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青春グラフィティ

青春時代に見に行った映画のパンフレットやレコードのコレクションから懐かしい場面にタイムスリップ

ヨーロッパ映画・名作編Ⅰ-1

2009-04-03 01:20:15 | レコード(映画)

鉄道員  労働者の汗の匂いと少年の笑顔がよりそう

前掲:http://blog.goo.ne.jp/isc_info/e/b6f126bb08da1f2ba5c280f288050cce

映画とはこんなにも素晴らしいものだと、感動した。テーマ音楽はカルロ・ルスティケリの名曲。甘くせつないメロディ。この作品によって映画にのめりこむようになったのだ。1956年作のピエトロ・ジェルミ監督・主演の傑作。そしてエドアルド・ネヴェラ少年の傑作。





50歳のクリスマスを迎えた鉄道機関士アンドレア・マルコビッチ(ピエトロ・ジェルミ)は、末っ子のサンドロ(エドアルド・ネヴェラ)から英雄のように慕われていた。なぜなら、アンドレアは銀モールに輝く制帽をかぶり、最新式の電気機関車を運転し、誰よりも酒を飲み、誰よりも巧くギターを弾いたから。だが、長女のジュリア(シルバー・コシナ)と長男のマルチェロ(レナート・スペツィアーリ)には、厳格で律儀で一徹な父親がやりきれなかった。長女も長男も問題をかかえており、やがて父親と衝突する事は避けられない情勢だった。今まで持ちこたえていたのは、優しく、献身的な母親サーラ(ルイザ・デラ・ノーチェ)がいればこそ。
長女ジュリアは近所の食料品店の青年レナート(カルロ・ジュフレ)を愛していたが、少し前から二人の仲はしっくり行かなくなっていた。しかも、彼女はレナートの子を宿していた。このことを知って激怒した父親はレナートとの結婚を急がせ、すべてを諦めたジュリアは、レナートと結婚式をあげた。しかし、まもなく彼女は流産。夫との仲も父との仲もうまくいかなくなった。
長男のマルチェロは、夫の犠牲になって忍従の母親に同情し、横暴な父を憎み、我が家を嫌い、不良と付き合うようになっていた。ただ末っ子のサンドロだけが、相変わらず無邪気に振舞っていた。
月日が過ぎ、ある日アンドレアが運転する列車に若者が身を投げた。急ブレーキをかけたが、間に合わなかった。それを気に病んだ彼は、赤信号を見落とし、危うく衝突事故を起こしそうになった。
この事件により、アンドレアは取調べを受け、操車場の機関士に格下げされてしまった。労組大会に自分の立場を訴えたが、親身に考えてもらえなかった。緊張続きの激務に神経をすり減らしている機関士の実情を解って欲しかったのだ。
この事件以来アンドレアは悩み、酒に溺れ、孤独になっていった。そして破局が訪れる。激しく父親と対立した長男のマルチェロは、仲裁に入った母親に手をかけた父親を見て、この家から姿を消した。ジュリアも夫との生活に耐え切れず、夫の家を出て、洗濯女工に自活の道を求めた。
鉄道のゼネストが決行された。アンドレアは親友リベラーニ(サロ・ウルツィ)が止めるのを振り切って、最新式の電気機関車を運転した。しかし、これは同志を裏切るスト破りだ。結果、彼は全く孤立し、人々の冷たい目は、罪も無いサンドロの上にまで浴びせかけられた。アンドレアは、ぷっつり職場に行かなくなった。酒場から酒場へ入り浸って、妻ともサンドロとも口をきかない。そのうち家にも帰らなくなった。サンドロはたまらなく淋しく、リベラーニおじさんの助けをかりて父を探し求めた。
一軒の酒場に父の疲れ果てた姿を見つけた。アンドレアはいたいけなわが子の愛情にほだされ、リベラーニたち旧友がたむろする酒場に入った。そこは機関士仲間が、いつも仕事が終わると楽しく酒をくみかわし、ギターを弾きながら合唱して、互いの友情を暖めあった思い出の場所だ。
旧友達は気持ちよくアンドレを迎えてくれた。よみがえる友情。彼は以前のように仲間の中心になってギターを弾き、久しぶりに愉快な酒を飲むことが出来た。が、彼は泥酔して、卒中の為倒れてしまった。それから3ヶ月、彼は病の床についていた。
めぐり来るクリスマスの前夜、アンドレアは小康を得て、妻とサンドロと三人でささやかなクリスマス・イブの食卓を囲んでいた。その時、家出していた長男のマルチェロがリベラーニにつれられて、戻ってきた。隣人達もやって来た。クリスマスのパーティーがたけなわの頃、ジュリアからの電話がかかり、涙もろくなった父親を感動させた。アンドレアの心は弾み、ギターを取って昔懐かしい曲をかなでる。何もかもが昔に戻ったようだ。やがて、夜半すぎ、皆は教会に出かけた。残ったアンドレアと妻。彼女は台所でコーヒーを沸かしていた。アンドレアはベッドでギターを弾きながら妻のためにセレナーデを爪弾きながら、話しかけていた。やがて話し声は止み、彼の手からギターが落ちた。最後の響きを残し・・・・・・

