四季の武蔵野

次第に失われつつある、武蔵野の「現在」を記憶に留めるため、このブログを開設しました。

太宰治と玉川上水 その1

2009-05-29 19:53:30 | ゆかりの作家たち

玉川上水ゆかりの作家といって、まず真っ先に思い当たるのが太宰治でしょう。

太宰治は青森県五所川原出身の昭和を代表する作家です。代表作には「斜陽」「人間失格」「走れメロス」など、有名どころが数多くあります。

小説にはあまり縁の無い人にも、一度は耳にしたことのある名前でしょう。

この太宰治が38歳の生涯を終えた場所がこの玉川上水なのです。

 

もともと太宰には自殺願望があったらしく、学生時代からたびたび心中事件を起していたようです。

その太宰が、愛人山崎富栄と上水に身を投げたのは昭和23年。当時の玉川上水は「人食い川」と呼ばれ、現在の穏やかな流れからは想像も出来ないような流れの激しい危険な川だったそうです。

                 

小雨の降りしきる6月13日に三鷹で入水した太宰と富栄の遺体が、2キロも下流で発見されたのが6日後の6月19日。奇しくもこの日は、太宰の誕生日だったということでした。

  

現在太宰の入水の場所には、彼の故郷青森県北津軽郡の「玉鹿石」が、記念碑かわりに置かれています。




みどりの井の頭 再び

2009-05-20 20:41:19 | 武蔵野


この所、暑い日が続いていますね。もうすっかり夏という感じでしょうか。

この記事を読んでいただいている皆さんに、すこしでも涼しい気分を味わっていただくために井の頭公園の涼しい若葉をご覧ください。

まあ、ネタもきれたことですしね(笑い)

  


こちらは新緑の弁天堂です。井の頭の池に緑が映えます。

                   

                  



         



どうですか、すこしは涼しくなっていただけましたか。
「感じ」だけではなく、木陰は本当に涼しいです。木陰のベンチに腰を降ろして文庫本などを広げていると、あっという間に時間が経つようです。


                 

そんなたおやかな昼下がりのひと時が大好きです。

 





 


桜堤の初夏

2009-05-17 07:32:43 | 武蔵野


以前、桜堤団地について少し記したことがありました。

その地名からも解るとおり、この地は桜のとても美しい土地で、紹介したときも正に桜の盛り。団地も桜の中に埋もれているという印象でした。

その桜の花びらも、今ではすっかり緑の若葉に姿を変え、初夏の日差しを遮っています。

    


桜堤団地はそれまで40年以上続いた旧団地を、1999年に建替え名前も「サンヴァリエと改めました。

建替えに際しては昔ながらの桜並木をそのまま残し、敷地内を横断する仙川の周辺環境を出来るだけ自然のものに戻すなど、自然と共生する生活空間の構築に成功しました。

この巨大な緑の大地は、ここに生活する人たちだけではなく、周辺に集う人たちにも快い癒しの空間を与えてくれるのです。






ひなげしの花

2009-05-14 07:20:45 | 風景

 おっかのうっえ~ ひっなげしのはっなでぇ~

当時17か18歳くらいだったでしょうか、舌足らずな独特のイントネーションで唄うアグネスチャンは、それこそ天使のように可愛らしかったと記憶しています。

当時、この「ひなげしの花」というのがどういうものか、よく分かりませんでした。なんとなく、中国の大草原に見渡す限り咲き乱れる白い花畑のイメージがあったのですが、それがポピーと呼ばれる花であることに気が付くのはずっと後のことだったのです。

アグネスチャンのおかげか、ポピーの原産地は中国だとばかり思っていたのですが、実はヨーロッパから中国に渡ってきた花だったのですね。日本に渡ってきた時期もかなり古く、室町時代にはもうすでに渡来していたそうです。

 


「ひなげし」は漢字では「雛芥子」と書きます。花びらからは気管支炎、肺炎とうに効能があったことから漢方薬として重宝されたそうです。

また「芥子」の仲間でありことから、大麻や阿片の材料になるのではないかとも思いがちですが、公園などに咲いている「アイスランドポピー」や「シャレーポピー」は栽培しても別段問題はないそうです。

                     

色とりどりの花びらが人気のポピーの花畑は、この時期各地で話題を集めていますが、先週の日曜日に東京立川の昭和記念公園に鑑賞に行ったので、今回はそれを紹介したいと思います。

そうそう、わざわざ公園まで行かなくとも、ひなげしの花は小径の道端や路地の片隅にもひっそり咲いていますよ。

 

ナガミヒナゲシという種類の花で、1961年に東京で見つかってから急速に広がった帰化植物です。この種類から大麻の精製は出来ないので、栽培しても問題はないそうです。

                                                                   


「ひなげし」は別名「虞美人草」とも書きます。虞美人というのは古来中国の武人項羽の愛人だった人で、名前通りに大変美しいひとだったそうです。

楚漢戦争で項羽の軍が劉邦軍に敗れたとき、自害した虞美人の身体から流れ出た血から花が咲いたという伝説に去来しています。

そう考えるとちょっと恐ろしいですね。




虫についての一考察

2009-05-09 22:20:45 | 風景


皆さんの中にもご覧になった方があるかと思いますが、昨日の夕方東京地方では広く虹がみられました。

三鷹駅の改札を出たところで、多くの人たちが東の空に携帯のカメラを向けている光景に出くわし、なんだろうと思ってそちらの方向を見上げると雨上がりの空に綺麗な虹がかかっていました。

これほどの虹に遭遇したのも久しぶりでしたので、皆にまじって思わずシャッターを切ったのが冒頭の写真です。



ところでシャッターを切りながら考えたのですが、「虹」という字にはなんで虫という字が入っているのでしょう。

よく考えたら虫ではないのに虫偏の漢字って、けっこうありますよね。例えば「蛇」がそうでしょう。あと「蛤」もそうですよね。
虹や蛇や蛤も虫の一種だというのでしょうか?

