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青春グラフィティ

青春時代に見に行った映画のパンフレットやレコードのコレクションから懐かしい場面にタイムスリップ

ヨーロッパ映画・ヒット編Ⅰ-5

2009-07-24 00:02:28 | レコード(映画)

ヘッドライト

ジャン・ギャバン演じる初老のトラック運転手と街道筋の安宿の若い女中のどうしようもない恋。

初老のトラックの運転手ジャン(ジャン・ギャバン)はボルドオに近い国道のそばにある『キャラバン』という運転手達の常宿の一室に疲れた身体を横たえる。だが彼の頭はさえ今までの思い出が次々に浮かぶ。----彼は丁度一年前のクリスマスの晩、この『キャラバン』に辿りついた。新入の女中クロー(フランソワーズ・アルヌール)がいた。二人はお互に好意を持つ。その後、この国道を通る度に、ジャンはクローに会いに寄り、二人の仲は深くなる。ジャンの家庭は、冷く陰気だった。下町の貧しいアパートへ幾日ぶりかで帰っても、彼を迎えるのは冷い家庭だった。パリとボルドオ間を行く大型トラックの定期便を運転して、五十近くまで働いてきた。鬱積した不満は、若いクローへの愛情となって燃え上る。ジャンは暗い家庭を捨てて、新しい人生に踏み出そうと決心した。が、些細なことから使用者と云い争い、首になってしまう。ジャンはクローへの連絡が出来なくなった。クローは不安だった。手紙で、妊娠を知らせる。それでも何の返事もない。パリに出てきたクローはジャンの失業を知り、妊娠を打明けずに立去り、ルピック街の安宿の女中となり、女将のすすめで、堕胎医のところへ行く。その翌日、ジャンは、自分の娘(ダニー・カレル)がクローの手紙を勝手に開封していたことを知った。怒って家を飛び出した。その時、昔の同僚から新しい勤め口が見つかったという知らせ。ジャンはその夜のうちに、再びトラック運転手としてパリを離れることになった。彼はよろこんで、ルピック街の安宿からクローを連れ出し、トラックに乗せる。雨と風に包まれた夜の国道を、幾時間もトラックは走り続ける。途中クローの容態が悪化してくる。『キャラバン』まではまだ遠い。風雨はますます烈しく、見通しが利かない。明方近く、トラックは『キャラバン』に辿りつく。一年前のクリスマスの夜、初老のトラック運転手と二十の可憐な女中がめぐりあった『キャラバン』の前----だが、その時クローはもうこの世の人ではなかった。

なんか淋しい映画だった。ジャン・ギャバンが渋い。


ヨーロッパ映画・ヒット編Ⅰ-4

2009-07-22 00:35:44 | レコード(映画)

冒険者たち  美しく純粋な青春に捧げられた挽歌

ロベール・アンリコ監督の青春映画、すがすがしく、美しい青春の賛歌をさわやかな悲しみを込めて表現。

いかつい男ローラン(リノ・ヴァンチェラ)と、美男子マヌー(アラン・ドロン)と、クールな美女レティシア(ジョアンナ・シムカス)。スクラップ屋のローランはスピード・レース・カーづくりに熱中し、マヌーは飛行機でパリの凱旋門を潜り抜けることに情熱を燃やす。レティシアはスクラップを寄せ集めた前衛彫刻に情熱を傾ける。それぞれが、それぞれの夢を持ち、その夢に情熱を注ぐ。そこには、純粋な若者の情熱が作り出す人生の美しさが存在する。それが青春というものだ。やがて、ベルギーのコンゴ移住者が動乱から逃れる途中、莫大な財産を乗せて海に墜落し、財宝が海底に眠っているという話を仕入れた。調査の結果それは確かなようだった。三人は、宝探しを始めた。途中墜落して死んだと思われていたパイロットが船を訪れた。ついに彼らは素晴らしい仕事をなしとげた。そして、莫大な財宝を見つけ手に入れる。しかし、かねてから、その宝を狙っていたギャングたちに銃撃され、レティシアはあっけなく死んでしまう。危機を脱出した二人は彼女の故郷アイクス島を訪れた。ローランは、レティシアの夢を、彼女に代わって実現しようと思ったのだ。レティシアの故郷にある小さな要塞島を買い取るのが彼女の夢だった。故郷アイクス島には、彼女にそっくりの少年がいた。レティシアを愛し続けていたローランは、その少年の世話をするため島に残った。一度パリに帰ったマヌーも淋しくて、再び島へ来たが例のギャングに襲われて死んでしまった。ローランはギャングたちを全滅させるけど、自分だけ生き残ってどうすればいいのか判らなくなった。ついにローランは島を去る決心をした。そして少年はひとり島に残された。