 


ヨーロッパ映画・名作編Ⅰ

2009-03-31 00:51:15 | レコード(映画)

とうとうミュージカルも終了し、今回からヨーロッパ映画になります。小生の若き頃はヨーロッパ映画のほうがアメリカ映画より優れた作品を提供していた印象が強い。この名作編Ⅰにも「鉄道員」等の懐かしい、素晴らしい作品が一杯。

鉄道員

刑事   ---------- 死ぬほど愛して

ブーベの恋人

道     ---------- ジェルソミーナ

ロミオとジュリエット

世界残酷物語 -------- モア

さらばアフリカ

続・荒野の用心棒 ------- ジャンゴ

夕陽のガンマン

悲しみは星影と共に

ほほにかかる涙

表紙を飾るのはクラウディア・カルディナーレ。刑事、ブーベの恋人のヒロイン。ぬれて黒く光る瞳にグラマラスな姿態、初期のころの野性的な魅力は素晴らしい。


ミュージカル編Ⅲ-9

2009-03-27 01:07:21 | レコード(映画)

努力しないで出世する方法

ビルの窓ふきのピエルポンド・フィンチ(ロバート・モース)が、「努力しないで出世する方法」という本を読んで、これで行こう!と決心する。狙った大会社の社長J・B・ピグリー氏(ルディ・バレー)にぶつかって転んで、まずめでたく就職に成功。そのあと、例の本の教訓通りにゴマスリと要領の作戦を連続展開。上役のご機嫌取り、社長の甥を利用して点数稼ぎ。社長が休日に出社すると聞けば、先回りして出社し、徹夜で働いていたように見せる。小柄なフィンチが、懸命に立ち回る姿は、努力しないどころかモーレツな努力だろう。宣伝部長秘書ローズマリー・ピルキントン(ミッシェル・リー)とのロマンスが、彼の心の憩い。でも、ロマンスよりも出世が大事。ゴマスリに徹底し出世街道をバク進。油断もスキもない、すばやい頭の回転、人を出し抜く行動力。ついにめでたく会長の椅子に納まる。

これで、ミュージカルは終わり。次回からはヨーロッパ映画になります。

 


ミュージカル編Ⅲ-8

2009-03-24 01:46:50 | レコード(映画)

ドリトル先生不思議な旅

ヒュー・ロフティングの「ドリトル先生」のミュージカル映画化。限りない空想の世界に思い切り翼を広げ夢の世界に羽ばたく。

想像力の枯れ果てた常識人から変人視されているドリトル先生(レックス・ハリソン)は動物語を理解し、話すことが出来る。常識人たちに精神病院に入れられそうになった先生は、動物達の助けを得て、南海に住む大海カタツムリを求めて冒険旅行に船出する。メンバーは先生を尊敬する若者マシュー(アンソニー・ニューリー)、少年トミー、勝気な美女エマ(サマンタ・エッガー)にオームのポリネシア、チンパンジーのチーチー、犬のジップといった面々。古風な帆船に乗り込んだ一行は、嵐で難破して、格調高い英語を話すシェークスピア10世が統治する小島に流れ着く。ところがその島は南極に向かって流され大騒ぎ。ドリトル先生が大鯨に頼んで元の位置に押し戻して貰って事なきを得る。大鯨や大カタツムリ、大月蛾などと冒険の果てもとの世界に戻る。
人間と動物との楽しい対話を通じてヒューマニズムを訴える楽しい空想物語。


