窓辺びより

毎日が平凡だなんてとんだ勘違い。カーテンを開けよう。ほら、今日も窓辺びより

やぁすまない、少し語っても良いかな?

2009-11-08 07:00:08 | ミュージカル
 食べ物のことを書けばみんなのコメントがもらえるってことを学んだ演出家です。こ、これからは食べ物のことだけを書けばいいんだ!

 土曜日の夜はシェーキーズに行ってピザを食べてきたんですよー!アフターの形としてはなかなか新しいですよねー



 じゃなくて。
 土曜日は7B「幸せの意味は」の練習を行いました。こっからはMの話ね。

 まだまだ歌い慣れていないせいもあったのだろうけど、もっと動いて欲しい。感情を昂ぶらせて欲しい。

 Cの時、「動いてみようか!」って言われてみんな思うままに室内を歩いて曲の雰囲気に浸りながら歌う事がありますよね。あれをもっと本格的にしたものだと考えてください。歌って感情を揺さぶるものだから。思いっきり気持ちが昂ぶる時に棒立ちで歌うなんて、ありえない。

 もっと歌に身を任せちゃっていいんじゃないかな。歌ってて思わず動きたくなったら動いていい。拳を握り締めていい。感情が入って声が震えるのも良い。ちょっとくらい音程を外したって、気持ちが伝わる方が大事です。

 みんな、もっと真剣に今歌っている内容について考えるべきだと思います。登場人物がその時どんな感情でいるか、それが一番良くわかっているのは役者自身です。でもいきなり考えてみてと言われてもな……と困った人は以下を見てその手がかりにして欲しいと思います。あ、「幸せの意味は?」の曲を聴きながら読むことをおすすめします。


 冒頭でシンシアは剣を突きつけられたまま歌いだす。今にも殺されるかもしれない状況で、それでも恐怖を振り切って伝えたい事があるんです。命がけで伝えたい事があるんです。だからディックも命がけでシンシアを守って欲しい。シンシアに向けられた剣を素手で握って力ずくで下ろさせる、そんな演出をここでは取り入れました。こん身の力を込めて、シンシアを、そしてシンシアの歌いはじめた歌を止めさせない強い意志を見せて欲しい。

 ベントス「きれい事はもう聞き飽きた」。本当に聞き飽きているんでしょうか。「世の中は金と名誉だ!」と割り切って生きるようになった以降も「けれど、本当はそうじゃないんだ」って考えているベントスがどこかにいるんじゃないのかな。その気持ちにシンシアたちの歌が響いてきて、ベントスの感情は今凄まじい渦の中にあるんじゃないのかな。「それは私が昔捨て去った理想じゃないか。だが私の見てきた現実ではそんなことは通用しなかった!」って、そんな感じで。「私は今、幸せの中にある」も、本当に幸せなのかな。必死で自分に言い聞かせて動揺をしずめようとしてるんじゃないのかな。 

 ライソンは自分の生き方を変えてしまった10年前の事件について、いよいよ決着をつけようとしている。ベントスへ意思と言う名の刀を向ける事によって。「お前は俺と同じだ」これはとんでもない台詞です。一番憎むべき敵に対してこんな事って言えると思う?

 「大統領になりたかったのは何故?」これもやさしい聞き方なんてしないはず。


 「叶えたい夢一つあった」と歌いだすベントスは、この時一体どんな気持ちだろう!ああ、そうだ。最初は私もこんな夢を持っていた……いや!今もその夢を追い続けたからこそ私は大統領なったんだ、こんな男(ライソン)とは私は違う!断じて違う!……そう思いたい、思いたい……思わせてくれ!!!!

 
 「人を騙しておいて~」。ジャスミンが騙されたのは、単にベントスの商談がうまかったからだけなのかな。かわり映えの無い日常から抜け出したくて、なんとか抜け出したくて……もう一度幸せになりたくて。「その話に乗りますわ!」と商談の際ジャスミンは決断するけれど、これは本当は切実な切実な思いだったんじゃないのかな。その思いが、裏切られた。どんな気持ちだろう。

 「説明しよう!」商談の際はきはきとベントスのすごさについて解説するSPたちの台詞と全く同じ形でベントスの過去が語られます。
 「説明しよう!」で誰かに対してベントスを評価してきた事が、ジャスミンの前だけじゃなくてきっとこれまで何回もあったんじゃないでしょうか。いつもベントスの忠臣であり、ベントスを評価してきた自分たちが今回は隠しておかなければならないはずのベントスの過去を語る。いや、ベントスの激情を前に語らざるを得ない。だって自分たちはベントスと同じ道をずっと歩いてきたのだから。

 「船って言うのはね~」船ってものがマーマレードにとってどれだけ大事なものだったか!その一番大事なものについて語ってるんです。これまでマーマレードは金も名誉もおおよそ無縁の場所で船を手に入れようと頑張ってきてたんじゃないのかな。そんな自分たちのこれまでの経緯を思い出し、ベントスの「金と名誉!」という姿勢を見、「船って言うのはね」って言いたくなる衝動に駆られたんじゃないのかな。

 「叶えたい夢1つあった~」このフレーズは今までいつも夢が遠ざかった時に歌われてきたものだけれど、ここではじめて『昔からあった、叶えたい夢』への全力の肯定が生じます。

 スーザンボブケーリーたちはベントスが現れるまでずっと夢は追い続けるべきもの、そしてそうすれば叶うものだと思ってきた。子供のままの純粋な心で生きてきていた。それが今回のスーザンへの告白や、ジャスミンの言っていた新しい冒険や楽しい出来事が「はじまらない」という経験を通じて、けしてうまく行かない事もあるんだという世の中のあり方に触れることになる。

 それは工員たちも同じです。楽しく働いてきたのにジャスミンのせいで働く喜びを奪われた工員たちも、うまく行かないことってあるんだな、と今回のベントス来訪からの一件を通じて実感することになる。

 けれども肯定するんです。この世界はもしかすると『「夢は必ず叶う」……とは限らない世界』なのかも知れない。けれど、それでも夢を追い続けることを、全力で肯定するんです。


 少々熱が入りすぎました。
 読んで「確かにそうだ!」「本当にそうだろうか?」色んな気持ちが湧いてきたと思います。その気持ちを膨らませて。両手に持ちきれないくらいに膨らませて、それを歌にして!