調べてみると、その昔は動物でも鳥でも魚でもない生き物は全て、「蟲」と言い表したそうです。

やがて「蟲」の略字として「虫」の字が使われるようになりました。すなわち虫偏の「虫」は「蟲」の意味であり、小動物一般の意味なのです。

ところで本来の「虫」という字には別の意味もありました。もともと虫という漢字は「マムシ」を表す象形文字で、本来は「クネクネまがる」という意味だったらしいのです。

そうです元々は「虫」とはヘビのことを言い表す漢字であり、本来の虫を言い表す「蟲」とはまったく別の存在だったのです。

このまったく別の存在を言い表すふたつの漢字が、いつの間にかひとつの文字に集約され、本来の意味であった「ヘビ」という表現は「虫」のなかのひとつのジャンルに押しやられたわけです。

というところで、虹の話に戻りますが、先程「虫」は古来「ヘビ」を表す文字だどいいましたが、正確には「クネクネまがる」生き物全般を指していいます。

昔の人たちは想像上の生物「竜」もまた「虫」一種として考えました。古来中国では水に住まう竜を「蛟竜」と呼んでいました。

また古来中国では「虹」も竜の一種と考え、「虹竜」の文字を当てたそうです。

とはいえ虹を竜や蛇に例える考え方は、中国以外にも世界各国にあります。例えばオーストラリアのカリアやムイトは雨を呼ぶドラゴンの姿ですし、西アフリカのある地方では地面の底でとぐろを巻き大地を支える巨大は蛇のイメージだといいます。

なんか知らないうちに長文になってしまいました。要するにちょっとしたこでも興味を持って調べれば、いろいろと面白いことが判るということです。


登竜門

2009-05-05 13:37:32 | 風景

いきなりですが「登竜門」というのを知っていますか?

ほら、よく「大学入学への登竜門」とか「アイドルへの登竜門」とかに使われる、あの登竜門です。

もともとの意味は「出世への糸口をつかむ」という意味ですが、語源となった「竜門」は中国黄河の上流にある急流のことです。

その昔の中国では、「竜門を登り切った鯉は竜になる」という言い伝えがありました。いわいる「鯉の滝登り」というやつです。

 

5月5日「こどもの日」の鯉のぼりは、正にこの登竜門の故事から来ています。

黄河上流の激流を鯉が登るということから、鯉は出世魚として考えられ、子供の立身出世の象徴としての鯉のぼりは、江戸時代の半ば頃より盛んに立てられるようになったそうです。

また、子供が生まれた家では「無事子供が生まれました。どうぞお守りください」と天神さまに報告する目印として上げたともいわれています。

この天神さまへの目印という発想は、古くからよく見られるもので、例えばお正月の門松。七夕の笹。などがそうだといわれています。

                  

ところで5月5日の子供の日に鯉のぼりを上げるようになったのは、武士が戦場で上げる「のぼり旗」に機縁します。

のぼり旗というのは、戦場で武士が背中にさしている旗のことで、自分がどちらの陣営に属しているのかを示すものです。近年では漁師さんたちが掲げる「大猟旗」や相撲の開演を告げるのぼり。あれものぼり旗の一種です。

さて、江戸時代になると幕府が5月5日を重要な日と定めたことから、端午の節句は庶民の間にも広がりましたが、のぼり旗は武士のものですから一般庶民には飾れません。

そこで登竜門の故事から思いついた「鯉のぼり」を飾るようになって、急速に広がっていったと伝えられています。

ということで、今日は「鯉のぼり」の話でした。










みどりの季節 in 井の頭公園

2009-05-03 20:37:17 | 風景


ゴールデンウィークに入って、初夏らしい爽やかな日が続いています。

高速道路1000円割引が始まって最初の大型連休。高速道路は朝から大渋滞。

また、新型インフルエンザの蔓延で、海外脱出組も大混乱だとか。

こういう時はヘタにじたばたしないで、地元でゆっくり連休を過ごすというのもひとつの手ですね。

  

と、いうところで、今回は久々の井の頭公園。

この前訪れたときには、まだ散り遅れの桜の花びらが風に舞っていたのですが、いつの間にか若葉の繁る緑の季節へと移り変わっていました。

いやはや季節の巡るのは実に早いですね。

                 


季節でいうなら、この若葉の頃が一番好き。

なんか頬を撫でる風の色さえも緑に感じられます。

と、いうわけで

この連休は地元のいろいろな場所を歩き回って、緑の季節を満喫しようかと思います。

といっても、いつもの散歩に過ぎないのですがね、