ミュージカル編Ⅲ-7

2009-03-17 00:33:53 | レコード(映画)

ファニー・ガール  舞台裏の喜劇女優の哀しみ

しみじみと胸に沁み込む「ピープル」のすばらしさ。

戦前のレヴュー華やかなりし頃、鼻っ柱の強い、風変わりな下町娘が、コーラス・ガールからニューヨークのジーグフェルド一座の花形にのし上がる。実在のファニー・ブライスをモデルにしたスター誕生物語。主演のバーバラ・ストレイサンドは舞台での当たり役を引っさげて、映画に乗り込んできた。評判どおりの圧倒的魅力で、見るものを引きずり込み、酔わせてしまった。

主人公ファニー・ブライス(バーバラ・ストレイサンド)は言わば「醜いアヒルの子」。彼女は生まれついての芸人であり、天性の喜劇女優だ。人を楽しませる抜群の才能を持った、ファニー・ガール(こっけいな娘)なのだ。張り切り娘の彼女は、下積み時代を終えて、やがてジーグフェルド一座のスターになった。そんな時、美男の賭博師ニック(オマー・シャリフ)と結婚する。この結婚生活は最初のうちはうまくいっていた。ニックがつきについて大金をつかみ、豪勢な邸宅を構え、夫の面目を保ち、可愛い女の子にもめぐまれていた。が、やがて破綻が・・・。ニックが全財産を投じた油田開発に失敗。再び博打に手を出し、借金を増やし、ついにはヤミ商売に加わり、刑務所にいれられる。ニックは富と名声を持つ妻に追いつこうとしてあせり、破滅の坂を転げ落ちて行く。スターを妻に持つ男の悲劇だが、同時に成功した女の悲劇でもある。傷ついた男の自尊心に、愛と芸の板ばさみに苦しむ女心。
栄光の陰には孤独が、コメディエンヌの本質は哀しい。ファニーがまだ場末の小屋の無名の踊り子時代から、「私は大スター」と歌うが、母親達は「女の子は美しくなけりゃ」。気にせずにはいられない。ファニーの心に染み付いてしまった劣等感。この劣等感をすり替えたのが負けん気、体当たりの売り込み、舞台の脱線であった。それゆえにジーグフェルド一座のただ一人の不美人スターとして成功したのだ。だから生まれて初めて自分を”美しい”といってくれたニックが・・・・。ニックの前では素直な、純な、可愛い女でいられる。その彼が去っていった。愛しい気持ちを切々と歌うファニー・・・・。


ミュージカル編Ⅲ-6-2

2009-03-13 00:36:57 | レコード(映画)

