出典:八重山毎日新聞 2009年11月8日より
漂着ゴミをエネルギーに 油化装置を公開実験
発砲スチロールを燃料化
【鳩間島】鳩間島の焼却炉構内に設置した油化装置で、海岸に漂着した発泡スチロールからスチレン油を抽出し、新たなエネルギーとして使用する「鳩間島・宝の島プロジェクト」の公開実験が7日午後、現地で行われた。実験では、地域住民や行政、議員などが参加するなか、油化装置を使った発泡スチロールからのスチレン油の抽出や、それを発電機や小型焼却炉の燃料に混ぜて使用するデモンストレーションが行われ、海岸漂着ごみの発泡スチロールの燃料資源としての可能性が示された。
同プロジェクトは、(社)日本海難防止協会が日本財団の財政支援を受けて企画したもので、地域住民を中心としたNPO南の島々守り隊(浦崎金雄理事長、11人)が主体となってプラントを管理・運営する。
同島で稼働した油化プラントは、1時間に10キロの発泡スチロールを処理する能力があり、1キロの発泡スチロールから1リットルのスチレン油が抽出される。
同プラントでは、抽出する3割のスチレン油を内部燃料として使用。残りの7割を外部で燃料として使用できる。軽油などに10%程度を混ぜ、ボイラーや焼却炉、漁船などの補助燃料として使用することが可能。町の焼却炉では、100%燃料として使用できる可能性があると言う。
同協会の大貫氏は「発泡スチロールから抽出されるスチレン油は漁船や発電機の燃料などいろいろな使い方ができる。島の人々が中心になってこれを使った島興しを考えてほしい。私たちはこれをサポートしたい。鳩間島スタイルを全国に展開したい」と、油化を使った島興しに期待を込めた。
また、同NPOの浦崎理事長(60)は「これからみんなで意見を出し合い、じっくりと使用方法を考えたい。同じ悩みを抱える島々に鳩間から発信し、そこから視察に来てくれるだけで島が活性化される。いずれは町内全域の発泡スチロールをここで処理したい」と意欲をみせた。
川満町長も「ごみが資源となり燃料に変わる。産業化や島興しも期待したい。成功すれば県、国も関心を示し、鳩間から全国、全世界に広がる可能性がある」と、今後の展開に期待した。
同島での社会実験は2010年度までの2カ年間。次年度は、油化原料をペットボトルや漁具などプラスチック類に拡大するほか、車両で移動が可能なコンテナ式の移動プラントの導入も計画されている。
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