今回の記事は『モールス』(2010年、監督:マット・リーヴス)です。
ヴァンパイアの恐怖と少年少女のピュアな恋模様を交えて描いた全く新しいヴァンパイア・サスペンス・ホラー。
主演のコディ・スミット=マクフィーとクロエ・グレース・モレッツがピュアな少年少女を好演しています。
恐ろしくも切ない鑑賞感を残す印象的な映画です。
■内容紹介 ※goo映画より
1983年の冬。
12歳の少年オーウェンが暮らす団地の隣室に謎めいた少女が父親と越してくる。
学校では陰湿な苛めにあい、家では精神的に不安定な母親との息苦しい生活に孤独感を強めていたオーウェンは、アビーと名乗る少女と夜の中庭で言葉を交わすのが楽しみになる。
やがて、壁越しにモールス信号を送り合うようになり、アビーはオーウェンに苛められたらやり返せと励ます。
同じ頃、町では連続猟奇殺人事件が起きていた。
最も切なくて、最も怖ろしい、イノセントスリラー
■感想
この映画、鑑賞前はバリバリのホラー映画だと思っていたのでかなり意外な印象を感じました。
内容はまさかヴァンパイア映画です。
今作はオリジナルティ溢れる切なさが絶賛されたスウェーデン映画『ぼくのエリ 200歳の少女』のハリウッド版リメイクらしい。
ハリウッドがリメイクすると過剰に派手に演出されてオリジナルの良さが無くなっているという批判をよく聞きますが、この映画はそんなことにはなっていなかったのではと思う。
監督は『クローバーフィールド』のマット・リーヴスなので、オリジナルの良さを生かしつつナチュラルにリメイクしてくれたのではと思います。
僕はオリジナル版を観たことないので実際はどうなのかは分からないのだけれど。
映画の雰囲気はかなり正統派なホラーっぽく仕上げられています。
観客の心拍数を上げる演出もすこぶる上手い。
ハリウッドリメイクでありがちな過剰な派手さというものもおそらく一切ない。
ジャンルはホラー映画なので心拍数を上げるドキドキするシーンも多めにありますが、映画の怖さ自体は弱めでそんなに怖くない。怖いというよりは切ない。
ホラー映画でこういったテイストに持っていけるのは良作の証しだと思います。
いわゆるお化け屋敷演出(突然の音やグロ描写で驚かす演出)も少なめなので心臓にもやさしい。
それでも背筋が冷たくなる感覚はほどよく感じることが出来るので夏に観るにはぴったりな映画かもしれない。
(すみません。鑑賞時点が夏なので。これからの季節、冬に観ても面白い映画だと思います。つまりいつ観ても良し! ←適当だ…)
ホラーが苦手な方にもぜひ観てもらいたい映画です。
物語はとにかく切ない。痛い程に。
少年少女の淡い恋心を感じさせる物語はどこか可愛らしくて微笑ましかった。
けれどそこにこの物語が持つ特殊性が加味されるととんでもなく切ないものへと変わっていく。
以下、ネタバレを含む箇所はカッコ内空白で反転させています。構わない人のみドラッグ反転して下さい。
ミステリアスな少女アビーを演じているのはクロエ・グレース・モレッツ。
『キック・アス』で痛快コスプレ少女を演じていた子と同じ子だとは思えないほど役柄の雰囲気が違う。
彼女が抱えている孤独を強烈に感じさせる演技は上手かった。
アビーがオーウェンへ向ける眼差しはどこか不安げで悲しさを秘めていて胸が痛くなってしまう。
父親との別れのシーンも何ともいえない切なさがあった。
(彼女自身は普通の12歳の少女でいたいという思いが常にあったのだと思う。
けれど血液以外のものは体が受け付けず吐き出してしまう。
自分だけが成長できず、世間から隠れるように生活しなきゃいけない日々はどれだけ孤独で寂しいものだったのか。
自分に普通の女の子のように接してくれて、自分の正体を知ってからも好きでいてくれるオーウェンはアビーにとって特別な存在だったに違いない。)
オーウェンを演じていたコディ・スミット=マクフィーも良かった。
「おめめ クリクリねー」(…鑑賞時点が夏なのでメモ書きのネタが古い…)的な顔は可愛らしく、それでいて少年らしい一面もあり、繊細な少年役を上手く演じていたと思う。
(終盤、警官の助けの手を振りきり辛そうにバスルームのドアを閉めるシーンは激しい痛みとして突き刺さってくる。
人としての良心とアビーに対する愛情との葛藤の果てに彼が選んだ道は傍観すること。何て悲しい決断なんだ。)
アビーの父親((らしき人)は、話の流れと物語の途中でちょこっとだけ見れる写真から想像するに、アビーがオーウェンと同じように彼がまだ少年だった頃に出会った男の子だったのでしょうね。
その後、彼はアビーのために手を汚す道を自ら選んで映画の冒頭に至る。