メリー・ポピンズ  前回の続きです

メリー・ポピンズが乳母としてバンクス家にやって来てから、いつも仏頂面していた料理婦のブリルや家政婦のエレン(ハーミオン・バドレー)が上機嫌で歌を口ずさんだり、子供たちがバートに教わった歌を歌うので、バンクス氏は不思議でたまらない。
メリー・ポピンズがジェーンとマイケルを連れて魚屋に出かけた。けど、予定を変更しアルバートおじさん(エド・ウィン)の家を訪ねると、バートが心配そうな顔をしている。バートの案内で部屋に入ると、おじさんは天井近くまで浮かんで大声で笑っている。ついつられて皆が笑うと、たちまち皆も浮き上がって、テーブルも椅子も浮き上がり、皆で大笑いし、お茶を飲んだ。
子供の躾に厳格なバンクス氏はジェーンとマイケルに倹約を教えようと、二人に二ペンスづつ渡し、自分の勤め先の銀行に預金させようとする。二人はこのニペンスで鳩にえさをやりたくて仕方が無い。銀行の老頭取は無理やり預金させようとしたので、子供たちは”私のお金を返して!”と叫ぶ。この大声に預金者達は銀行が危ないとパニック、取付騒ぎになってしまう。銀行から逃げ出した子供たちは、バートに出会う。バートは二人をロンドンの街を見下ろす煙突だらけの屋上に上る。煙突の中からパラソルを開いたメリー・ポピンズがフワリと現れ、更に、あちこちから煙突掃除人が飛んできて愉快に踊りまわった。
その夜中、バンクス氏は銀行の重役会に呼びつけられ、散々しかられていた。その時ふとメリー・ポピンズが来てからの事が浮かび、不思議に叱られていることが気にならなくなり、重役達をビックリさせ、銀行を飛び出し、街中を浮かれまわった。
翌朝、すっかり陽気になったバンクス氏はマイケルが壊したタコを修繕し、奥さんと子供たちを連れて公園に行き、タコをあげはじめた。
風は西風に変わり、楽しそうなバンクス一家を見た、メリー・ポピンズはパラソルを開くと西風に乗って空に舞い上がる。公園では、バンクス一家だけでなく、銀行の重役たちまでがバートのタコを買って、楽しそうにタコ上げをしている。今朝の重役会でバンクス氏の重役就任を決めてきたのだ。メリー・ポピンズはバンクス家での役目を終えた。どこかで、次の役目につき幸せを撒き散らすことだろう・・・・・・

楽しい夢物語の終わりである。


ミュージカル編Ⅲ-6

2009-03-10 00:17:32 | レコード(映画)

メリー・ポピンズ  美人魔女、空を飛ぶ

前掲
http://blog.goo.ne.jp/isc_info/e/88fb50ddfdd195996b83bda77e101ff9

 

 5部門のアカデミー賞を受賞したウォルト・ディズニーのファンタジー・ミュージカル。最優秀主演女優(ジュリー・アンドリュース)、最優秀作曲賞、最優秀編集賞、最優秀特殊効果賞、最優秀主題歌賞(チム・チム・チェリー)。

1910年のこと。ロンドンの街でもとりわけ美しい地区の桜通りに住むバンクス氏(デヴィッド・トムリンスン)は銀行に勤める気むづかし屋。しかも仕事が忙しいので滅多に家族と団欒する事が無い。奥さん(グリニス・ジョーンズ)も婦人参政権運動に夢中でろくろく家にいない。子供のジェーン(カレン・ドートリス)とマイケル(マシュ・ガーバー)は乳母まかせであるが、二人とも腕白盛りで、乳母が居つかない。今日も乳母のケティ・ナンナ(エルサ・ランチェスター)が出て行ってしまった。バンクス氏は替りの乳母を捜すため厳格な条件をつけて新聞広告を出すことにした。ジェーンとマイケルは自分達の希望する条件(優しく、美しい、若い、親切)を書いて父親に見せたが、バンクス氏はそれをストーブに放り込んでしまった。ところがその紙は煙に乗って煙突から飛び出し、空高く舞い上がった。
その翌朝、パラソルを開いて東風に乗った若い女性が、フワフワ空からバンクスの家にやって来た。手には子供たちの希望する乳母の紙片を持っている。彼女がメリー・ポピンズ(ジュリー・アンドリュース)だ。
メリー・ポピンズはバンクス氏が雇うとも雇わないとも言ういとまも与えず、二階の子供部屋上がって働き始める。メリー・ポピンズはさげてきた鞄の中から日用品から大きな家具や装飾品まで次々と取り出し並べていく。また、散らかし放題の子供部屋に入ると指をパチンと鳴らすだけで片付けてしまった。子供たちはビックリ。散歩の時間、メリー・ポピンズは子供たちを連れて公園に行く。大道芸人のバート(ディック・バン・ダイク)が敷石にチョークで絵を描いていた。バートは三人に絵の中に散歩に行こうと誘う。その絵の上に載るとたちまちあたりは絵の世界。イギリスの田園風景となって、四人は遊びまわる。メリーゴーランドの木馬にまたがり遊んでいると、木馬は生きた馬のように、野山を駆け回り、競馬場に紛れ込んで優勝したり・・・・突然大きな雷鳴、夕立になり、気がつくと雨の公園。バートのチョークの絵の上にたっていた。

