四季の武蔵野

次第に失われつつある、武蔵野の「現在」を記憶に留めるため、このブログを開設しました。

野口雨情と井の頭公園(その2) ~童心居

2008-10-31 20:04:49 | ゆかりの作家たち


野口雨情は本名を野口英吉といって、茨城県北茨城市出身の詩人であり童謡・民謡作家です。
明治15年(1882年)に茨城県多賀郡中郷村(現在の北茨城市)の旧家に生まれました。

早稲田大学を中退後、北海道に渡って新聞記者などを勤めていましたが、大正13年からここ武蔵野の吉祥寺に居を構え、本格的に創作活動にはいります。
この地で、「十五夜お月さん」「七つの子」「赤い靴」「青い眼のお人形」等数多くの童謡のほか、「船頭小唄」「波浮の港」等の民謡も生み出しました。

その後晩年の昭和19年までの20年間、井の頭の池の近くで暮らしましたが、昭和19年に疎開と療養のため宇都宮に転居した後、翌20年没しております。

 

井の頭自然文化園の深い林に囲まれて、野口雨情の書斎「童心居」があります。
これは、吉祥寺に住んだ野口雨情の旧宅から移築された8畳の書斎部分で、句会や茶会などで借りることもできるといいます。


冬の訪れ

2008-10-28 20:34:03 | 武蔵野


もう10月も終わりだというのに、毎日毎日初秋の暖かさ。
木々の紅葉も進まず、季節はすっかり停止してしまったようです。

それでもさすがに朝晩は冷え込んで、冬の訪れを感じさせます。

井の頭の池にも、キンクロハジロやホシハジロといった冬の渡り鳥たちの姿も、ちらほらと見かけるようになって来ました。

季節は確実に動いているのですね。

 


さるやまの午後

2008-10-26 08:26:01 | 武蔵野


先日の動物園の続きです。

この春から夏にかけて、さるやまでは出産ラッシュがあったらしく
たくさんの小猿たちがキャッキャ大はしゃぎでした。 

 

やっぱりどこの世界でも、子供たちは元気があっていいですね。やまからやまへ渡された鎖や、ブランコの周りで友達ふざけまわっていたある小猿は、あっという間にコンクリートの地面に落下!

          

でも、さすがに「猿」というべきでしょうか、次の瞬間には何事もなかったかのように元の鎖によじ登ります。
猿ってホントに身体が柔らかいのですね。

その傍らでは、生まれたばかりの赤ちゃんにお乳を与える母猿と、それをうらやましそうに見詰める、お兄ちゃんらしき小猿の姿がありました。
なんと微笑ましいのでしょう。
さるやまって本当に一日中みていても飽きませんね。

  

彼らはこの狭い世界のなかで生まれ、生活をし、子供をつくり、そして死んでいくのでしょうね。
彼らには高いコンクリートの塀の外は、どんなふうに写っているのでしょう。
それを知りたいと、彼らは思うのでしょうか。
そんなこと知らないほうが、きっと幸せな一生を終えられるのに、それでも知りたいと思うのでしょうか。

           

さるやまの小猿たちに負けない歓声をあげて、近くの幼稚園児たちが駆けてきました。彼らはさるやまをあっさりスルーして、奥の遊園施設のほうに走っていきましたよ。

ふたつの異なる世界を眺めながら、物思いに耽る午後でした。


井の頭恩賜公園(その4)~井の頭自然文化園

2008-10-22 21:00:53 | 武蔵野


遂に、ついに、ツイニ~ィ(白鳥百合子風)
行ってしまいました! 井の頭動物園!!

井の頭公園の中にある、小さな動物園。思えば幼稚園のとき、はじめて行った遠足がここだったのです。家の近くだったこともあって、子供の頃にはずいぶんと行った記憶があるのですが、大人になってからは久しく行ってません。

 

動物園というと、どうしても多摩動物公園とか上野動物園とかになってしまいます。子供が大きくなってからは、それさえ遠のいてしまいますね。
だから、ここの門をくぐるのは30年ぶりくらいになるでしょうかね、このブログをはじめてから何時かは行かねばと思っていたのですが、諸処の事情が重なってなかなか行けなかったのです。

井の頭動物園というのはあくまで通称で、正しくは井の頭自然文化園というそうです。
井の頭自然文化園が開園したのは、戦時中の昭和17年(1942年)。当初は上野動物園に匹敵する一大動物園が構想されていたようですが、戦時中のために予算と物資不足から大型動物を集めることができず、「自然生態観察園」という趣旨に変更されました。

         

井の頭自然文化園の人気者といえば、なんといってもアジアゾウの「ハナコ」でしょう。子供の頃に行ったときから少しも変わらぬ姿を今回もみせてくれましたよ。
「やあ、30年ぶり」
というところでしょう。
それもそのはず。ハナコの年齢は今年61歳、なんと還暦を迎えているのです。
生きている伝説。それがゾウのハナコなのです。

