伊方原発の廃炉のために

2006年から「伊方原発のプルサーマル問題」として続けてきましたが、伊方原発の廃炉のために、に15年に改名しました。

第6次エネルギー基本計画・他へのパブコメ

2021-10-06 05:32:50 | ん!ピークオイル時代を語ろう

10月4日23時59分と5日0時締切の各種パブコメを出しました。ふう。

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♦「日本のNDC(国が決定する貢献)(案)」に対するパブコメ

●意見

 今回各国政府が出すNDCは、パリ協定の中の全世界的な「1.5℃安定化目標」を達成できる最後の機会となるものだが、日本の「46%削減」という世界平均レベルの削減規模では、現行の3℃コースの趨勢を変えるレベルのものとはなりえない不十分なものであり、加盟国各国に絶望を与える内容である。

 そのため、現行のNDC内には含まれていない追加的な緊急時対応策を含めたBCP(プランB)として、「2030年石炭火力の段階的全廃」、「ゼロエミ火力(水素アンモニア輸入に基づく在来火力からの転換)の断念」、「2030年完全脱ガソリン車=EV化の販売禁止年策定」、「直ちに石炭石油天然ガスの海外における新規開発、探索の終了」といったいくつかのアディショナルな政策パッケージを付記して、(たとえその効果を測れる数値目標は出せないとしても)提出NDCを深掘りするプランBがまた存在することをアピールするべきである。

理由

 国際的にはパリ協定の中で2℃から1.5℃への目標の深掘りが進んでおり、運動側はエンドオブパイプ技術を進める運動ではなくキープイトインザグラウンドの概念が脱炭素の中心課題化しており、脱搾取、脱植民地主義の姿勢と相まって新たに「化石燃料不拡散条約」の交渉開始提案や「エコサイド」を国際犯罪化しようとする運動が広がっている。

例としてはパイプライン反対、道路建設反対、空港建設反対、エクスティンクション・レベリオン英国の2週間の道路・広場を占拠する運動がますます広がる、などなど、従来の環境保護運動とは運動の性質が異なって来ており、またこれに応じて政治的な反映が起きること(ビヨンド石油&ガスアライアンスの設立など)が想定されることを踏まえて、脱炭素のスケジュールの急進化ケースを想定するべきであるため。

 

♦「地球温暖化対策計画(案)」に対するパブコメ

●意見

IPCCの科学に基づいて悪影響を評価し対策を取ることを明言している点は評価できる。岸田政権になってからこのあたりの文言を後退させる横槍が入ることが心配なので、IPCCの科学に基づいて対策を取ることを維持してください。

 

♦「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略(案)」に対するパブコメ

●意見

再生可能エネルギーにおける対応 16ページ

に関連して。

再生可能エネルギー主力電源化を最速最大に行うためには、いわゆる従来のベースロード電源最優先の考え方からフレキシビリティ対策優先に考え方を変える事が必要である。

この「フレキシビリティ対策」について、新たに一項目を追加するべきである。

 例えばEVの普及に関してはV2HやV2B、VPPとしての蓄電池資源の利活用といった項目を立てて、2030年までに汎用に実用化普及させることをこの段階での目標とするべき。

 

●意見

原子力における対応 18ページ

において、原子力の新規開発を中止すること。

理由

 温暖化対策は急務であるにもかかわらず、新型小規模炉などの開発には10年以上必要となり、コストも高価なものとなることもちろん、新規立地できる土地が枯渇しているためが想定されるため、いざ普及というフェーズでは温暖化対策の効果が非常に限定されてしまうことになるため。

そもそもIPCCの第六次報告書によれば中央値で2030年にももう産業革命前から1.5℃の上昇に到達してしまうことが予想されており、パリ協定の1.5℃目標は累卵の危うきにあるさなかである。なので2030年以降に実用化する技術の開発を座して待つべきではない。

 

●意見

水素・アンモニア・CCS・カーボンリサイクルにおける対応 18ページ

水素・燃料アンモニア産業 72ページ

の項目について。

CCSは実用化の可能性も限定されるため、開発をやめるべきである。現在実用化しているCCSは、油田ガス田に対するEOR(石油増産回収、CO2を注入することで原油等の産出量を増加させるための技術)であるため、実際には化石燃料を増産するための技術に投資をすることになる。

しかしIEAの2050年ゼロカーボンロードマップレポートの中でも、1.5℃のパリ協定目標を達成するためには、現在すでにある発見済みの化石燃料資源の一部しか燃やせないことが書かれており、新規油田開発の投資をする必要はないこととされているので、CCSにEORを使う事自体が将来的に禁止されることになるだろう。

