窓辺びより

毎日が平凡だなんてとんだ勘違い。カーテンを開けよう。ほら、今日も窓辺びより

「窓辺びより」の扱いについて(告知)

2009-12-31 11:00:00 | 雑記
 大みそかですね。
 皆さん今年一年間本当にありがとうございました。


 さて、合唱団あらぐさでは役職会議も無事終了し次の代に運営が託される事となりました。僕も今となっては元・演出家です。来年、今年よりもさらに良いものが作られる事を願ってやみません。


 09年7月よりミュージカルにおける演出家のブログとして利用してきた窓辺びよりですが、これからは僕個人のブログとして利用させてもらう事を考えています。これまでも個人利用してきたじゃないか、という指摘はあるとは思いますが、特に直前期は演出家からの連絡にこのブログを用いた経緯もありますので今一度個人利用に戻るんだという事を明記しておきます。


 これからは「演出家ブログ」ではなく「窓辺びより」をどうぞよろしくお願いいたします。まあ、暇をもてあましすぎて仕方がない時にでも訪れてみてください。

(空想) うしととら

2009-12-31 10:56:34 | 空想


12月31日夜。
どこかの山奥で、千年以上続くある儀式が今年もまた行われる。
大きな砂時計の前に立っているうしの元に、とらがやって来て儀式は始まる。

「やぁ、久しぶり。もう引継ぎの季節だな」
「そうだね。来年はどうぞ、明るい一年にしておくれよ」
「ああ、この俺にまかせてくれよ。みんなが驚くくらいに明るい年にしてやるさ!」
「うんと明るく、頼むよ?」
「わかってるって。それよりお前、2009年はどうだった」
「僕はいろいろと、駄目だったよ……」
「あんまり自分の仕事に満足できなかったか?」
「だってほら、この新聞記事見てごらんよ」

『 [2009年街頭インタビュー ~今年を振り返って一言~]
今年は暗い年だったから来年はぜひ明るくしてほしい(40代 男性)
景気の悪さがひときわ身にしみる一年だった(30代 男性)
変化はあったが、先行きが不透明な一年間。経済にも政治にも不安を感じる(50代 女性)』

「酷い書かれようじゃないか。八割の人が2009年は暗い一年だったって答えたらしい。これが僕の仕事の結果だよ」
「世の中が暗いのは今年に始まった事じゃないだろ。何もお前のせいじゃないさ」
「でも僕は変えられなかった!一年前、2009年に希望を託してくれたみんなの想いに僕は、こたえられなかった」
「……」
「僕はみんなを裏切ったんだ……」
「……そんなに自分を責めるなよ。結果には運がつきものさ。結局2010年だって暗いまま終わるかも知れないしな」
「困るよ!もうみんなは待てないんだ。君がなんとかしてくれないと!」
「そりゃ俺だって頑張るけどよ」

「……僕は頑張った。頑張ったはずなのにな……」
「そんなに気を落とすなよ。お前だって頑張っただろ?今年は世界でたくさんの変化があった。この十二年間で、こんな大仕事をやってのけた奴はお前以外にはいないぜ」
「……でも、結局世の中は明るくならないじゃないか」
「お前は結果を早く見ようとしすぎなんだよ。うしのくせにせっかちな奴だな」
「2009年のおかげで明るい時代になる時が、いつか来るのかい?」
「ああ、来る。絶対に来る。来年か、再来年かわからないけどな。俺はそれが2010年だって言われるように頑張るさ」
「……うん。応援してるよ」

うしはにっこり微笑んで砂時計の後ろへと回った。砂時計を挟んでうしの向かいに立つとら。
ふたりの間にあるのは、ほんとに大きな砂時計。上には、もうほとんど砂が残っていない。
「これが流れ切ったらふたりでひっくり返すんだ。いいね?」
「ここで失敗したら2010年が来ないからな。緊張するぜ……」

どこかの寺でぐわん、と鐘をつく音。
最後の砂のつぶがいよいよ、流れ落ちた。


「「せえのっ!」」


ひっくり返された砂時計は満々と砂を上部に湛えている。
最初の一つぶが落ちてきて底を叩く。
その瞬間、はるか遠くの街で小さく花火と歓声が上がった。

「いやー、重かった!」
「いつもながらすごい重さだぜ。落っことしたらと思うとヒヤヒヤする」
「一年分の時間がこの中に詰まってるからね。当然のことさ」
「でも俺の次はうさぎだぞ。あいつ持てるか?こんなの」
「持てるよ。じゃないとずっと前に時は止まってるはずだもの」
「それもそうか」
「これまで、よく千年以上も続いてきたね。僕らも頑張ってきたもんだな……」
「ふふっ、そうさ。頑張ってきたんだ。だから去年は一年間おつかれさま。お前の仕事はちゃんと、俺が引き継ぐぜ」
「ありがとう。今年をうんと、うんと良い年にしておくれよ!」
「まかせとけ!」