一昨日は祝日だったので、本日の投稿となりました。基本、火曜と金曜に投稿するようにしているのですが、月曜や木曜が休みのときはずれて、投稿します。


ヨーロッパ映画・ヒット編Ⅰ-3

2009-07-17 00:57:48 | レコード(映画)

ある晴れた朝突然に  

憎めないギャングを演じるジャン・ポール・ベルモンド。あばずれ娘を演じるソフィー・ドーミエ。ブルネットで育ちのよさと芯の強さを感じさせるジュラルディン・チャップリン三人の個性が面白い。

フランシス(ジャン・ポール・ベルモンド)とモニク(ソフィー・ドーミエ)の兄妹は南仏の避暑地コート・ダジュールで、気ままに遊び暮らしている。モニクが金持ち男性を誘惑しベッドに誘い込む、すかさずフランシスが亭主の振りをして怒鳴り込む。そうして巻き上げた金で生活費や遊興費をまかなっていた。ところが、ある日、モニクの誘い込んだ客ゼジェッティ(ジョルジュ・ジェレ)から、誘拐計画に誘われる。分け前は500万フラン。魅力的な話だ。南スペインに滞在中のアメリカ人の富豪の一人娘ゼルダ(ジェラルディン・チャップリン)を誘拐しようというのだ。計画も綿密に練られている。モニークがゼルダをうまくだまして誘拐に成功。人里離れた館に住む画家デルモ(ガブリエレ・フェルゼッティ)を、フランシスが強迫して、ゼルダをここに拉致した。名の通った画家デルモなら、疑われる恐れはないと、彼を身代金請求の使者に選んだ。ゼルダは我ままな娘だった。最初はてこずったが、彼女はそのうちフランシスに興味を持ちはじめ、彼もこの娘を愛するようになった。緊迫した犯罪の家に、電話の修理人が来た。直感的に怪しんで逃げようとした修理人をゼジェッティが射殺した。この事で仲間割れし、モニークがフランシスに飛びかかったゼジェッティを殺し、彼女も彼の流れ弾にあたって死んだ。フランシスは自分を慕うようになったゼルダを家に帰し、立ち去る。


ヨーロッパ映画・ヒット編Ⅰ-2

2009-07-14 01:29:18 | レコード(映画)

地下室のメロディー  ギャング人生、最後の仕事

戦前の大スター、ジャン・ギャバンと戦後フランスの誇る世紀の二枚目アラン・ドロンの初顔合わせ。フランス・タッチの犯罪映画、最高の組み合わせ。

5年の刑を終えてパリに帰ってきた老ギャングのシャルル(ジャン・ギャバン)。久しぶりに帰宅した夫を迎えて、妻のジネット(ヴィヴィアンヌ・ロマンス)は、足を洗ってくれと縋る。シャルルは妻ジャネットをふりすてて、昔の仲間マリオを訪ねた。マリオはある計画をうち明けた。カンヌのパルム・ビーチにあるカジノの賭金をごっそり頂こうという大仕事だ。シャルルは、刑務所で知り合った青年、フランシス(アラン・ドロン)を仕事の仲間に選ぶ。フランシスの義兄のルイ(モーリス・ビロー)が腕の確かな運転手として、仲間に加えられる。これでメンバーは揃った。フランシスが、一足先に一人でカンヌへ飛ぶ。そして、カジノの踊り子ブリジット(カルラ・マルリエ)に近づき、口説き落とすことに成功。賭博場と大金庫室を結ぶエレベーターに通じる空気穴が、舞台裏に抜けており、踊り子を見方につけることは、絶対必要なのだ。
やがて、シャルルがルイとカンヌにやってくる。シャルルとフランシスは、上流紳士風のいでたちで、ルイが運転するロールス・ロイスをカジノに乗りつける。そして、賭けに興じる振りをしながら、賭け金が金庫に運ばれる様子を偵察し、綿密な仕事の手順を作り上げる。
ついに、計画実行の夜になる。舞台から屋上に抜け、空気穴を通り、エレベーターにたどりつく。金勘定に気をとられている会計係とカジノの支配人の前に飛びおりた覆面のフランシス。手にマシンガンを持っている。彼は会計係から、鍵を奪ってシャルルを表から迎え入れた。札束を鞄に詰めると、シャルルとフランシスは、ルイの運転するロールス・ロイスを飛ばした。札束は借りたプールの脱衣所にかくした。警察が乗り出したころ、シャルルとフランシスは何食わぬ顔で別なホテルに納まっていた。完全犯罪は成功したのだ。しかし朝食をとりながら、眺めていた新聞のある記事と写真が一瞬シャルルの眼を釘づけにした。無表情な彼の顔に、かすかな動揺が起った。ラスト・シーンではプールに紙幣が次々と浮かび上がって、皮肉な結末にあ然とするフランシスの表情にかぶせてミシェール・マーニョの音楽のハミング・コーラス。


