伊方原発の廃炉のために

2006年から「伊方原発のプルサーマル問題」として続けてきましたが、伊方原発の廃炉のために、に15年に改名しました。

1000ガル耐震性で騙された?or騙している?中村県知事

2012-02-05 21:42:22 | 原発震災関連

 お待たせしました、中村県知事の真っ赤なウソ、どういう話か解説をしておきます。


 揺れ対策というのはまあおっしゃるようにありますんで、ちょっと専門的になりますが、伊方原発というのは570ガルという基準地震動で作られていますけれどもダメだ、と。県独自で、国は今の段階でも何も言ってきていないんですよ。けれどももうすでにこの段階で、約2倍の揺れを想定した補強工事を実施してくれ※1ということを突きつけました。これについてはまあやります、というお答えをいただいたんで、まあ7つの要求すべてに前向きには対応してくれているというのが現段階の四国電力の姿勢だと思います。(注:この赤字部分は真っ赤なウソ、後日記します。)
・・・
中村知事)
 そうですね、安全対策にゴールはありませんから、新しい知見が出てきたらその都度その都度対応していったらいいと思いますが、ただ、この前もある大学の先生が、当初段階で1000ガルは必要だ、1000ガルは必要だ、ってさかんにおっしゃっていたんで、僕はその人の知見にもとづいて1000ガルを要求したんです。※2

 
 この1000ガル対応という話については、昨年10月の伊方集会の後、原発さよなら四国ネットワークが伊方原発の廃炉を求める声明を県知事宛(実際に申し入れに対応したのは、山口伊方原発安全推進監)に提出しに行ったときに、追加の付随要請文も提出した時に取り上げています。
 翌日の愛媛新聞記事はこちら。 
 以下に要請書を紹介します。

2011年10月27日

愛媛県知事 中村時広 殿

 

          四国電力への指導を求める要請書

 

 原発さよなら四国ネットワーク

   

   10月23日、伊方原発ゲート前で開いた伊方集会の場で、私たち伊方集会参加者は四国電力に(伊方原発の即時廃炉を求める)集会決議文と要請文(別添)を手渡し、四電の責任者の方に回答を求めました。 

その折に参加者に応対した四国電力広報課、総務課の2名の発言が問題発言であったため、愛媛県に以下の2点を要請いたします。

 

1.「耐震性1000ガル」の必要性、緊急性についての四電の心得違いをやめさせてください。

 

・耐震性補強を行い1000ガルに対応するのは、県民の安心のためであり、(安全性は)570ガルに対応しているので十分と認識しているとの発言でした。この四国電力の認識について県はどう考えていますか。四電にそう言わせておくのが良くなければそのように指導をしてください。

 

・また、伊方3号機で1000ガルを目標とする補強改修工事が完了するのは2015年度であり、工事完了までの期間の耐震性は実際には570ガルのままです。この期間に地震が起こらない保証はありませんから、今のまま伊方3号機の運転再開を強行しようとするのであれば、四電は充分な「独自の安全対策をとっている」とはいえないので運転再開は認められない、と、知事は四電の姿勢を正してください。

 

 

2.伊方1,2号機の耐震性バックチェックが未完である問題を重視してください。 

 

・「(06年に始められた)耐震性再評価(バックチェック)はすでに終わっている」との四電社員の発言がありました。しかし実は伊方1,2号機では、四国電力が中間報告を国に提出しているだけで、未だ国の2機関による審査(ダブルチェック)は行われていません。また最終報告書でもありません。これらのことを指摘してもその社員は言を改めようとはしませんでした。この四国電力の認識(中間報告提出の段階なのに再評価が終わっていると言ったこと)は国の審査の信用を貶める行為ですので、県は正してください。

 

・国の2機関による耐震性バックチェック審査が伊方1,2号機では終わっていない(始まってもいない)現状では、福島原発事故が起こった今日、国がそもそも安全性を保証できていないのですから、再稼働は論外でしょう。福島原発そのものでも同じく耐震性再評価が滞っていたことが報道されたばかりです。

 県知事は伊方1,2号機については、定期検査後の再起動の前に、さらに耐震性バックチェックの審査(いわゆるダブルチェック)が必要であるという立場に立つべきです。

 

 

3.1,2の問題点を認識すると、伊方1,2号機及び3号機の運転再開に関する知事の以前の3条件では条件が不足していたと表明し、電力会社と国にそれぞれ問題を提起してください。 