 

今回、このコの存命中に再び会えて、こころから良かったと思います。

動物園の中については、また改めて報告しますね。





ネコの街

2008-10-15 22:44:58 | 風景


うちの近くってホントにネコが多いのです。
路地の小道とか、駐車場の車のしたとか、常に2~3匹のネコちゃん達が遊んでいます。
ノラネコも多いのでしょうが、中には飼い猫もいるようです。

 

うちの玄関灯は赤外線で、ひとが通ると自動点灯すようになっているのですが、時折誰もいないのに突然点くことがあるのですよね。
そういう時は、大抵ネコちゃんです。

                              

ところで、ネコ達はよく一箇所に集まって会議をすることがあるって噂、あれは本当ですかね?
そういえば近くの古いアパートの中庭に、十匹ちかくのネコ達が集まっているのを目撃したことがあります。
ひょっとしたら、あれが「ネコの会議」ですかね。

なんかネコって、不思議な生き物です。


あしたもいい天気

2008-10-10 07:54:48 | 風景

すっかり秋も深まり、夕方になると庭先では秋の虫たちの合唱が聴こえます。
写真は昨日の夕日。

武蔵野はこのところ穏やかな秋晴れの日々が続いています。
そういえば、気のせいか今年は台風の訪れが少ないような・・・

沖縄や九州地方では大変な被害にあわれたところがあったようですが、それでも上陸した数自体は例年に比べて少なかった気がします。

まあ、台風以前に今年は、狂乱低気圧やゲリラ豪雨など、異常気象が多かったですからね。それも地球温暖化の影響でしょうか。
いろいろ難しい問題もあるとは思いますが、地球環境は大切にしたいものですね。我々の子供たちのためにも。

      

昨夜は西の空にひろがる夕日を眺めながら、そんなことを考えていましたよ。
あしたもきっといい天気です。

みどりの家

2008-10-07 22:43:01 | 風景


この緑色の箱はなんでしょう?
なにかに植物のツタが覆っているのですね。
良く観ると、箱の上部が尖っています。そう、これは古い建物全体を緑のツタが覆ってしまったのです。

建物の屋上や壁面を緑の植物で覆うという発想は、実はかなり古くからあります。
近年都心部における気温が上昇する「ヒートアイランド現象」が危惧されてからは、その原因が緑の喪失と都市活動に伴う排熱にあるとされ、それを防止する一手段としてこの「建物緑化計画」が脚光を浴びてきたのです。

屋上緑化や壁面緑化には、ビルの外壁に設ける断熱材と同じ断熱効果や紫外線等による建築物の劣化防止効果があり、ビルの空調等の省エネやビルの長寿命化ができるとされています。

        

・・・とか、エラそうなことを申しましたが、本当のことを言えば、ただ単に使っていない古い倉庫にツタが絡まって、いつの間にかこんなになってしまったのですね。

時には「なにもしないこと」も環境保護になるということでしょうか?

なんか、皮肉な話ですね。
 


野口雨情と井の頭公園(その1)

2008-10-03 07:31:45 | ゆかりの作家たち

 
  十五夜お月さん ごきげんさん
    ばあやは おいとま とりました
 
  十五夜お月さん 妹は
    いなかへ もられて ゆきました
 
  十五夜お月さん かかさんに
    もいちど わたしは あいたいな


冒頭の詩は野口雨情の「十五夜お月さん」という詩の一節です。
野口雨情は北原白秋、西條八十とならぶ三大童謡詩人と謳われた作詞家のひとりです。

「赤い靴」とか「七つの子」とか、シャボン玉とんだとかは、誰でも一度は耳にしたことがあるでしょう。
それが野口雨情です。

                            

1882年(明治15年)茨城県の北茨城市に生まれました。早稲田大学を1年あまりで中退したあと詩作を始め、1919年(大正8年)くらいから本格的に童謡詩人としての活動を開始するのです。

その雨情が武蔵野吉祥寺に居を構えたのは1924年(大正13年)。それから20年あまりこの地で創作活動を続けます。朝夕、井の頭公園周辺を散策しては、新しい童謡の詩想を練ったことでしょう。

              

野口雨情の記念碑は井の頭池の西側のほとりにひっそりと佇んでいます。碑には雨情が作詞した「井の頭音頭」の一節が刻まれています。



2008年の9月14日に井の頭自然文化園、彫刻館内の特設ステージで「野口雨情を歌う」と題したコンサートが開催されました。
この日はオペラやミュージカルで活躍中のソプラノ歌手の太宰陽子さんと、ピアノデュオ「トピア」で注目を集めている若手ピアニストの橋爪美佐さんが訪れ、澄んだ歌声と軽やかなピアノの音色で雨情の世界を表現し、訪れた皆さんを楽しませてくれました。