次回に続きます。


ミュージカル編Ⅲ-5

2009-03-06 01:17:10 | レコード(映画)

チキ・チキ・バン・バン  空飛ぶ車、海をも駈けて大活躍

"007シリーズ"の原作者イアン・フレミングが子供用に書いたただ一つの物語。

イギリスのいなか町。少し離れたところに、一軒の奇妙な家が建っている。風車があるので、農家と見えるが、働いている姿を見ることは無い。今日も主人は、自分で作った鳥の翼のようなものを背負い、小型ジェットで自分を空中に噴射させて、”空飛ぶ人間”になろうと夢中になっている。だが、エンジンの故障で、顔が真っ黒になっただけで終わった。彼はカラクタカス・ポッツ(ディック・バン・ダイン)、父親は発明狂で息子と同じ空想マニヤ(ライオネル・ジェフリーズ)。父子そろっての役立たず。かれらの孫であり、子供である少年と少女(ヒーザー・リプレイとアドリアン・ホール)が帰ってくる。母親は亡くなっている。食事の時間。発明狂の家なので全自動で、卵とハムを入れると、お皿の上にハムエッグが出来る。
町の菓子工場の経営者の娘トルーリー(サリー・アン・ホウズ)が、ピカピカの車で一家の近くを通り、車がひっくり返って水の中に落ちる。これが縁で、彼女は母の無い兄妹に同情し、発明狂のポッツを好きになっていく。 ポッツは美人の彼女と子供たちと海辺にドライブに出かける。車は走る時変な音を出すが、その音にちなんで、”チキ・チキ・バン・バン号”という。ここからはポッツの空想物語。、”チキ・チキ・バン・バン号”の冒険。
海の向こうから一艘のボートが現れ、悪人がイギリスに攻め入ろうとしている。、”チキ・チキ・バン・バン号”はその偉大な力ーー水中を走り、翼を広げて飛ぶーーで悪の支配者の国へ行く。そこでは、子供を見ると殺してしまう残酷な支配者がいる為、町の人間は子供たちを洞窟に隠し、子供たちは暗闇にじっとしている。今日も子供狩に来た魔法使いのような支配者の家来が、ポッツの二人の子供をとらえようとするが、、”チキ・チキ・バン・バン号”と町の人の協力で、支配者との大決戦が行われ、ついに支配者を屈服させた。空想物語は終わる。
やがて、ポッツのお菓子の機械が工場で採用され。経営者の娘との仲もメデタシとなる。


ミュージカル編Ⅲ-4

2009-03-03 00:54:33 | レコード(映画)