 
 註:この要請文の位置づけというのは、原発さよなら四国ネットワーク自身の主張としては「即時廃炉を求める」という立場で声明文を出し、なおかつ知事の論理矛盾を突くうえで知事のこれまで述べてきた立場なら当然こうするべき、という主旨で追加の論陣を張っているものです。お間違えなく。
 
 さて、この文章を提出してから、1時間足らずの間でしたが、いつも知事の代理として出てくる山口原子力安全推進監(国の原子力安全・保安院から出向してきている)を相手に、質疑応答をやりました。

 

・「耐震性1000ガル」の必要性、緊急性について

 → 現状では県も四電の言うとおりに考えている。今後は福島事故を受けた耐震安全性見直しを国が順次行うのを見守る。

 

・知事は定期検査後の再起動の前に1000ガルへの耐震性補強工事終了が必要と表明してください、に対して

 → 上記の考えなので必要とは考えない。

 

・伊方原発1、2号機では、四国電力が中間報告を国に提出しているだけで、国の2機関による審査(ダブルチェック)は未だに行われていません。認識を改めさせてください、に対して

 → 現状認識はその通り。事実確認した上で四電に県の見解を伝える。(ここだけはまともな対応です)

 

・伊方原発1,2号機の耐震性バックチェックが未完である問題を国に提起して、運転再開の前提条件としてください、に対して

 → そうする考えはない。元々念のためやっているのがバックチェックであり、それ以前の時点から安全性は確保されている。

 

 という主旨の、ひどい答弁をしてました。


 山口氏の態度は、まるで3.11の福島事故以前の世界が継続しているかのようで、「人間の顔に戻ってください」とのこちらの出席者からの訴えかけにも、仮面を被ったままでした。

 

 ここからが今日の本題です。

 やりとりの中で、四電は別に耐震性1000ガルを目指しているわけではないことも確認され、四電には目標1000ガルの対策をやらせているとの中村知事発言はデマの流布に等しいというのもダイジナトコでした。


 山口原子力安全推進監)

まずは順番に申し上げましょうか、まず一番目のですね、千ガル、基準地震動570ガルの2倍以上ということについて、四国電力が570ガルの2倍に耐えられるようにしますということ

 四国電力は中間報告送っていますけれども、国の現行の基準に照らして評価した基準地震動ということには評価自体は基準は570ガル

これ自体は国が基準を示していることになりますのでそれと照らして四国電力がこのように言ったのかということは私にはわかりませんけれども、まあ安全性は−というところにカッコもついていますけれども県民の安心のためであり、ということから知事は国の基準にとらわれずできることはやって欲しいというアディショナルな要請を知事の方から投げかけた中村知事の発言※1、※2とも異なります)ことに対する答えですので、これで安全なのかどうかということについては、今後国、570がどうなっていくのか国の基準がどうなっていくのかということとの関係もありますので。

うーん、ちょっと四国電力の方ではどういう認識で答えたのかはわかりませんけれども、県としては現行基本的には570ガルという今の基準に照らせばそれは満足しているのであろうなあという風には考えています。

 

出席者1)

 この1000ガルという話はひとつは高知大学の岡村教授あたりがよく言っている問題の指摘の数字だとは思いますけれども、愛媛県さん自体としてはその外部の専門家の声についてはどのように認識をされているんでしょうか実際に不必要だと考えておられるのでしょうか?

 

山口)

高知大学岡村教授の名前が出ましたけれどもいろんな専門家の方がいろんな意見お持ちですよね、なので岡村先生がこう言っているから、県としても千ガルとかいうわけでは決してなくてですね、四国電力から受けているのは570の概ね二倍程度の耐震性を示すということですので。(註:中村知事の発言※2と違うことが分かります。)

 

出席者1)

実際には千という数字自体も出ていないという認識ですか?

 

山口)

四国電力の方からはむしろ570、基準地震動の二倍程度という話を聞いています。

 

出席者2)

県の見解をお聞きしたいわけです。様々な学者がいるからということでどれも取り上げないということであれば様々な学者のどれも聞いていないということになりますでしょう。そういうことに対して県のスタンスがどうなのかということを伺いたいわけです。全然そういうことを気にしていないと言うか、配慮する必要はないと言うお考えでしょうか。

 

山口)

配慮とは?