ヨーロッパ映画・ヒット編Ⅰ-1

2009-07-10 00:53:28 | レコード(映画)

太陽がいっぱい  殺意の青春

貧しいだけでなく、精神もいやしくて、そのくせ欲望が強く、欲望を満足させるためには、なんでもする。殺人や詐欺も。金を、女を手に入れにんまりする恥知らずの男。この男こそが貧しかった当時の日本の若者の青春の象徴だったのかも知れない。今の世の中、こんなやからがどんどん増殖中に思える。1960年公開のルネ・クレマン監督、音楽ニーノ・ロータの作品。日本ではどこの国よりも大ヒット。街中にニーノ・ロータのメロディが流れた。

着るものがみすぼらしくとも、大金がなくとも、比較するものがなければ、トム・リプレイ(アラン・ドロン)の欲望はそれほどに触発されなかったに違いない。あるブルジョワ紳士に、息子フィリップ(モーリス・ロネ)をアメリカに連れて帰るように頼まれて、イタリアへやってきたトムは、フィリップのきままな生活に接しているうちに、極度の欲求不満を覚え、内攻してゆく、くるおしいほどに燃え上がってきた欲望は、抑えようにも、抑えきれなくなっていた。太陽がさんさんと降り注ぐ南イタリアの海上。その海上に浮かぶヨットで、操縦のミスを理由に、フィリップがトムをひとり小舟に移し、自分は美しい恋人マルジェ(マリー・ラフォレ)と午後の情事にふける。その時トムの心に、はっきりとフィリップに対する殺意が芽生えた。フィリップを殺して金と女を奪う。小細工をして、マルジェとフィリップに大喧嘩をさせた。彼女が船から下りたあと、フィリップを刺し殺した。死体はロープで縛り、海へ捨てた。陸へ上ると、彼はフィリップになりすました。ホテルに泊り、身分証明書を偽造し、サインを真似、声まで真似た。金も衣類も使った。ヨットを売り払う交渉も、親元からの送金を引き出す仕事もうまくいった。マルジェあてのフィリップの手紙をタイプし、送った。彼女は彼を忘れられずにいた。ホテルにフィリップの叔母が現れたが、姿をくらますことができ、別の下宿に移った。そこに、フィリップの友人が訪ねてきて、何かを察したようだった。トムは平生から憎んでいたその男を殺し、死体を捨てた。それは発見され、刑事が調べにきた。死体確認に集った時、トムはマルジェにフィリップはモンシベロに戻ったと告げた。女刑事が盗み聞いていた。トムはモンシベロの家にその夜いくと、フィリップの遺書を偽造し、金を全部ひき出し、その金をマルジェに残し、自殺したことにした。警官もマルジェも駈けつけたが、彼は逃げおおせた。彼は元のトムに戻り、傷心のマルジェをいたわり、愛を告げた。最後には彼女も彼を受け入れ、結婚することになった。これで遺産も手に入るだろう。彼が海水浴のあと、極上の酒に酔っていた時、フィリップのヨットが売られるために陸に引きあげられた。そしてスクリューにからまったロープの先からフィリップの死体が現われた。


ヨーロッパ映画・ヒット編Ⅰ

2009-07-07 01:16:10 | レコード(映画)

ヨーロッパ映画・ヒット編Ⅰはヨーロッパ男性俳優を中心に紹介する。アラン・ドロン、ジャンギャバン、ジャン・ポール・ヴェルモント・・・ 当時の女性を虜にしたすばらしい男性たち。

太陽がいっぱい

地下室のメロディー

白い恋人たち

ある晴れた朝突然に

冒険者たち

ヘッドライト

現金に手を出すな  ーーーーーー グリスビーのブルース

黒いオルフェ     ーーーーーー カーニバルの朝

死刑台のエレベーター

危険な関係      ーーーーーー 危険な関係のブルース

墓にツバをかけろ  ーーーーーー 褐色のブルース

殺られる

大運河


ヨーロッパ映画・名作編Ⅱ-12

2009-07-03 00:30:56 | レコード(映画)

