることを感じるへディ。
警察に間一髪捕まえられるところで寝返ってしまうへディが居た。
「いっしょに逃げるのよ!」
鉱山跡地から一気に逃走劇へとストーリーは展開して行く。
というふうに書くとスピーディーな逃走劇みたいですが
映画は、58年型のビンテージカーということでスピードが出ない^^
運転してるエミルが高齢者ということもありますが^^;
でも、トルクは凄かったですね。鉱山跡地の勾配45度くらいを
グイグイ登って行ってしまい、警察を振り切ってしまうんです(笑)
この辺りはコメディ要素満載で、警察のへタレぶりが可笑しい。
以降、夫婦二人での共同作業であらゆる強盗をしながらの
逃避行は見ていて爽快感さえ感じてしまうんです。
今までの強盗犯と一線を画すといえばいいんでしょうか?
エミルは大金を手にしたことで、へディのためにドレスを買い
高級ホテルを予約してサプライズパーティーをします。
今まで、経験したことのない幸福感を味わい
30年ぶりに心底笑うことが出来た瞬間がそこにあったのです。
ふたりは今この瞬間こそ『人生に乾杯!』していたのでしょう。
連日、報道される強盗犯逃走劇に対して
街の反応は次第に強盗老夫婦への応援へと変わって行き
街にはハンガリー政府へのデモまで始まってしまう成行きに
どことなく『バニシング・ポイント』を思い出しますね。
警察の捜査がへタレなのかエミル夫婦が頭脳的なのか
警察への援護をするなら、それまで経験したことのない
あまりにも予想外の強盗夫婦の行動としておきましょう^^
ラストは陽炎立ち上る一本道の道路封鎖をした大型ブルドーザーに
遠方からアクセル全開でぐんぐん近づいてくる黒い高級セダン。
ブレーキをかける様子もないその車に周りの警察もあわてて避難する・・
え~!うそでしょ~!
まさか!・・・『バニシング・ポイント』行っちゃう???
全編を通して逃避行に使う車は58年型の
旧ソ連製の政府要人用リムジン「チャイカ」。
![](http://www.geocities.jp/pupubbjp/1958-2.jpg)
冒頭でこのチャイカの運転手を務めていたエミルは
後に社会主義国家の崩壊から個人で貰ったものなんでしょう。
しかしまぁ、50数年にも渡って大事に手入れして
今でも十分に走らせることが出来るのが凄い!
イーストウッドの「グラン・トリノ」よりも上を行くかもしれない(笑)
しかし、銃の扱いに関してはイーストウッドの方が断然上!(当然やね)
おまけ)
・妻のへディがとってもキュート。
70歳にしてあの可愛さはどこから来るのでしょうか。
機転が利いて会話にユーモアがあったことと
愚痴をいっさい口にしなかったことが印象に残りました。
・ドンデン返しの爽快感ってこういう映画のことでしょうね^^
------------------------------------------------------------
監督:ガーボル・ロホニ
脚本:バラージュ・ロヴァシュ/ジョルト・ポジュガイ
撮影:ペーター・サトマーリ
音楽:ガーボル・マダラース
出演:エミル・ケレシュ/テリ・フェルディ/ユーディト・シェル/
『人生に乾杯!』
老人版『俺たちに明日はない!』。
老夫婦による強盗犯の怖いところは、手元が狂って
意図せず発砲しないかというところかもしれません^^;
◇
運命的な出会いを機に結婚したエミルとヘディも、
今では81歳と70歳。
互いに恋に落ちていた頃のことなどすっかり忘れていた。
年金だけでは暮らしていけず、借金取りに追われる毎日の中、
ついに二人の出会いのきっかけだったダイヤのイヤリングをも
借金のカタに取られてしまう。
高齢者に冷たい世の中に怒りを覚えた夫のエミルは、
イヤリングを奪い返すために持病のギックリ腰を押して
20年ぶりに愛車のチャイカを飛ばし、なんと郵便局を紳士的に強盗!
それを皮切りに次々と強盗事件を重ねていく。
一度は警察に協力した妻のヘディも、
奮闘する夫の姿にかつての愛しい気持ちを思い出し、
手を取り合って逃げる決心をする。
<映画サイト>
◇
冒頭、1950年代後半、社会主義国家ハンガリーのとある豪邸。
運命的な出会いをするふたりのシーンがなんとも印象的です。
ドラマティックでまさに映画みたいな出会い!(って映画ですけど)
それから半世紀以上経った現代にストーリーは飛びます。
いまでは年金生活となり少額の年金だけでは借金が増える一方。
夫のエミルは慢性型の持病持ち、ひとり息子は事故で30年前に他界。
この夫婦にとっての楽しみは本とテレビを観ることくらい。
夫婦の会話も殆んどなく、生活からは笑顔がなくなっている。
そして、そんな夫婦に追い打ちをかけるように
家賃滞納で電気は止められ家財道具は差し押さえられ、
挙句は妻の宝物のダイヤのイヤリングまで取られてしまう。
老い先を悲観した夫のエミルは唯一残った年代物の
愛車・1958年型チャイカとそれに偶然付属されていた
ソ連式銃のトカレフを眺め、ある決断をするのだった。
最初の郵便局強盗のシーンはシロウトということもあり
普通に順番待ちをしてるエミル。(強盗する緊張感ありません)
自分の番の時に若い男に割り込まれても
「先に悪いね」「あ~、いいですよ年寄りは暇ですから」
そして自分の番の時に局員に告げるのだった。
「悪いんですけど、この袋に有り金全部入れてもらえませんか?」
「・・・え?もういちど要望を」
「このレジ袋に有り金を全部いれてもらいたいんですけど」
「ここにトカレフ持ってるんですけど発砲したくないんです」
(う~ん、こんなやりとりだったような)
しかし、ほのぼのとした光景でしたね。
まわりの誰もまったく気が付かないのが可笑しかった。
ただ、女性局員は恐怖で半泣き状態でしたけど。
この郵便局強盗の後、ガソリンスタンド強盗もして
後日、連続強盗事件として防犯カメラに映っていた映像が
テレビニュースで流れ、テレビを観ていた妻へディは動揺する。
数日後、警察に身元が知れ、警察への捜査協力をすることに。
夫からの電話を受け、警察と連携して待ち合わせ場所に行くも
久しぶりに再会した夫が以前より逞しくなっていることを感じるへディ。
警察に間一髪捕まえられるところで寝返ってしまうへディが居た。
「いっしょに逃げるのよ!」
鉱山跡地から一気に逃走劇へとストーリーは展開して行く。
というふうに書くとスピーディーな逃走劇みたいですが
映画は、58年型のビンテージカーということでスピードが出ない^^
運転してるエミルが高齢者ということもありますが^^;
でも、トルクは凄かったですね。鉱山跡地の勾配45度くらいを
グイグイ登って行ってしまい、警察を振り切ってしまうんです(笑)
この辺りはコメディ要素満載で、警察のへタレぶりが可笑しい。
以降、夫婦二人での共同作業であらゆる強盗をしながらの
逃避行は見ていて爽快感さえ感じてしまうんです。
今までの強盗犯と一線を画すといえばいいんでしょうか?
エミルは大金を手にしたことで、へディのためにドレスを買い
高級ホテルを予約してサプライズパーティーをします。
今まで、経験したことのない幸福感を味わい
30年ぶりに心底笑うことが出来た瞬間がそこにあったのです。
ふたりは今この瞬間こそ『人生に乾杯!』していたのでしょう。
連日、報道される強盗犯逃走劇に対して
街の反応は次第に強盗老夫婦への応援へと変わって行き
街にはハンガリー政府へのデモまで始まってしまう成行きに
どことなく『バニシング・ポイント』を思い出しますね。
警察の捜査がへタレなのかエミル夫婦が頭脳的なのか
警察への援護をするなら、それまで経験したことのない
あまりにも予想外の強盗夫婦の行動としておきましょう^^
ラストは陽炎立ち上る一本道の道路封鎖をした大型ブルドーザーに
遠方からアクセル全開でぐんぐん近づいてくる黒い高級セダン。
ブレーキをかける様子もないその車に周りの警察もあわてて避難する・・
え~!うそでしょ~!
まさか!・・・『バニシング・ポイント』行っちゃう???
全編を通して逃避行に使う車は58年型の
旧ソ連製の政府要人用リムジン「チャイカ」。
![](http://www.geocities.jp/pupubbjp/1958-2.jpg)
冒頭でこのチャイカの運転手を務めていたエミルは
後に社会主義国家の崩壊から個人で貰ったものなんでしょう。
しかしまぁ、50数年にも渡って大事に手入れして
今でも十分に走らせることが出来るのが凄い!