 水素や燃料アンモニアは、同じIEAの2050年ゼロカーボンロードマップレポートのなかではラスト1マイルのような2050年時点で脱化石燃料が極端に難しいわずかな分野対応としてのみ必要なものである、と位置づけられているものであるため、開発に全力を掛けるほどのものではない。

既存の発電所を転換して「ゼロエミ火力」=輸入の水素(アンモニア)燃焼で乗り切ろうとする意図を各電力会社が示しているが、LCAを行った研究によれば、天然ガス由来の水素は、リークする天然ガス自体の温室効果も相まって、水素を使った火力発電でも元の天然ガスを燃焼させた場合よりも環境負荷が高いという研究がある。

水素・燃料アンモニアは、再生可能エネルギーの余剰エネルギーを活用して生産するものだけを開発するべきである。

 

♦エネルギー基本計画へのパブコメ

●意見

(1)福島復興はエネルギー政策を進める上での原点・・・・・7

のところ

 原発の推進は地球温暖化対策になるということを名目として行われてきた実績がある。

気候危機対策として行われた活動によって危険な原発事故を引き起こしたという実績についてきちんと記述を行い、脱原発を目指すことによって再発を防止するという趣旨を入れるべき。

その上で、「今後も原子力を活用し続ける上では、「安全神話」に陥って悲惨な事態を防ぐことができなかったという反省を一時たりとも忘れてはならない。」

という文言は、

「「安全神話」に陥って悲惨な事態を防ぐことができなかったという反省に基づいて、可能な限り早期の脱原発を目指す」、と変えるべき。

理由

 政府の推進姿勢が住民の中であつれきを生み、根強い反対運動を引き起こすことの悪い事例が各地の原発建設の実績であると考える。

上記の「その上で、今後も原子力を活用し続ける上では、」と続けるのがおかしいのであって、今後原子力を活用しつづけるかどうかについては市民の意向を反映すべき、特に地元住民の意見を重く受け止める必要があると続けるべきである。

 そうした場合に福島県民としては「脱原発を求めている」のが多数であり、他の原発建設現地住民も、できることなら再稼働しないほうが望ましいというのが多数派である。

 現にその意向に沿って福島第二原発も廃炉されることになったものであるから、他の原発についてもなるべく再稼働させないことが、福島事故の現実を受けてのあるべき対応である。

 

●意見

p.11脱炭素化に向けた世界的潮流 の箇所

 国際的にはパリ協定の中で2℃から1.5℃への目標の深掘りが進んでおり、運動側はエンドオブパイプ技術を進める運動ではなくキープイトインザグラウンドの概念が脱炭素の中心課題化しており、脱搾取、脱植民地主義の姿勢と相まって新たに「化石燃料不拡散条約」の交渉開始提案や「エコサイド」を国際犯罪化しようとする運動が広がっている。

例としてはパイプライン反対、道路建設反対、空港建設反対、エクスティンクション・レベリオン英国の2週間の道路・広場を占拠する運動がますます広がる、などなど、従来の環境保護運動とは運動の性質が異なって来ており、またこれに応じて政治的な反映が起きること(ビヨンド石油&ガスアライアンスの設立など)が想定されることを踏まえて、脱炭素のスケジュールの急進化ケースを想定するべき。

 

●意見

2)エネルギーの安定供給の確保と強靭化・・・・・・・・・・・・・・・・17

のところ、

複数の電源の中で比較すると相対的に、原発は安定供給やエネルギー安全保障や強靭化に反している脆弱な電源である、と明記するべき。

理由

過去10年間の実績だけみても、既存の発電所の稼働率が非常に低いものであり、それは必要な警戒であったと判定すべきである。同様に将来の大事故再来のリスクもあるという現実的な想定をして、今後「80%以上の稼働率で全機が再稼働、40年の期限超え60年運転」をするなどという非現実的な前提を元に計画を立ててはいけないと認識をするべきである。

大規模集中型電源であるという原発の特性から、自然災害(地震、津波、火山噴火、大雨による浸水など)があった場合には止めなければならず、特に南海トラフ巨大地震の震源域にある伊方原発、浜岡原発などを再稼働させようとするのは狂気の沙汰と言わざるをえない。九州電力管内の玄海、川内両原発に伊方原発も加えて阿蘇山カルデラ巨大噴火の恐れも裁判所が認定され、伊方原発訴訟では、2回に渡って運転差し止めが仮処分で決定されている。

そもそも活断層が地震の原因であることが科学的な常識となるまえに立地計画がなされた全国の原発の中では、地震による敷地内断層が動くおそれがあることを、敦賀2号や泊原発でさんざん指摘され、地質調査の結果の改ざんすら電力会社が行って規制委の目をごまかそうとしてきた経緯が知られているため、既存不適格なため再稼働できない原発が一部出てくることは避けられない。

