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今回の記事は『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』(2009年、監督:ジョニー・トー)です。
ジョニー・アリディ主演のスタイリッシュなノワール・アクション。
描かれる内容は任侠映画にも通じるものがあり日本人はきっと好み。
復讐劇でありながら不思議なほど後味が優しかったのも印象的な映画です。
■内容紹介 ※goo映画より
表向きはフランス料理店オーナーだが、実は腕利きの殺し屋だった過去を持つコステロ(ジョニー・アリディ)は、過去に受けた銃弾がもとで、記憶を失いつつあった。
そんな時、マカオで暮らす最愛の娘とその家族が何者かに惨殺されたことを知らされる。
単身マカオへ乗りこんだ彼は、異国の地で出会った3人のヒットマンたちと手を組み、仇を討つことを誓う。
しかし、徐々に復讐を誓った記憶さえも失い始める……。
記憶を失くした男に
復讐の意味はあるのか──


■感想
この映画、率直な感想をまず言うと、かなり良かった映画だと言えます。
あまり話題作とはならず、上映劇場も少ないとは思うのですが、こういう映画の中にも意外なほどの名作が潜んでいることがある。
『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』はまさにそんな隠れた名作と言えるでしょう。
物語はひとりの男の復讐劇が描かれています。
ジャンルはノワール(人間心理の暗黒面を深く掘り下げた犯罪小説。多くは過激な暴力描写が伴う)アクションであり、明るいものでは決してない。
けれど観ていて気分が沈んだりすることはなく、後味は不思議なほど優しいものとなっています。
このジャンルでこの後味は奇跡的とも言っていいかもしれない。
主な登場人物は4人で、復讐を誓う主人公のコステロ、そしてコステロが雇う3人のヒットマンです。
コステロは謎めいた印象があり、どこか陰もあるのですが、優しい人柄が滲み出ていてとっても好印象。
また、3人のヒットマンは優秀だけど堅苦しくもなくけっこう軽い。しかし男気溢れる性格で観ていて気持ちの良い男たちだった。
彼らの性格が任侠の世界に通じるものがあって心地よかった。
こういうテイスト、日本人はきっと好みだと思います。
コステロとヒットマンたちの間に芽生えていく少し奇妙な友情が温かく、殊に良かったです。
映像面もスタイリッシュな映像美に溢れ良かった。
ごっちゃっとした風景の中でこれほどまで美しく見せられる映像はかなりセンスが高い。
流石はフランスが製作に加わっているだけのことはあるのかもしれない。
コステロの復讐の意味合いは前半と後半では異なるものとなっており、物語もなかなか深いなぁと思いました。
特に後半は今までにない感覚を覚えました。
少し切ないんだけど、不思議な爽快感もあり、また虚無感も同時に感じる。
これは映画としてかなりレベルの高い次元まで達しているのではないだろうか。
そしてあのラストだ。
復讐劇だけど後味は悪くなく優しい。
こういう映画、好きだな。
倒置法まで使った凝ったタイトルを付けているのですが、はっきり言ってこの映画には合っていない。
おそらく中盤の1シーンか序盤のシーンを指しているのだと思うのですが、「何故そこ?」と突っ込みたくなるほど意味不明。
これなら原題のVENGEANCE(仇討ち、復讐の意)をそのまま付けた方がよっぽど良かったのではと思わざるをえない。
※今はこのタイトルでも悪くないかなーと思ってます。
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題名 | 冷たい雨に撃て、約束の銃弾を |
製作年/製作国 | 2009年/フランス=香港 |
ジャンル | アクション/犯罪/サスペンス/バイオレンス |
監督 | ジョニー・トー |
出演者 | ジョニー・アリディ シルヴィー・テステュー アンソニー・ウォン ラム・カートン ラム・シュー サイモン・ヤム チョン・シウファイ マギー・シュー フェリックス・ウォン ミシェル・イェ ン・ティンイップ フォン・ツーファン、他 |
メモ・特記 | ![]() |
おすすめ度 | ★★★★☆ |
■Link
+⇒公式HP(Japanese)
+⇒冷たい雨に撃て、約束の銃弾を - goo 映画
+⇒2010年映画レビュー記事一覧


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