河は呼んでる

戦後のフランス映画で、本格的にテーマ・ミュージックが評判になったのは、この作品かも、日本でも中原美紗緒が歌ってヒットしていた。

アルプス山麓のオート・ザルプ県、ユバイという村で、百姓が死に、ただ一人の相続人、娘のオルタンス(パスカル・オードレ)が残った。村の近くを流れるデュランス河に、大々的な水力発電ダム工事が行われており、近辺の村はいずれ水底に没することになっている。オルタンスの亡き父は、やがて沈む土地を多く所有していた。彼は死んだ時、三千万フランという賠償金を既に受けとっていた。未成年のオルタンスが、成人に達して財産を自由にすることの出来る日がくるまで、彼女の叔父や、叔母や、従兄妹たちは、後見という名目で集まってきた。しかし、亡き父は一体大金を何処にしまったのか、それはオルタンスでさえ知らない。公証人は、オルタンスが一ヶ月づつ親戚の家をめぐって、生活するようにきめた。アスパラガス造りのカバイヨンの叔父と叔母は、息子と彼女を結婚させようとした。貧しい葡萄作りのロシュブリーヌ叔父と妻、その娘は、富裕な彼女をねたんで、息子をそそのかして暴力で彼女を征服させようとした。エホバ教信者のメランドール叔父夫婦は、自分達の宗教をおしつけて、彼女を利用しようとした。シヤトー・アルヌーの肉屋の従兄は、人のよい夢想家で彼女と仲よくなったが、妻君がそれを邪推した。そんな時、彼女が心からとびこんでいけるのは、親類のなかの除け者で、夏は羊飼いをし、冬は密猟をやって、一人自然の中に暮しているシモン叔父(シャルル・ブラヴェット)だった。彼女の不在中、亡き父の家を何回となく家探ししても、どうしても三千万フランの隠し場所を見つけることの出来ぬ親族たちは、シモン叔父の所からオルタンスを官憲の力でつれもどした。彼女は、父の遺した家に一人で暮すことになった。そして、思いもかけぬ屋根裏の、昔のおもちゃの箱の中に、父の遺産を発見したのである。大金を持った彼女は、テレビを買い、衣裳を作り、自分の生活を設計した。しかし、ロシュブリーヌの一家がそれに気づいた。叔父一家はオルタンスを監禁し、彼女にお金のある場所を白状させようとした。そして、口を破らぬ彼女を、間もなく湖底に沈もうとする父の遺した家の地下室に閉じこめた。それでも、オルタンスは黙っていた。ダム工事は進行し、ユバイの村に人はいなくなった。地下室で一人閉された日々を送るオルタンスを残して。ダムに貯水の始められた日、オルタンスの成人になる日。古い村の、家や石垣や、岡を水はひたひたと呑みこんでいった。しかし、オルタンスは負けはしなかった。水の流れが破った壁から、彼女は地下室を出た。公証人を囲んだ親類たちの前で、彼女は、ロシュブリーヌ一家が運んでおいたテレビ・セットの中から、三千万フランをとり出してみせた。もうオルタンスは大人だった。三千万フランをスクーターのうしろにつけて、オルタンスは、山の叔父シモンのもとに向った。

 


ヨーロッパ映画・名作編Ⅱ-11

2009-06-30 00:24:51 | レコード(映画)

巴里の空の下セーヌは流れる

ジャン・ウィネルの音楽がパリ・スタイルで軽やかで美しい。セーヌ河のさざ波が太陽の光を受けて光る。キラキラと美しく。しかしこのパリは、ルネ・クレールのパリではなく、ペシミズムただようジュリアン・デュヴィヴィエのパリ。

この作品はデュヴィヴィエ好みのエピソード集の一種。

パリに住む女性と、彼女を頼ってやってきた女性を中心に、ある日のパリの一日をつづった作品。二人の女性と緩やかに結びついた人物のエピソードを点描する。
夜明けのパリに、友人のマリー・テレーズ(クリスチアーヌ・レニエ)をたよって南仏からドニーズ(ブリジット・オペール)が上京して来た。(1)モンマルトルの屋根裏部屋では神経異常の彫刻家マチアス(レイモン・エルマンティエ)がモデルを使って奇怪な女の顔を作っていた。彼は恐怖のマスクを彫刻するために殺人を犯す。(2)医学生ジョルジュは試験に落第して、もうだめかと思っていたとき、殺人彫刻家を射殺しようとしたお巡りさんの流れ弾に当たって瀕死の通行人エルムノー(ジャン・ブロシャール)を、独断で手術をして大成功。(3)田舎娘ドニーズが、パリに恋人を求めてやってきて彫刻家にナイフで刺し殺される。(4)労働者の今日は、妻との銀婚式。しかし工場がストライキで閉鎖され、閉じ込められ、ついに妻は友人一同と工場にご馳走を運んでくる。そして、ついに工場から抜け出す。けれど、殺人彫刻家を狙った警官の流れ弾に当たり瀕死状態、試験に落ちた医学生が大手術し、命拾い。(5)猫キチガイの婆さん(シルヴィ)が、猫のため町で乞食をする。(6)勉強嫌いの女の子が、町をうろつき、危ないところを、猫好きの婆さんに助けてもらう。