彼が病院で残したメモや、アビーとの別れのシーンから彼が心の底からアビーを大切に思っていることが伺えて切なかった。)
映画の最後は(オーウェンとアビーが一緒に電車に乗って旅へ出たような感じで終わりますが、アビーと一緒に行くという道はオーウェンが自分で決めたことなのでしょう。
傍から見るとほのぼのとしたラストなんだけれど、アビーの父親の写真の件を思うと、これは彼女の策略なのかもしれないとも思えてきてゾッとする寒さを感じる。
オーウェンがアビーの父親(らしき人)と同じ道を辿るかどうかは分からない。
けれど個人的にはオーウェンが殺人鬼になるようにはあまり思えず、彼はただアビーのそばにずっと一緒にいてあげることを選んだのだと思う。)
物語や映画の雰囲気は大変に良かったと思う。
けど1点だけ「これはちょっと」という描写もあったので一応書いておきます。
それは(アビー豹変後の)怪物のアクションCGが若干おかしかったところ。
カメラは引き気味で遠くから映すことで人間離れした動作のスピード感を印象づけているのだと思うのですが、あのスピード感が逆に違和感(+明らかに本物じゃない印象)を感じさせてしまいそこだけはイマイチだった。
それにしても最近の子役の演技の上手さは異常。
↓貼り残しIMG
⇒img1(アビー役クロエ・グレース・モレッツ。最強少女子役として話題の子ですので要チェック!)
⇒img2(オーウェン役コディ・スミット=マクフィー。女の子みたいに可愛い)
(★は最高で5つです。★:1pt, ☆:0.5pt)
■Link
+⇒公式HP(Japanese)
+モールス - goo 映画
■TrackBack Center(他の人の感想を見たい人はココで)
+⇒「モールス」レビュー :映画レビュー トラックバックセンター
+⇒2011年映画レビュー記事一覧
←ランキング参加中。よろしかったらクリックお願いします。
ヴァンパイアの恐怖と少年少女のピュアな恋模様を交えて描いた全く新しいヴァンパイア・サスペンス・ホラー。
主演のコディ・スミット=マクフィーとクロエ・グレース・モレッツがピュアな少年少女を好演しています。
恐ろしくも切ない鑑賞感を残す印象的な映画です。
■内容紹介 ※goo映画より
1983年の冬。
12歳の少年オーウェンが暮らす団地の隣室に謎めいた少女が父親と越してくる。
学校では陰湿な苛めにあい、家では精神的に不安定な母親との息苦しい生活に孤独感を強めていたオーウェンは、アビーと名乗る少女と夜の中庭で言葉を交わすのが楽しみになる。
やがて、壁越しにモールス信号を送り合うようになり、アビーはオーウェンに苛められたらやり返せと励ます。
同じ頃、町では連続猟奇殺人事件が起きていた。
最も切なくて、最も怖ろしい、イノセントスリラー
■感想
この映画、鑑賞前はバリバリのホラー映画だと思っていたのでかなり意外な印象を感じました。
内容はまさかヴァンパイア映画です。
今作はオリジナルティ溢れる切なさが絶賛されたスウェーデン映画『ぼくのエリ 200歳の少女』のハリウッド版リメイクらしい。
ハリウッドがリメイクすると過剰に派手に演出されてオリジナルの良さが無くなっているという批判をよく聞きますが、この映画はそんなことにはなっていなかったのではと思う。
監督は『クローバーフィールド』のマット・リーヴスなので、オリジナルの良さを生かしつつナチュラルにリメイクしてくれたのではと思います。
僕はオリジナル版を観たことないので実際はどうなのかは分からないのだけれど。
映画の雰囲気はかなり正統派なホラーっぽく仕上げられています。
観客の心拍数を上げる演出もすこぶる上手い。
ハリウッドリメイクでありがちな過剰な派手さというものもおそらく一切ない。
ジャンルはホラー映画なので心拍数を上げるドキドキするシーンも多めにありますが、映画の怖さ自体は弱めでそんなに怖くない。怖いというよりは切ない。
ホラー映画でこういったテイストに持っていけるのは良作の証しだと思います。
いわゆるお化け屋敷演出(突然の音やグロ描写で驚かす演出)も少なめなので心臓にもやさしい。
それでも背筋が冷たくなる感覚はほどよく感じることが出来るので夏に観るにはぴったりな映画かもしれない。
(すみません。鑑賞時点が夏なので。これからの季節、冬に観ても面白い映画だと思います。つまりいつ観ても良し! ←適当だ…)
ホラーが苦手な方にもぜひ観てもらいたい映画です。
物語はとにかく切ない。痛い程に。
少年少女の淡い恋心を感じさせる物語はどこか可愛らしくて微笑ましかった。
