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終楽章 Disc-2/倉橋ヨエコ(音楽)

2009-12-05 22:39:39 | 音楽

倉橋ヨエコ 楯


今回の記事は倉橋ヨエコさんのアルバム『終楽章』のDisc-2編です。
ピアノ・ジャズ歌謡の曲調に後ろ向きな歌詞。
けれど廃業を決意した『解体ピアノ』の収録曲を含むDisc-2からは、それまでとは少し違った曲の感情を感じ取れます。

Disc-1編から1週間も空いちゃいましたが、レビューはもちろん続行です。
今回は前置きは無しで、ソク、曲の感想へ移ります。

■楯
トップに貼った動画の曲です。
倉橋ヨエコさんの神曲とも言われる名曲で、僕も倉橋ヨエコさんを知った後、この曲を聴いてすっかりヨエコさんの曲にはまった一人です。
この曲からは倉橋ヨエコさんの曲の中でも屈指の暗い印象を受けます。
無力で何にもできない自分だけど、せめてあなたの楯になりたい。
自分なんてどうなってもいいから、大切な人が傷つかないように。
という意味合いの歌詞はすごく心にグッと来る。
この曲、ずっと恋の曲だと思っていたのですが、実は病床の母のことを想ってヨエコさんが書き上げた曲なんだそうです。
それを思うと何だか泣けてくる。

■卵とじ
明るい感じの曲調で元気が出てくる曲です。
「言えない気持ちを卵とじ
お弁当に詰めまして
行こう行こう行こう ねぇ
行こう行こう また明日」
のサビの部分を聴くと、また明日もがんばってみようかなーという気持ちになります。
最後の「来年もー」という所も好き。

■夏
この曲は切なくて泣けます。
特にPVを見てしまうともう確実に。
「夏 夏 行かないで あなたを連れてくんでしょ
夏 夏 捨てないで 私を引き裂くんでしょ
誰かと消えてくんでしょ」
曲全体に漂うノスタルジックな感じも悲しさを引き上げます。

■ラジオ
疎外感を感じる歌詞がまたすごく寂しい気持ちにさせてくる。
あなたのラジオには歌があるけど
私のラジオには聴こえない
どこかで別れてしまった道はもう戻れないから。

■損と嘘
僕が倉橋ヨエコさんを知った曲です。
Mutomaα(ローカル局の音楽番組)のオープニングにPVが使われていたのを見て、衝撃を受けました。
こんなひねた自虐的な歌(映像も)初めて聴いたから。
損と嘘なんで誰も欲しくはないでしょう。
だけどヨエコさんが歌うと
「損と嘘を私に下さい 全部 私へ」
になるんです。
この強烈な自虐的自己犠牲の歌詞にとにかく衝撃を受けました。
そんなPVはコチラから。

■涙で雪は穴だらけ
この曲、超暗いですよ。
だけど大好きな曲です。もしかしたらヨエコさんの曲の中でも一番好きかもしれない。
聴いているととにかく悲しい気持ちになってきてたまらなくなる。
ちなみにこの曲、バックに鈴の音らしきものが入っていたり、歌詞に“輝く街”とかあるので時期としてはクリスマスの曲なんだと思います。
それなのにこの暗さはすごいでしょ。
「溶けてしまえ 溶けてしまえ
雪も 役立たずの私も
泣いたって 泣いたって 賑わう街よ
みんなの幸せは 私がいないこと
あなたの幸せは 私が消えること」
この悲しい歌詞が好きなんです。

■桜道
涙で雪は穴だらけとは打って変わってこの曲は春の曲。
春といえば暖かいイメージがありますが、同時に別れと旅立ちの季節でもある。
それをよく表した曲だと思います。