 

出席者2)

さまざまな、でも岡村先生は国の中央防災会議の委員もされてますよね、ですから

 

山口)そこは

 

出席者2)そうなんですよ。で国の会議にも出ておられるような権威のある先生ですね、いろんな論があるから、誰にも聞かないというのでは、

 

山口)

聞かないということは一言も申し上げていなくて、千ガルというのは岡村先生が提唱されている数字だからそれを意識されたんですか?という質問だったので、まあいろんなご意見がありますけれども、と。

 

出席者2)

それは検証はされないんですか、千ガルについて。

 

山口)

四国電力は570ガルの2倍程度の耐震性を確保しますといっているだけなので、それに対して多いとか少ないとかいうことは県としては別にないと。

 

出席者2)

四国電力は四国電力としての見解を述べているのであって県はどうなのかを今日は伺いにきたわけです。

 

山口)

千ガル、570×2倍程度の余裕を確保することは県民の安心感ということに対して寄与すると思っていますので、四国電力の取り組みこういった姿勢については県としては今後もしっかり取り組んでもらいたいと思います。

 

出席者3)

多いとか少ないとか言う気はないと、さっき出席者2さん発言の直前におっしゃられたんですが、何も特に見解を持たないと。

 

山口)

基本的には基準地震動SSというのは国の耐震安全設計指針の中で出てきた数字なわけですよね、耐震設計審査指針は今回地震を受けて今まさに見直し作業に入っているわけです、原子力安全委員会の方で。

ですので今後基準地震動が指針の議論を踏まえてどういう風に変わっていくのか現時点ではわかりませんけれども、県としてはそういう動きを注視しつつ、耐震安全性の確保については、関心を持って確認をして行きたいと思っております。

 

出席者3)

国が言った、国の出す数字を待つということですね、今おっしゃったのは。

 

山口)

今後また指針は見直して行きますので、待つとかまたないとかではなくそう言ったことを踏まえて基準地震動変わる変わっていくあるいは変わらないのかもしれない、その議論を見て行きたいと思います。

 

出席者1)

 専門的な話に入ってしまうんですけれども、570ガルで耐震裕度が2倍あるというのは、1000ガルの耐震性を持っているという話とは同じではないですよね。

  

出席者2)安全管理委員会でもありましたよねえ、その議論。2倍っていうのは1140じゃあないんですね、って森先生が言われて、そうじゃあありませんと、ガル数じゃあありませんというようなお話しも。

 

出席者1)

 前回の耐震性バックチェックの中では元々の評価の中で、耐震性570ガルに対して余裕が何倍ある、2倍あるというのはもともと倍数が予め想定で出てきている数字で、でもそれをだからといってその2倍のガル数に対して安全裕度が1あるということは言えないわけなんですよ。

 本来その耐震性の裕度という話は、本来工学上持っている安全係数の話であって、それが、1000ガルと言っているというのは中村知事が勘違いされてそういう風に認識してしまっているだけなんじゃあないんですか、というのが気になるんですけれども。実際には千ガルというような数字は四国電力は言ってはいない? 570ガルの地震に対して安全裕度が2あるということを示しているだけでしょうか?

 

山口)

570ガルという基準地震動自体は変わりません、それはさっきも申し上げましたけれども考え方に従って…

 

出席者2)でも今基準地震動自体が変えようとされているわけですよね、

 

山口)

…された数字なので、基準地震動はおいておいて、570ガルで揺れたときの地震動に対して、その2倍程度の揺れに耐えられるようにします、というのが今回の四国電力からの報告なわけですね、それは正確に言うと、部位部位、場所によって必ず1140にならない部分も出てくると思いますけれども、概ね2倍程度ということで言われてるとおり、そこは少なく見積もったとしても、およそ千ぐらいの揺れに対しても耐えられると。

 

出席者1)

 どういえば良いんでしょう、工学的に言えば、どんな建物でも安全係数というものが1以上の安全係数が必要なわけですよ、で、ただ(基準地震動)千ガルの場合でも安全係数は1以上、実際には2というような数字を持っているやつもあるわけで、安全係数1の物は本来千ガルに対する耐震性があるとは呼べないわけで、とにかく同じではないという話は、安全管理委員会の専門部会の中でも四電が答弁をしていた話なわけですので、そこについてはかっちりとした工学的な認識というのを知事の方にも伝えていただくようお願いをしたいと思いますが。

 

出席者2)