けれどそこにこの物語が持つ特殊性が加味されるととんでもなく切ないものへと変わっていく。
以下、ネタバレを含む箇所はカッコ内空白で反転させています。構わない人のみドラッグ反転して下さい。
ミステリアスな少女アビーを演じているのはクロエ・グレース・モレッツ。
『キック・アス』で痛快コスプレ少女を演じていた子と同じ子だとは思えないほど役柄の雰囲気が違う。
彼女が抱えている孤独を強烈に感じさせる演技は上手かった。
アビーがオーウェンへ向ける眼差しはどこか不安げで悲しさを秘めていて胸が痛くなってしまう。
父親との別れのシーンも何ともいえない切なさがあった。
(彼女自身は普通の12歳の少女でいたいという思いが常にあったのだと思う。
けれど血液以外のものは体が受け付けず吐き出してしまう。
自分だけが成長できず、世間から隠れるように生活しなきゃいけない日々はどれだけ孤独で寂しいものだったのか。
自分に普通の女の子のように接してくれて、自分の正体を知ってからも好きでいてくれるオーウェンはアビーにとって特別な存在だったに違いない。)
オーウェンを演じていたコディ・スミット=マクフィーも良かった。
「おめめ クリクリねー」(…鑑賞時点が夏なのでメモ書きのネタが古い…)的な顔は可愛らしく、それでいて少年らしい一面もあり、繊細な少年役を上手く演じていたと思う。
(終盤、警官の助けの手を振りきり辛そうにバスルームのドアを閉めるシーンは激しい痛みとして突き刺さってくる。
人としての良心とアビーに対する愛情との葛藤の果てに彼が選んだ道は傍観すること。何て悲しい決断なんだ。)
アビーの父親((らしき人)は、話の流れと物語の途中でちょこっとだけ見れる写真から想像するに、アビーがオーウェンと同じように彼がまだ少年だった頃に出会った男の子だったのでしょうね。
その後、彼はアビーのために手を汚す道を自ら選んで映画の冒頭に至る。
彼が病院で残したメモや、アビーとの別れのシーンから彼が心の底からアビーを大切に思っていることが伺えて切なかった。)
映画の最後は(オーウェンとアビーが一緒に電車に乗って旅へ出たような感じで終わりますが、アビーと一緒に行くという道はオーウェンが自分で決めたことなのでしょう。
傍から見るとほのぼのとしたラストなんだけれど、アビーの父親の写真の件を思うと、これは彼女の策略なのかもしれないとも思えてきてゾッとする寒さを感じる。
オーウェンがアビーの父親(らしき人)と同じ道を辿るかどうかは分からない。
けれど個人的にはオーウェンが殺人鬼になるようにはあまり思えず、彼はただアビーのそばにずっと一緒にいてあげることを選んだのだと思う。)
物語や映画の雰囲気は大変に良かったと思う。
けど1点だけ「これはちょっと」という描写もあったので一応書いておきます。
それは(アビー豹変後の)怪物のアクションCGが若干おかしかったところ。
カメラは引き気味で遠くから映すことで人間離れした動作のスピード感を印象づけているのだと思うのですが、あのスピード感が逆に違和感(+明らかに本物じゃない印象)を感じさせてしまいそこだけはイマイチだった。
それにしても最近の子役の演技の上手さは異常。
↓貼り残しIMG
⇒img1(アビー役クロエ・グレース・モレッツ。最強少女子役として話題の子ですので要チェック!)
⇒img2(オーウェン役コディ・スミット=マクフィー。女の子みたいに可愛い)
映画データ | |
---|---|
題名 | モールス |
製作年/製作国 | 2010年/アメリカ |
ジャンル | ホラー/ドラマ |
監督 | マット・リーヴス |
出演者 | コディ・スミット=マクフィー クロエ・グレース・モレッツ イライアス・コティーズ リチャード・ジェンキンス カーラ・ブオノ サーシャ・バレス ディラン・ケニン クリス・ブラウニング リッチー・コスター ディラン・ミネット、他 |
メモ・特記 | 『ぼくのエリ 200歳の少女』のハリウッド版リメイク作品 原作:ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィスト |
おすすめ度 | ★★★★ |
■Link
+⇒公式HP(Japanese)
+モールス - goo 映画
■TrackBack Center(他の人の感想を見たい人はココで)
+⇒「モールス」レビュー :映画レビュー トラックバックセンター
+⇒2011年映画レビュー記事一覧
←ランキング参加中。よろしかったらクリックお願いします。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます