入門介護講座。老人ホームの選び方

元、「特別養護老人ホーム」の施設長が、施設の「選び方」などを、エッセイ風に伝授します。新聞でも紹介されたコラムです。

第6回 なかなか気づかないんですよね

2008-06-20 | 特養施設長覚書
御注意)このブログは、「カテゴリー」がたくさんあります。例えば、「特養の選び方」をご覧になりたい方は、左の「カテゴリー」欄で「特養の選び方」を選んでご覧ください。 

なんだ、こんなこと、開設10年近くたって、やっと、わかたんだ、ということありますよね。

 まずは、テーブルの形。黒板でもないと、表現力の無い私では、話にくいのですが、ある、デイ(「特養」までは、お金が回らない。特注で、1台10万円近くかかりました。)では、机を、長方形から、六角にしました。しかも、真ん中から二つに分かれるので、組み合わせ自由。

 六角だと、6つのかどが空くので、丸や四角のように、「ちょっと入れてね。」とお年寄りの椅子を動かして割り込んで介助に入ることが無い。

 おまけに、手の平が入る、小さな細長い穴を開けたので、お年寄りが立つときにそこに手のひらを入れて、頭を下げると、自然にお尻が上がる。
 最近、お年よりは、ここを「神様がいる穴」と言っているとか。

 そうそう、お尻が上がる、といえば、トイレの立ち上がりバーだって、脇につかまって、「よっこらしょ」なんて、力の無いお年寄りには至難なんですよね。
 バタンと前に小さな机のようなものをたおし、そこを抱えるようにすれば、頭が下がり、自然とお尻が上がる。
 これは、お金を何とかして、数年前にすべて改善。排泄は、大事ですから。

 施設を開設して、使っていると、何でこんなことが、という発見がいくつもでてきますよね。

 余談ですが、一度、職員の施設めぐりのときに、言ったことがあるんですよね。「みんな、マンションのモデルルームを見に来た新婚さんじゃないんだから、もっと、プロらしく見てくれ。」と。

 他の「特養」に見学に行ったら、すべて北欧に特注しました、その方が、安いんです、とおっしゃっていました。そりゃそうかもしれませんが、ちょっと、観点が違うのでは。

 一度、全職員参加で、「施設総点検」をやってみるのもいいんですよ。でも、これをやるときは、施設長さん、聞くだけではだめですからね、くれぐれも腹をくくってやってください。
 私?、やったんですよ。回収率ほぼ100パーセント(臨時職員も含む)、提案箇所200項目以上でした。2~3年かけてなんとかしました。もっとも、「柱がじゃまだから動かして」というのは勘弁してもらいましたが。
 でも、これをやれたのは、私のブレーンである管理者陣の奮闘が大きかったと、心から感謝しています。

 施設長というのは、職員が働きやすくなるための障害を取り除くのが仕事の第一ですからね。(かっこつけすぎ?でもそうなんですよ。)
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