ベルト・バックル修理 革漉き・裁断 伊東金属製作所

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ルイヴィトンのバックルって真鍮だけじゃないんですね

2018-01-09 19:14:03 | ルイヴィトン修理

ルイヴィトンのエピなどについているこのバックル、時折お客様からメッキ直しのご相談をいただきます。
メッキ直しと言うのは、一度メッキを完全に剥離して、生地の状態まで戻してから、バフをかけて傷を取り除きます。
その後に再度メッキという工程になりますが、一番の問題は剥離です。
メッキの剥離液というのは、材質によって使い分けます。
真鍮であれば容易なのですが、亜鉛だと亜鉛が剥離液の中で一緒に溶けてしまって表面が荒れてしまいます。
剥離具合を見極めながら非常に慎重な作業が要求されます。
それでも100%は無理だと思います。
時折失敗あっての作業なのです。

ということは、お客様からお預かりした一点もののバックルを、十中八九の作業では行うことができませんので、弊社では真鍮であると100%確信ある場合のみ、お引き受けしています。
今のところはエルメスのコンスタンスがそれにあたります。

ルイヴィトンであれば亜鉛は使わないいだろうと、確かなルートから使い古したルイヴィトンのバックルを入手しました。
これでメッキ直しができれば、作業出来るバックルの種類が増えますので、テストしようと思いまして。
一つでも多くの修理ができればと、日々研修しているのです。


分解してビックリしました。
これ、亜鉛のダイキャストだし。。

中央のパーツの2つある穴の真ん中に、丸い凹み、これがダイキャストである証拠です。
金型に溶かした亜鉛を流し込む際の、押し出しの跡ですね。
バックルにも合わせ目が見えますし、間違いなくダイキャストです。
これじゃ、メッキ直しなんてできません。

ネットではこのバックルのメッキ直しましたという記事も見かけたので、私もてっきりこれは真鍮なので出来ると思っていました。

そういえば以前、このバックルのメッキ直しを依頼されて、その時は断ってベルトのお直しだけお引き受けしたのですが、お客様が他店へメッキの依頼を出したようで、その際に仕上がりが悪くもめているようなお話も伺いました。
その時は、真鍮なのに仕上がり悪いなんて・・・
と、思っていたのですが、これでそのときの謎が解けました。
このバックルは手を出してはいけないやつです。
たまたま成功することはあると思います。
が、100%とは言わずとも、99%くらいは成功する作業で無いと、修理なんてとても引き受けられません。
このバックルのメッキ直しを引き受けるなんて、かなりいい加減な所もあるもんだと、ちょっと心配になりました。



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