入門介護講座。老人ホームの選び方

元、「特別養護老人ホーム」の施設長が、施設の「選び方」などを、エッセイ風に伝授します。新聞でも紹介されたコラムです。

第2回 ちょっと、寂しくなりました。

2008-06-10 | 特養施設長覚書
 私は、フロアを歩いて、いろいろ気づきますが、そのとき、緊急の場合以外は、ちょっと「飲み込んで」持ち帰り、感じたことを、ベテランの「介護主任」などに感想を話しして、原因や対応を考えます。

 勿論、それだけで完結している簡単な事は、その場で言いますが、ことがいろいろな要因をはらんでいる場合は、きちっと落ち着いて話す必要があるからです。

 例えば、こういう例。

 午後1時半頃、たまたま、あるフロアに行きました。食堂で、例によって、入所者の方と雑談していました。

 少し離れた、窓に近いテーブルで、重度の認知症のAさんが、一人で、おそい昼食を食べていました。
 (この特養では、一斉食事ではなく、自分の好きな時間に食べられるのですが、大体の方は、12時から2時頃までに済ませられます。)
 
 よく見ると、Aさんのテーブルの上は、食べ物が一面にこぼれています。Aさんは、茶碗やテーブルの食べ物を、散らかす感じで食べています。別段、職員は、そばにいません。ただ、少しはなれたところで、職員と実習生が、すでに食事を終えた方の口腔ケアの最中です。
 近くのカウンターには、面会にこられた他の家族が2組いらして、ちらちらとAさんの方を見ています。
 10分ほどたった頃、職員がAさんの所に来て、「Aさん、食事、いーよね。」といって、茶碗だけ片付けていってしまいました。
 残されたAさんは、テーブルに散らかった食べ物を手でこねたり、口に持っていったりしました。職員は、周囲にはいません。

 介護職の方のおっしゃりたいことはわかります。
 でも、簡単に、人員配置や教育問題で答えを出さないでくださいね。
 私は、「課題」を考える前に、まず、自分がAさんなら、と、「さびしく」なってしまいました。
 同時に、これまで、自分の誇りにしていた施設への自信がぐらつきました。だから、これだけ詳細に記録しているのです。

 主任には、この事実を伝え、私の感想、なぜこうなってしまったのか、周囲にいたよその家族はどう感じたか、職員がAさんや周りのよその家族に配慮すべきこと、施設長に配慮すること、など、じっくり考えました。

 なお、この場合、「緊急」対応で、Aさんが行ってから、とりあえず、私が、捨ててもよい布でテーブルを拭き、ハイターでもう一度拭いて、近くの家族と話してそこを離れました。 
コメント (1)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 第1回 あなた、えらい人? | トップ | 第3回 施設がよくわからな... »

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
感銘を受けました (ぴっころ)
2008-06-10 15:54:02
こんなにタイムリーにこんなにたくさんの情報を得る事ができて、にわかに忙しくなりました。半身不随の実母を自宅に引き取って2ヶ月。正直アップアップ状態です。たくさんの有料老人ホームや特養のパンフを前に、夕べまでは預かってくれる所を探そうと思っていましたが、少し変わりました。(4月分から全部拝見するのに時間をかけた甲斐がありました)介護保険の限度をオーバーしてでもなんとか自宅(私の家ではなく弟の家族が暮らす実家)で生活をさせてあげたいと・・・。今夜母を寝かせたら、その方法を考えます。これからも楽しみにお邪魔させていただきます。

特養施設長覚書」カテゴリの最新記事