 たぶんね、私たちも勘違いをしていた、でもその勘違いをしているのを四電は一人歩きさせてるんですよ。 

みんながそういう風に言っていることも訂正させることもなく。

 安全管理委員会の専門部会でも森先生が質問をされたので始めてみんな、あ千ガル以上じゃなかったんだということがわかったんですよね、なんだ違うんですかというお話しだったと思うんですけれども、傍聴している私たちも、マスコミが書いていた千ガルというのは、四国電力の言っていることじゃなかった、そのへんの裕度とガル数の全然違うんですよということがあのとき明らかになったと思うんですよね。

 その辺も、県知事にきちんとお伝えくださったんでしょうか、委員会のあと。

  

山口)

委員会の前も後も基準地震動、この問題については最初から知事の方にはちゃんと説明しています

 

 

続く? 

 こちらは、昨年8月23日にありました、伊方原子力発電所環境安全管理委員会技術専門部会の議事録より抜粋です。


 

宇根崎委員 ありがとうございます。もう1つ、細かい話になって恐縮ですが、2倍裕度のところの話で、例えば8ページですと、耐震強度が2倍ということで機器に対する力が2倍ということで評価されるということでございます。これは、基準地震動が2倍ということではないですか。そのあとの9ページの加振試験を実施して基準地震動を2倍したものとの関連について、地震動と機器にかかる力、ノンリニアリティとかが、問題になってくるかと思うのですが、そのあたりをもう少し定量的と申しますか、機器にかかる力が2倍というのと基準地震動の2倍というもの。それから、この話の発端になっていると思うのですが、福島での地震動が基準地震動を超えたこととの関連について少し補足説明をいただければと思います。

 

○四国電力 今回の2倍裕度確保の対策の検討におきましては、基準地震動を2倍ということではございません。あくまでも機器側の裕度を確認するということです。基準地震動は570ガルを用いまして、そのときに発生しております応力でございますけれども、これが2倍になった。これは一般的には地震動と機器にかかる力というのは概ね比例関係にあると理解していますが、例えば地面にありますタンクに地震が加わるわけですけれども、そのときに揺れ方で加速度というものが発生しますが、地震が2倍になれば加速度は2倍になりますので、そういう観点からいきますと2倍の地震が起きれば、2倍の力を受けるということになるわけですけど、一般的に機器は建物の中に設置してございますので、一旦建物を介しますと、やはりいろいろな影響を受けますのでそのへんは全く比例ということはございません。そういうことで、我々としては概ね地震動と力というのは比例関係にあると思っていますが、地震動を2倍とはっきり言うことはできませんので、今回裕度2倍ということでご説明させていただいております。もし加振試験等で確認する場合でございますけれども、これにつきましては加振力を設定する必要がございますので、その関係で基準地震動を2倍にしたものを入力したいと考えております。それと、福島等で一部の観測値が基準地震動を上回っておりますけれども、先ほど保安院さんからご説明がありましたように、概ね基準地震動と同等だと聞いてございます。一部のスペクトルで、少し大きくなったところがございますけれども、東京電力さんの応答解析の結果、機器の発生応力は許容値内に収まっていたということもお聞きしていますので、今回の地震を踏まえても2倍裕度を確認することによりまして、十分な耐震余裕が確認できると我々は考えております。以上でございます。

 

○濱本部会長 よろしいでしょうか。森先生どうぞ。

 

○森委員 今、ちょうどご説明のあった資料の9ページの最も右に書いてある実機器を模擬した加振試験による確認ということで、基準地震動を2倍したということが書いてありますが、これは基準地震動を入力にして、いい機器とか施設についてはそれでいいと思うのですが、いわゆる構造物の上にあるものであれば、基準地震動を入力した応答であるところのフロアだとか、その位置での応答波をむしろ入力していかなければいけないのではないかと。非常に基本的なことですが。

 

○四国電力 そのとおりでございますので、ここで書いておりますのは、地面に置いてある場合を仮定したらこうなります、建物の場合は建物の応答を考慮して2倍の入力の必要がありますので、そこはできるだけ近いものを想定して評価をしたいと考えております。

 

○森委員 すると、書類としてここには基準地震動Ss(570ガル)とありますけれども、それもしくは機器の設置された位置における応答波という書き方をしないと正確ではないのかと思ったのですが。

 

○四国電力 そのとおりでございますので、今後書き方は修正したいと思います。

 

・・・とのことで、質問を初めにしたのは森委員ではなく宇根崎委員のようです。

 



 

 

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