うしがとらの元を、ゆっくりゆっくり去って行く。
砂はさらさらと流れ、砂時計の底に今はまだ小さな砂の山を作っている。
新しい一年が、はじまったのだ。
とらは夜明けの方角を向きながら、大きく武者震いした。



――2010年が、明るい一年になりますように。

本番を終えて

2009-12-19 05:26:53 | ミュージカル
 『大人になりかけた子供』の僕らが表現できるもの――

 今から1年前、2009年の1月にメモ帳に書き留めた言葉です。自分の手でミュージカルの脚本を書いてみたいと思った時、けしてプロ集団ではない僕らが伝えられるのは、他の何者でもない僕ら自身の等身大のメッセージだと思ったのが、その理由でした。


 けど、その考えに沿って定演の日の舞台が実現したかどうか、というのは別に大事なポイントではないと考えています。一人ひとり、本番を前にして漠然と思っている事があって、あの舞台の上で(もしくは舞台袖・舞台裏や機材の前で)全員が「伝えたいっ!」って強く思えた事が大事なんです。
 しいて言うならば、それこそが本当に僕ら自身の等身大のメッセージだったのだと思います。何もはじめから頭でっかちになって「僕らが表現できるもの」なんて意気込む必要は無かったんですね。


 本番の舞台を客席から見ていて、すごいなと思ったのはみんなの表情が生き生きしていた事です。本番で客が入っているなら緊張してしまう可能性だって十分にあるのに、みんなそんな不安なんかどこにも無い様子で、「最高のものを見せてやる」っていう気迫に満ちていたと思います。常に舞台から訴えかけてくるものがあるから、他の事を考える余裕なんて無くて、今までのどの通しよりも上演時間は短く感じました。それは他のお客さんも同じだったんじゃないでしょうか。「すっかり引き込まれていました」なんていうアンケートのコメントもありました。

 あの時小岩の舞台の上には、間違いなく25名の演じる37人分の人生が輝いていたと思います。


 このブログをはじめた時に、ミュージカルや合唱の「一回性」について触れました。「一回性」ってのは見る側にとっては魅力ある要素だけれど、演じる側にとっては大変な事です。何しろやり直しができないんですから。
 舞台に立つって事はライトを浴びて大勢の人々と向き合う事です。逃げも隠れもできず、ごまかしすらきかないその場所に、生身の体で飛び出す事です。それをやってのけたのだから、舞台に立ったみんなはその事を誇りにして良いと思う。生半可な気持ちでは絶対そんな事はできないから。客席からの拍手の大きさは、どれだけみんなが心血注いでこの本番まで頑張ってきたかをよく表していると思います。


 また、本番の舞台を見ていてすごいと思った事がもう一つあります。本番で舞台裏や音響照明のミスが無かった事。ゲネプロの時点まであれだけ色々アクシデントが起きていたにも関わらず、本番では危うさすら感じさせない見事な仕事でした。


 音響照明、お疲れ様です。今年は色々要望が多くてヘッドを中心にかなり両セクの人たちを困らせたと思いますが、本番ではその要望を完全に形にしてくれてありがとう。本番での完成度の高さに心底驚きました。きめるべき所でバシッと決めてくる。やっぱ、プロ根性ですね。

 
 衣装早着替え、夏ごろからかなりの懸念ポイントだったんですが、実際には毎回の通しでも、そして本番においてもほとんど問題なく行う事ができました。衣装作りそのものが大変な一方で、通しの際にもピンマイと衣装着替えを行わなければならず、衣装セクの負担はかなりのものがあったと思っています。本当にありがとう。


 大道具、本番前のコメントで言ってあげられなくてごめん!!今年はこれまた要求される大道具数が多く、全てを作り上げるのは大仕事だったと思います。入りはけの際のエプロン工員姿は自然なもので、むしろシーンを作り上げるのに一役買っていたように感じました。お疲れさま!!


 ダイゴ、エリーさん、的確なQ出しありがとうございます。エリーさんは緞帳もありがとうございました。小道具の剣は、今年の本番一回きりで使うには勿体無い出来だと思います。是非とも保存しておいてまたいつの日にか……!

