ソフトバンクホークスの選手獲得法は、前球団譲りの札束攻勢である。結局のところ、金持ちが没落したところに別の金持ちがやってきただけだった。根本的な問題解決が…と言いたいところだが、もうそんなこと言う気力もない。
金があるのだから使えばよいではないか。それは一つの考え方であるからとやかく言わないが、ソフトバンクには、ダイエーの悪しき習慣となっていた部分をぜひ直していただきたい。
まず、昨年のホークスのドラフト指名選手を見てもらいたい。
http://www.sponichi.co.jp/baseball/draft/2004/shimei/team1/hawks.htm
次に、2002年、松坂世代ドラフトの指名選手を見て欲しい。
http://www.sponichi.co.jp/baseball/draft/2002/shimei/team2/hawks.htm
この二つの年のドラフト候補の評判を思い出してほしい。
2002年、ナンバー1捕手は大野隆二(日本大)であった。九州・東福岡高出身の彼はダイエーにルール外逆指名で入団した。
そして昨年、ダイエーの指名選手のなかに捕手が二人いた。4巡目中西健太(北大津)6巡目加藤領健(青学大)。二人とも、もっと上の順位で指名のあってよい選手だ。中西は高校ナンバー1、加藤は大学ナンバー1の前評判を得ていた。
もう一つつけ加えると、1999年の3位指名的場直樹(明治大)もアマチュアナンバー1であった。的場ほどの捕手が一般指名での入団となったのも、本人のダイエー志望を受けて他球団が敬遠したからだと言われている。
一方、ダイエーの戦力に目をむけると、正捕手は城島健司。今でこそ来年のFAが話題になっているが、ダイエーは当分捕手の心配のいらない球団であった。
そのダイエーが、ドラフト会議ではアマチュア球界屈指の捕手を次々と指名しているのである。捕手を一番必要としていない球団が、である。
城島をしのぐ能力の捕手など、めったに現れるはずがない。それとも、ダイエーは的場や大野が城島より上だと踏んでいたのだろうか。そう考えると、ここにダイエーの戦略が浮かび上がってくる。
自球団が他球団よりはっきりと優れている部門は捕手である。他球団に良い捕手が現れなければ、いつまでも自球団は優位でいられる。だから、ドラフトでは好捕手を指名する。
この作戦をどう評価したら良いのか。私はこれはしてはいけないことだと思う。アマチュア屈指の選手たちが、もし他球団に入ったとしたら、今頃スターになっているかもしれない。選手は試合に出てこそプロの選手である。どうせ試合に出すあてなどないのだから、捕手難で苦しんでいる他球団に譲ればよい。このあたり、完全にマナーの問題であって、禁止するわけにもいかない。球団の倫理観に任せるしかない。
自軍が勝つために良い選手を獲得し、自軍の選手を磨くのは当然である。しかし、他球団の戦力増強を妨げるのはマナー違反だろうし、良い選手が試合に出ないことによって、リーグ全体の人気には良い影響を与えないだろう。
はっきり禁止されている行為でもないからなんともいえないが、このあたりにも球団の倫理観が見えてくるのである。
他球団の足を引っぱって勝つのではなく、全チームで切磋琢磨しながら、首位を目指してもらいたいものだ。
ソフトバンクは、ダイエー球団のカラーを色濃く残している。既存球団のファン保全のためには当然前球団のカラーは引き継ぐものである。しかし、継ぐべきものもあれば、継いではならないものもある。
私が示した一例は、これさえ直せばよいというものではない。球団の底辺を流れる野球チームとしての心得をどう受け継いでいくか、そこのところに慎重になってもらいたいのである。
追記(2/8)
誤解のないように言っておきますが、私は今のところソフトバンクにとくに文句ありません。
最初の段落は、新球団も旧球団と同じように金を豊富に持っているという程度の意味です。愚痴っぽくなっているのは私の文才の欠如によるものです。あしからず。