『巴里の空の下セーヌは流れる』は題名も主題歌も美しい、それなのにセーヌ河は、登場人物のため息でにごっている。いろいろな出来事、思い、そしてセーヌは流れる・・・


ヨーロッパ映画・名作編Ⅱ-10

2009-06-26 00:09:38 | レコード(映画)

巴里野郎

パリに住むフランス人たちが愛するパリを描いたパリ映画。原題は『パリ・カナイユ』。意味はパリの野郎。カトリーヌ・ソヴァージュのシャンソンのヒットにあやかろうとした歌謡映画。

参照:Goo映画http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD13621/

ロンドン発の旅客機がジュネーヴ空港に着陸し、大スター、グローリア・ベンスン(ティルダ・タマール)が降り立つ。寄宿女学校にいる娘ペニイ(ダニー・ロバン)に会いに来たのだ。だが十九になる彼女は学校が退屈で仕方がない。暑中休暇にパリ旅行と知り、やっと納得。パリの街中で接吻している恋人達やマネキンの衣裳にボウとしてしまう。ハンサムな青年に出会ったペニイは、早速ランデヴーの交渉成立。その夜、学友らとジュネーヴへ戻る筈を、列車から抜け出してパリに踏みとどまる。青年アントワーヌ(ダニエル・ジェラン)は、実は下町の警察署長で若くて独身、しかも美人には目がない。とも知らぬペニイは、連れ立って食事し、とどの詰り、アントワーヌのアパートで二人は接吻。「接吻ってこんなに楽しいものとは知らなかったわ」というペニイに、慌てたアントワーヌは自分の身分を白状するがかえって居すわられてしまう。翌朝、母親の依頼からの捜査指令で、ペニイが失踪中の未成年者と判って二度ビックリ。ペニイを捕まえ、手錠をかけて連行、駅で校長先生に引渡す。列車が出てホッとしたのも束の間、またもやアントワーヌの背後からペニイが現われる。騙して警察へ連行、証明書をみるといつも年をごまかすグローリアが娘の年まで偽って十九を十七と申告。結局、未成年者扱いはできず、ペニイは天下晴れてパリ散歩。どうやらアントワーヌを好きになってしまったのに気づく。彼が愛人クロード(マリー・ダエムス)をアパートに招くと、そこにペニイも押しかけてテンヤワンヤ。仕方なく二人を連れてキャバレーに出かけるアントワーヌ。クロードと踊る彼を見て、ペニイは司会者の誘うまま“素人ストリップ・コンクール"に出演。驚いたアントワーヌは、彼女を連れ出そうとして大騒動。ノサれてしまったアントワーヌを、ペニイはアパートへ連れて行き介抱。翌朝、パリに着いたばかりのグローリアから娘の安否を気遣う電話。アントワーヌは返事する。お嬢さんは結婚されます。この僕と。


ヨーロッパ映画・名作編Ⅱ-9

2009-06-23 02:27:23 | レコード(映画)

赤い風車   

1952年、ジョンヒューストン監督作品。ムーラン・ルージュの歌のメロディは町に氾濫した。音楽はジョルジュ・オーリック。主題曲の傑作といえる。

日本の浮世絵に強い影響を受けたロートレック(ホセ・ファーラ)が、パリのモンマルトルのカンカン・ダンスの女のスケッチを描く。その色彩は、見るものの心に燃える。ロートレックはフランスの名門の生まれで、子供のころ階段から落ちて、上半身は大人に育ち両足は子供のまま・・・・そのことはみんなが知っている悲劇。ロートレックの人生は彼の描く絵そのままに多彩で悲しい。女乞食のような夜の女マリー(コレット・マルシャン)を助けて愛して金を恵み、女はその金を情人にみつぐ。ロートレックは酒に溺れる。

ロートレックを名優ホセ・ファーラがグロテスクに両足を工夫して巧みに演じていた。あくどく哀れで悲しい夜の女を演じたのが、最高のバレリーナといわれたコレット・マルシャン、そのためかなんとなく気品のようなものが出ていた。