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桜と野球と武芸

2009-04-20 | Japan Traditional culture日本の伝統文化
 アメリカ合衆国の首都ワシントンD.C.のポトマック河畔の桜並木は、世界の名所の一つ。毎年3月末から4月のはじめにかけてシーズンには、盛大に「桜まつり」が開催され、全米から観光客が訪れ、パレードやその年の「桜の女王」が選ばれます。しかし、桜の楽しみ方はやや日本とは違う様子です。同じことは日本と西欧のスポーツや武芸のあり方の違いと、似ています。
 ワシントンでは、桜の話題は満開と時だけです。満開の時、盛大に楽しんで、それで終わりです。ところが日本では、蕾から桜前線北上の話題、満開はもちろん、散る桜、葉桜までを楽しみます。今では少なくなりましたが、落ち葉は落ち葉焚き。江戸時代は堤防を作る時、桜を植えました。根が深く張るだけではありません。花見の季節大勢の人々が堤防を歩き、土を踏み固めたのです。全てに価値があります。満開だけが美しく、楽しいのではありません。
 アメリカのベースボールを日本から見ると、ホームランが一番楽しいことと思っている。バーンと大きく打って、選手はゆっくりとベースを回り、観客が声援を送る。これが野球最大の面白みだと思っていた、最近までは。こうしたベースボールの行き着いた先は、ホームラン以外の技の大切さを見失いました。パワーを求める結果、筋肉増強のトレーニングとステロイド。巨大なスタジアム、一部の選手の高い年俸、放映権料の暴騰。選手によるストライキ。
 日本人は「何でも道にしてしまう」と揶揄されることがあります。野球に「道」をつけることが良い悪いは別にして、日本の野球は、ベースボールとは違うものになりました。WBCで出した日本野球の結果や大リーグでのイチロー選手の活躍に、多くの人々が気付きました。
まずヒットを打ち、全力で一塁ベースへ走る。
投手の癖を見抜いて、二塁へ盗塁。
打者はバントで三塁へ走らせてもいい。犠牲フライで、ホームベースを狙わせてもいい。
 小技を緻密に積み重ねる。全てを全力で。バットやグラブを、選手は自ら丁寧に手入れをする。ベンチやグランドに、ガムやゴミを(欧米人のように)はき捨てることはない。すると全てが、楽しいことに気付く。ホームランだけが美しく、楽しいのではない。

 さて最後に武芸の話です。たとえばフェンシングと居合の比較です。前者になく後者にあるものに、抜きつけ・納刀・礼法があります。大刀を振り回すのが、美しく楽しいのではありません。もちろんフェンシングにも体使いと足構えがあるのであって、居合とどちらが優れてるとかの話ではありません。こうして様式とともに意味を伝えてきた日本の先祖は、個性があり誇りに思ってよいのだと思います。


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