議会改革/承前

冷静に戦え

雲散霧消

2010-04-15 | 調査研究
年初の議会改革の「熱気」はどこに逝ってしまったのだろうか?

議会改革に関する懇談会やパブリックコメントが行われてからもう2ヶ月経過。市議会の3月定例会で議員定数を
現行の34名とし条例で定めてから早1ヶ月…


議会基本条例の制定数は増加傾向にある。具体的な取り組みとしての議会報告会・意見交換会等も実施され
ており、議会改革は全国で着実に進んでいる。改革のきっかけは、各自治体によって様々だが、背景には議会
の存在自体への危機感の共有がある。

危機に対して“チーム議会”(全議員+事務局職員)としての共同作業に取り組める体制の維持が成否のカギと
なっている。

地方分権の流れは、「地域主権」を掲げた民主党政権の誕生で加速された。今後、地方自治体が条例で定める
事務事業の大幅な増加が予想される。それは意思決定機関である地方議会の責任も増大することを意味する。

だが、それを担う地方議会の準備と覚悟は十分とは言い難い。既に首長・行政では当然となった市民参加と情
報公開が議会にも求められる。議会が市民の意思を的確に把握する仕組み・制度を整えることが、政治の成熟
度を高めることに繋がる。


これまでの地方自治法第120条の会議規則による画一的な運営を止め、日本国憲法が定める条例制定権を
根拠とする議会の最高規範として議会基本条例は、地方議会が自らの意思で実施する改革として画期的であ
る。だが、2006年5月に全国初の議会基本条例が北海道栗山町で誕生して以来、80を超える地方議会で制
定されているが、二元代表制での自治を担う意思決定機関としての役割を自覚せず、従来の首長・行政に対す
るチェック・要望型の思考・行動から脱却できていない議会基本条例もある。

二元代表制の一翼を担う地方議会の議会基本条例には、「市民参加」と「情報公開」を実施するルールが明確
にされていなければならない。市民参加と情報公開は自治の基本であり、基本条例の制定を待つ必要はない。
原則、全過程を公開にし、常に市民との意見交換の機会を設けること。議員のみで非公開の審議で原案を作成
するなど論外である。


そして、議会主催の正式な公開の場において、議員が自らの支持者とは限らない市民と議論することが保障さ
れている必要がある。議会が機関(合議体)として一体となり、民意をくみ取る仕組みを市民が気軽に体験する
機会である。市民からの信頼の獲得には、議会が市民生活の場に出向くことは不可欠である。市民が議会を
通じて政策決定過程に関与する機会である。


だが、旧態依然の首長への要望型の自治制度を想定した議会基本条例は少なくない。実際には使用しない権
限を首長に見せつけ、「レバレッジ(梃子)」の効果に期待し、首長・行政の“おこぼれ(個別議員の利害)”を受け
取ることに満足する追認機関が維持される最悪のケースも想定される。たとえば、これまでの実績を大きく超え
る議決権限の拡大を明記している条例がある。これまでおざなりな審議を続けてきた長期行政計画にどの程度
の関与が可能なのか疑問である。

自治体の理念の基づき、当該自治体の実態に合致した身の丈にあった、多種多様な議会基本条例が存在する
ことは自然であるが、市民と議会の関係が核となる必須要件は除外してはならない。基本条例の目的は、議会
や議員の権限の拡大ためではなく、市民(住民)自治の拡大を図ることである。そのためには、情報公開と市民
参加の確保は当然である。


議会は意見をぶつけ合い、結論を導き出すところである。議決行為よりも決定に至る過程(プロセス)が持つ実
質的意義を重視することで議員・議会の存在意義が明確になる。
議論は議会の醍醐味である。討議なき議会は
むなしい。行政に対して形式的な質疑をやめ、議員同士の自由闊達な討議を行い、自治体の主役である気概を
持つことが、市民からの信頼回復につながる。

中央依存体質から脱却し、自主自律を基本とした議会運営の仕組みが必要である。

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