6月15日、昨日がちょうど結婚一周年だったので、お食事に出掛けた。先月のHisaの誕生日には「次回はホテルのステーキ!」と大見得を切ったはずなのに、当日になって深沢の『うまいものや東茶寮』になった。少し倹約して二次会を楽しもうという次第。それでも彼の店はリーズナブルな中に質と量と雰囲気が加味されて、なかなかのものなのだから。
玄関前に車を横付けして石畳の階段を上がると、入り口の前には立派な花飾り。引き戸を開けて風情のある店内に入る。見渡してお友達のM子ちゃんの姿を探したが、どうやら早番で居ない様子だった。彼女は昨年二度にわたって僕たちを祝ってくれた。「結婚記念日には是非。」と言ってくれたのに、連絡もせずに来てしまってごめんなさい。
「座敷とテープル、どちらになさいますか?」と店員に尋ねられて、今回はテープル席に。中庭を臨む廊下を横目に二間続きの和室に通された。八畳ほどの和室が襖で仕切られ、それぞれにテーブルが四つ。和洋折衷の明治の館のような風情だ。Hisaの肩越しに、野外照明に映し出された紫色のキキョウと薄紅色のツツジが美しく幻想的だった。
メニューは毎月決まっていて
メインディッシュのみ選択となる。もちろんHisaは牛ステーキ、僕は海老にしてみた。食前酒に前菜からデザートまで合わせて10品。締めてお一人様¥2,940だからかなりお得感がある。
車で来てしまったので、運転を任せて僕がビールを頂くことにした。ここのところ疲れ気味の僕をHisaは気遣ってくれる。そうなのだ、近頃の僕たちはとても穏やかで仲が良い。とは言っても、ここに来てようやくのこと。少し前まで、毎日のように喧嘩をしては仲直りを繰り返す激しい夫婦だった。結婚式の打合せの頃から、示し合わせたように僕の職場環境が激変して、2人のイライラが募り爆発し合うようになった。お互いに「もうだめかも知れない。」と何度も悩んだ。ようやく披露宴も終わり新婚旅行で一息吐くかと思えば、買い物のことに始まって、またやり合う始末。そんな中、披露宴で大活躍していただいたHisaの最愛のおじいさんが突然にこの世を去った・・・。
矢継ぎ早に人生の節目が訪れた。結婚生活には衝突が良くある事とは聴いていたものの、これほどのエネルギーを要するとは思わなかった。それが、5月の連休の日光行きから戻った後、Hisaの誕生日を待つうちに、いつの間にか波風が収まった。僕が仕事に対して開き直ったからか、Hisaの体調が安定してきたからか。お互いに負担を掛ける要因から解かれて、良い方角を向いて影響し合うようになったのかも知れない。こうして豊かな気持ちで大切な記念日を迎えることが出来たことを本当に感謝したい。縁あって結ばれた僕たちは、お陰様で今日この日も繋がっている・・・。
このあとは、ラストワルツで一杯。影ながら支えになってくれた店主I泉にご挨拶だ。