イーストウッドの「グラン・トリノ」よりも上を行くかもしれない(笑)
しかし、銃の扱いに関してはイーストウッドの方が断然上!(当然やね)
おまけ)
・妻のへディがとってもキュート。
70歳にしてあの可愛さはどこから来るのでしょうか。
機転が利いて会話にユーモアがあったことと
愚痴をいっさい口にしなかったことが印象に残りました。
・ドンデン返しの爽快感ってこういう映画のことでしょうね^^
------------------------------------------------------------
監督:ガーボル・ロホニ
脚本:バラージュ・ロヴァシュ/ジョルト・ポジュガイ
撮影:ペーター・サトマーリ
音楽:ガーボル・マダラース
出演:エミル・ケレシュ/テリ・フェルディ/ユーディト・シェル/
『人生に乾杯!』
衛星第2への光臨を気長に待ってみたいものです・・
これは是非観に行きたく思っている一作です。大阪では「今夏ロードショー」となってるだけで未だ公開日は知れず・・・。
愛知県は早いですね!
鑑賞が叶った追っかけコメントさせて頂きます。
雰囲気的には
イギリス、フランス、イタリア映画のどれとも違い
ロシア、ドイツ映画に近いものがあった作品でした。
微妙に垢抜けてない感じを受けたのは
見たことのない俳優さんだからかもしれません。
こう云う映画こそハリウッドでリメイクしてもらいたいと思うんですけどね^^;
主演はジェームズ・クロムウェル&ダイアン・キートン。
まちがってもジョン・マルコヴィッチ&フランシス・マクドーマンドは内容が変わっちゃう(笑)
映画のちらしを“ちら見”しただけで「観賞するぞ!」と決めてましたよ。
夏公開なんですね。遅くても8月には公開して欲しいですよね^^
へディらのココロの動きをぺろんぱさん流の切り口で語られるのを楽しみにしてますからね^^
泥棒は犯罪ですが、何とも微笑ましくコミカルなご老人でしたね!
>妻のへディがとってもキュート
思いました♪
育ちの良さが出ていて、ディナーのシーンは貴婦人でしたね。
それにしてもソ連産チャイカって凄い車でした(笑)
itukaさんも愛知なんですね~私もです。
この映画は栄付近へお出かけでしたでしょうか(笑)
これからも宜しく!
この老人夫婦にとっての身内は、もはや一緒に暮らしている相手だけ。
子や兄弟に迷惑が掛からないから行動に移れたんでしょうね^^
>育ちの良さが出ていて、ディナーのシーンは貴婦人でしたね。
ディナーでの立ち居振る舞いとか、ドレスが似合ってましたもんね^^
>itukaさんも愛知なんですね~私もです。
>この映画は栄付近へお出かけでしたでしょうか(笑)
そうだったんですか!すごく親近感を覚えますね^^
そうです!栄の名演小劇場まで行ってきました(笑)
もしかしたら、ロビーで遭遇してるかもしれないですね^^
こちらこそよろしくです。
見られない可能性大です。
昨夜は「真夏のオリオン」を見てきました。
潜水艦ものは米映画に傑作がありますが、日本映画では珍しいのでは?
「眼下の敵」や「Uボート」と比べては可哀想かもしれない。まぁ見て損はない映画でした。
★3.5/5
玉木や俳優たちが潜水艦乗りにしては背が高すぎ。あの時代にあんなアゴのとがった殿様顔はいなかったのでは? 時代劇なども含め、日本人の顔つき・体形が激変してるので大変ですよね。
名演なら7/4からも小劇場2(1階スクリーン)で継続上映されますよ~
ただし、こちらはスクリーンがちっちゃい^^;
座席も40席くらいだったような・・。
>昨夜は「真夏のオリオン」を見てきました。
お~!ご覧になったのですね。
>「眼下の敵」や「Uボート」と比べては可哀想かもしれない。まぁ見て損はない映画でした。
>★3.5/5
さすがに過去の名作との対比は辛いですけど
でも、『ローレライ』よりは良いかもしれないですね。
>時代劇なども含め、日本人の顔つき・体形が激変してるので大変ですよね。
日本人の西洋化ということですかね^^;
主役の顔が綺麗すぎます(笑)
侍フェイスな俳優さんは他に居るはずなのに^^
最後のオチを見るまで気がつきませんでしたよ。いい映画ですね。
★5/5