毎日更新!中谷比佐子のきもの365日

きもの日記です。さて何を着よう?と思ったときの参考にも

和紙の羅

2011年07月11日 | きもの
経糸絹、横糸和紙の羅織りの帯を締めています
20年年間山形県工業試験所の
顧問を仰せ付かっていました
月一度一泊二日山形の織工場を歩きます

米沢の人たちは
進取の気構えが強く
無体と思える私の提案を受け入れてくれて
新しい布を開発します

米沢に無い織で「羅」と言うのがありました
私物の羅の帯を持って行き
そのまま作るのではなく何か工夫をして欲しい
和紙など使えないかしらね
と勝手なことを言って帰りました

同じ工房には3ヶ月か4ヵ月後に伺うのですが
次にその工房へ行きますと
「試し織してみましたよ」
と和紙を横糸にした羅織が出来ていました

「すごい!羅でも全く違った姿になるのね」
新しい織の誕生です
本当に嬉しかった!

一本の帯が出来上がったのは其れから半年かかりましたが
「きはだ」で染めた黄色の糸があでやか
黄色に染めると聞いたときは
夏に黄色?と首をかしげたのですが

「家のきはだの樹を見ていていい黄色が取れそうねえ」
とつぶやいた私の言葉を現実にしようと思ったのだという

物作りの人に愛されていたなあ
と思いながら今は亡き織手の帯を締めている今日です