 

●意見

(1)現時点での技術を前提としたそれぞれのエネルギー源の位置づけ・・・・32

3化石エネルギー

4水素・アンモニア

石炭火力、石油火力、LNG天然ガス火力とも順次段階的全廃を目指すこととし、水素は既存の化成肥料のアンモニアの原料分としての代替のみに限定するべき。

理由

 素案では、一部の効率の高い石炭火力を温存する数字以外にも、既存の発電所を転換して「ゼロエミ火力」=輸入の水素(アンモニア)燃焼で乗り切ろうとする意図を各電力会社が示しているが、これは当面のCO2排出の環境負荷を海外に移転するだけの愚策に頼ろうとする悪手を黙認する内容になっています。

そもそも水素の環境負荷は(たとえグリーン水素=再生可能エネからの転換であっても転換ロスで損をするため)膨大なもので、再生可能エネルギー電力を直接使う方がマシである。

他の電力貯蔵などの手法のとりうる手法は膨大にあるので、それらの実用化に最大限努力することで、水素エネルギーに極力頼らない方策を目指すこととし、既存の火力発電所は閉鎖の方向で臨むべきです。

 

●意見

(2)2030年に向けたエネルギー政策の基本的考え方・・・・・・・・・・38

および(6)原子力政策の再構築・・・・・・・・・・・・・・・・・・・65

について、

2030年までの早期に原発を最優先して停止、退役させる方向に方針を転換するべき。

理由

 2050年に向けた再生可能エネルギー主力化のためばかりではなく、2030年に向けた計画の中でも再生可能エネルギーをいかに最速、最大限に普及させるかの方針が必要ですが、そのためには、いわゆる従来のベースロード電源最優先の考え方からフレキシビリティ対策優先に考え方を変える事が必要です。

その考え方のもとでは調整力にならない電源は極力早期に退役させるべきですが、調整力が一番ない、つまり出力変動運転をできないものが原発ということになります。

 以下、「ベースロード電源が邪魔者になる日 自然エネルギー財団」より文言を引用します。これは2015年時点の記事ですが、現在も同じ方向へ進んでいます。

「ドイツでベースロード電源と呼ばれてきた原子力や褐炭(質の悪い石炭)による火力発電は、大容量に一定して発電できる性能がクローズアップされるが、その反面、出力調整が極めて苦手で、その範囲も速度も限られている。実際、出力調整はプラントにかかる負担が大きく、経済性が悪くなるので、運転者としてはできる限り行いたくない。」

「将来の電力システムにおいて重要なのは、フレキシビリティ=需給調整に追従できる柔軟性であり、フレキシブルな電源こそが価値を持つことになる。天候も消費も、刻々と変化する中で同時同量を確保する必要があるのだから、出力調整のできない旧来のベースロード電源の出番はない。そして、すでに、ベースロード電源という概念そのものが過去のものになりつつある。電源の役割分担は、ベース、ミドル、ピークの原理ではなく、変動型自然エネルギーと、残余需要に対応するフレキシビリティを持つ電源、という組み合わせになるからだ。」

「フレキシビリティを持つ電源が充分に存在し、給電も問題なくできる以上、最低需要しか賄えない発電所は、削れない余剰電力を生み出す弊害以外の何物でもなくなる。一定の大きさの出力があることで重宝されてきたベースロード電源は、むしろその性質ゆえに将来は邪魔者となる。自然エネルギーが電力の30パーセントに迫ろうとしている現在のドイツでも、フットワークの重いベースロード電源は、早くも電力システムの負担となっている。」

 

●意見

p.81 (9)エネルギー安定供給とカーボンニュートラル時代を見据えたエネルギー

・鉱物資源確保の推進

 2 石油・天然ガス等の自主開発の更なる推進、

 3 アジアLNG市場の創出・拡大

 5 石油・天然ガス業界における新たな人材育成・獲得

ーの項目を全面削除するべき。

 資源外交の中で鉱物資源を除いた化石燃料についての新規開発に関わる項目については、推進から撤退への方針転換を行うべき。

理由

 IEAが5月に発行した2050年ネットゼロ報告書の中でも、1.5℃目標を達成するためには、すでに発見された地下資源の化石燃料の量のうちのほんの一部しか利用できないことが示されており、化石燃料の新規探索や開発は不要であるとしているため。

 p.11 世界の動向 の項目への自分のコメントでも示したように、化石燃料資源の新規開発停止が運動側の新たな目標と化していることから、これが徐々に実現することを見越して長い先の開発話は今から方針転換を始めることが必要である。

 


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