 
 今年の作曲セクも凄い人ばかりでしたね。どうしてこれだけ才能を持った人が集まるんだか。そして音楽監督、本当に素敵な曲をありがとう。この音監あってこその今年の成功だと思っています。作品の世界観と共鳴するメロディの数々でした。作中のどの曲も、ぴったりジグゾーパズルのピースみたいに各シーンの中へはまっていたと思います。一緒に一つの作品を作ることができて良かった。
 そうそう、エンディングの舞台裏での様子が気になるところです。またDVDで見たいな。


 忙しい中時間を割いて指導に来て下さった指導陣の皆さん、本当にありがとうございました。指導陣あってのM練です。客観的で簡潔な指摘であったり、或いはユニークな手法に則っていたりと人によりその方法は様々ですが、画一的でない様々な形での指導があらぐさのミュージカルを毎年育て上げていると思います。今年指導にあたって下さった人たちの中の例え誰か一人でも欠けようものなら、12日に作り上げられた舞台は全く別のものになってしまっていたはずです。

 M責陣も様々な場面で一年間頼らせてもらいました。改めてありがとうと言いたいです。
 ここまでに上げられなかった人たちにもたくさん、たくさん様々な場面でお世話になりました。


 ただの文章でしかない、薄っぺらい脚本が半年以上を掛けて一時間を越える舞台作品へと昇華されていく過程を今年、確かに僕は見ることができました。しかしその過程は決して順調なものではなくて、色んな所でふらつき、けつまづき、傷だらけになりながらも前進するというものだったように思います。氷が空へふわっと消えていくような昇華のイメージとは程遠い、泥臭さのある道のりがそこにはありました。


 でも、そんな道のりが人間らしいな、なんて思ったりするんです。


 誰かが脚本を書いて、誰かがそれを演じる。誰かが曲を作り、誰かが演技を見て指導して、誰かが道具を作り、誰かが衣装を縫い……そうやってミュージカルは形作られていきます。自然と生まれるものなんて何一つ無い。舞台で何かが生まれる時、絶対にそこには人がいる。生身の人間がいる。

 ミュージカルを作っていくっていうのは、人と人が向き合う事に他ならないんだな、と思います。その手段が演技であるにしろ、指導であるにしろ、PA卓や調光卓の操作であるにしろ、のこぎりにしろ、縫い針にしろ、結局はそういう事なんだと思います。


 僕は、定演の成功はもちろんの事、そこに至るまでの道のりを忘れずにいたいと思います。
 このメンバーでトマトを演ることができて、本当に良かった。
 みんなのおかげで、最高のミュージカルをつくる事ができました。

 叶えたい夢、一つあった。
 この一年間、何度でも諦めず全力で一緒に夢を追い続けてきたみんなに改めて感謝と敬意を表しつつ、僕はこれで引退したいと思います。

 本当に、ありがとうございました。

リハーサルコメント(5A~最後)

2009-12-12 02:36:17 | ミュージカル
5B
(音響)
スボケのピンマイ音量上げてください

5D
(表方・音響)
ジャスミンの声がピンマイを介することによりちょっと機械っぽく聞こえます。対策を考えます。
(照明)
ジャスミンピンスポOFFのタイミング、ライソンがジャスミンの肩に手をかけ損ねたのを見てからきってもらえますか?今だと早すぎます。

6C
(音響)
犯人なのよ、の所のC.Oは、照明の変化と同時にC.Oでお願いします。

7B
(表方)
SP1「あなたのやり方は間違っている」だとベントスに対する全否定にならない?「最近の」又は「この10年間」って要素が台詞に含まれていた方が良いと思う。
シンシア、「大統領に・・・」が聞こえない。
「叶えたい夢ひとつあった」のフレーズの所だけ、歌う人たちは調光室を見つめようか。そうすることで木曜にも言った「集中」が生まれると思う。その後のフレーズでは互いに顔を見合わせるなど今までどおり自由にお願いします。

エンディング
(表方)

曲に負けてる!パワーが足りない。もっともっと出し尽くせ!!

「船に乗る」歌いだしちょっとばらつきました。

カテコ
(表方)
もっと早く始められるといいです。ちょっと時間がかかりすぎに思えました。木箱と剣の撤去、そして袖にはけるのを速やかに。
だがしかし足音を立てるのはNGなんだな。気をつけて。

(照明)
緞帳再び上がった時点ですぐ前明かりをよろしく!!

(ふたたび表方)
登場する時もっと舞台の中心のライン(上手下手の境界線ですね)を意識しよう。一人で歩くならそのライン上を、二人ならちょうどラインが二人の間に来るように。特にディックシンシア下手に寄っていたので気をつけて!
おじぎの仕方も気をつけよう。一度それまでの動きを止めてお辞儀をしたら、再び客席をちゃんと見てから立ち去ること。メリハリをつけよう。
最後全員が並ぶ所も中心のライン気をつけて。ちょっと下手側に寄っていました。なんでみんなそんなに下手が好きなの^_^;?

カテコの後
じ・つ・は、みんな知ってる?緞帳が下りた後もお客さんは客席にいるんですよ!
終わったあと足音立てたりしゃべったりして舞台を去ろうものなら余韻も台無しです。決して気を抜かず、すぐに第二部の準備へ取り掛かりましょう(メイク落とし、衣装、転換etc)。