シェルブールの雨傘  世の愛の哀しみとはかなさと

フランスの香とセンスが、こぼれる。やさしく甘く、せつない作品。ミシェル・ルグランの豊かなメロディと渾然となり、酔わせる美しい映画となった。

秋雨にけぶる港町シェルブール。その広場のレンガの舗道に、赤黄青と色とりどりの雨傘がリズミカルに行きかい物語は始まる。母と暮らす小さな雨傘屋の娘ジェヌビエーヴ(カトリーヌ・ドヌーヴ)は、まだ少女の幼さを残して、あふれる金髪さえ、きゃしゃな肩には重たげ。頭のてっぺんに結んだ髪のリボンと、ドレスの色をそろえた、そんな可憐楚々たる美少女。彼女の恋人は、自動車修理工のギイ(ニーノ・カステルヌオボ)である。時アルジェリア戦争のさなか。召集令状が、二人の仲を引き裂く。17歳の少女と20歳の青年との、つらく悲しい、別れ。別れの前夜に、彼らは永遠の愛を誓い、娘は青年にすべてを与えた。
日がたち、月が流れて、だが戦線の恋人から便りはない。ジェヌビエーヴは身籠っていた。彼女は宝石商のカサール氏(マルク・ミシェル)に求婚される。母の店も援助してくれた、慎み深く、寛容な紳士。若いジェヌビエーヴの、不安な心は揺れ動く。喜んで、お腹の子の父親になろうという彼に、彼女は結婚を決意した。
若い恋人同士がわかれてから6年。その間に、重傷で片足を引きずって帰還したギイはジェヌビエーヴの裏切りを知って打撃を受けたが、身近にいた心やさしい娘マドレーヌ(エレン・ファルナー)と結婚する。今では郊外にガソリン・スタンドを開き、愛らしい男の子と親子3人の平和な家庭をきづいている。
雪の降りしきるクリスマス・イヴ。そのスタンドに一台の高級車が給油に立ち寄る。降り立ったのは、貴婦人姿のジェヌビエーヴ。だが、二人とも、語らない。沈黙と、ほんのわずかなさりげない会話。そこから、お互いの幸せを読み取る。愛の激情も、憎しみも苦しみも消え果ててしまっている。ジェヌビエーヴの連れた女の子にもギイは近づかない。やがて高級車は、白い冬の野を、音もなく遠ざかる。
女の子は”フランソワーズ”とジェヌビエーヴは呼んでいた。ギイの男の子は”フランソワ”。昔、恋人だった頃、子供が生まれたらそうつけようと、語り合っていた。後に残る甘い痛みに似た「青春への追憶」。


ミュージカル編Ⅲ-3

2009-02-27 01:49:08 | レコード(映画)

恋の手ほどき  レディはかく作られる

原題は「ジジ」、コレットの作品。やはり舞台でまずミュージカル化され、ついで映画になった。舞台でこの主人公をやって、ヒットさせた(1952年から3年)のがハリウッド入り直前のオードリー・ヘプバーンだった。コレットがモナコで、映画のロケに来ていた無名のオードリーを発見して、自分の戯曲の主役に無理やり仕上げ成功した事は神話のようになっていた。映画では、レスリー・キャロンが演じている。彼女はパリ生まれのバレリーナで、「巴里のアメリカ人」「足長おじさん」「リリー」などの作品がある。
10個のオスカーを獲得した、V・ミネリ監督の傑作ミュージカル。

おばあさんのマミタ(ハーミオン・ジンゴードン)に育てられたジジ(レスリー・キャロン)は、無邪気な少女だ。マミタの妹アリシタ(イザベル・ジーンズ)は昔社交界でならした一級の貴婦人である。そのアリシタの許にジジはお行儀の稽古に学校が終わってから通っていた。ゆくゆくは、ジジを社交界の花形にし、玉の輿に載せようというのが、マミタの野心。だけどジジは叔母さんのお行儀教育は大の苦手。元気なジジに上品にしろというのが無理なのだ。マミタの古くからのお友達、金持ちのオノレ・ラシュイユ(モーリス・シュヴァリエ)もジジが大好きだ。オノレの甥ガストン(ルイ・ジュールダン)もジジの無邪気さが大好き。
上流階級で、恋のお相手は選び放題の青年ガストンは退屈しきっていた。ガストンのおじオノレはプレイ・ボーイ気取り。少女ジジ、家柄はガストンに比べ物にならない程低いが、人生を楽しんでいる。でも、パリジャンの恋のゲームにうんざり。ガストンがジジと接近するのは、ガストンが遊び相手のリアンの浮気から、リアンと別れた後。上流階級の女性達と派手に遊びまくるのに疲れたガストンはジジへの想いに気付く。今までの気持ちを整理する為一時モンテカルロに旅行。
旅行から帰るとジジは俗物化していた。ガストンはジジの無邪気さが大好きだったのに、でもジジのなかに残っている、可憐な清純さに気付いたガストンはジジを連れてマミタお祖母さんの所に行き、「ジジを下さい」と・・・。