■今日も雨
聴く人を選ぶ(と思われる)倉橋ヨエコの曲の中でも、この曲は一般受けしそうな曲です。
なぜそう思うのかというと、たぶん曲調からそう思ったんだと。
けど歌詞はヨエコさんらしく、ひねたところがあります。
雨が降ってるけど飛び出して行こう。
昨日は泣き止んでみたけど、外は雨だった。
でも飛び出していこう。そしたら泣き止んでみよう。そうすれば…。
普通の人ならこの続きは「雨は止む」って書きそうですが、ヨエコさんの場合は「外はもっと雨」になります。
歌詞にもある通り、実際にそんなもんなんですよね。現実は。
それでも挫けやしないでしょう。みんな。

■白の世界
倉橋ヨエコさんと冬がコラボすると超絶暗い歌が出来上がります。
この曲も暗いですよ。とにかく。
コチラからピアノ弾き語り版の映像が見れます。
着物で弾き語るヨエコさん、かわいいですよ。
CD収録版は雪の結晶が砕けるような、透き通ったSEが入っていてより冬らしい感じになっています。

■蛙の歌
演劇でも始まるようなイントロに聴き入ります。
歌詞の世界は、井の中の蛙がもとなのでしょうが、ヨエコさんに掛かるとここまで自虐的な世界に…。
「どうぞ私の背中を踏み台にして
遠慮なく助走付けて飛び上がってよ
見上げる外の世界 あなたが楽になるなら
私踏ん張る 膝がめり込んでも踏ん張る」
独特な曲調がまた自己犠牲的な印象を強めてる。

■鳴らないピアノ
廃業アルバム『解体ピアノ』の1曲目。
『解体ピアノ』の曲は全体に今までの曲とはどこか違う雰囲気があり、どこかふっ切れたのかなーという印象を受けます。
「鳴らないピアノ」はその中でも廃業を意識して書いたであろう箇所がはっきりわかります。
曲調はJ-POPな感じ。

■依存症~レッツゴー!ハイヒール~
倉橋ヨエコさんが書く懲りない一途でタフな女の一面が強烈に歌詞に出てます。
曲調はノリが良く、ラップっぽいアレンジも。
「レッツゴー!ハイヒール
乗り換えだっていくつでも ガタンゴトンガタンゴトン
レッツゴー!ハイヒール
ぬかるみだってざぶざぶと あなたに会うために」
強烈だけど何だか好きだな、こういうの。

■処方箋
この曲も一途な女性のイメージを強く受けます。
『解体ピアノ』には収録されていない未発表曲のひとつ。
ただひとりの人を愛していたい。独占されたいという気持ちが歌詞に表れてます。

■輪舞曲
『解体ピアノ』の最後に収録されていた曲で、倉橋ヨエコさんが感謝の感情を込めて書いた曲。
決して明るい曲ではないけれど、確かにこの曲からは他の曲にはない感情を感じ取れるような気がする。
「甘いよ しょっぱいよ 甘いよ しょっぱいよ
シュークリーム食べながら ぽろぽろ泣いて
甘いよ しょっぱいよ
人生これの繰り返し
だからいいんじゃないかって 思います」
何だかすごい感情の爆発を感じます。
最後にこんな素敵な曲を書けるとは、倉橋ヨエコはすごいと思う。

■ジュエリー
これも『解体ピアノ』には収録されていない未発表曲。
倉橋ヨエコ+冬のコラボ曲ですが、この曲からはそんなに暗い印象は受けません。
明るい曲でもないし、ハッピーエンドでもない歌詞だけど、「輪舞曲」を超えるヨエコさんの感謝の気持ちを感じました。
「自業自得の雨が降る
冷たくて冷たくて ざまあみろ
忘れないよ 忘れないよ
あなたと過ごしたくだらない日々を
私の 宝物」

倉橋ヨエコさんは2008年7月をもって、歌手を廃業しています。
この『終楽章』はそんな彼女の集大成的な最後のアルバム。
ぜひ一度は聴いていただきたい素敵なアルバムです。


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2 コメント

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はじめまして! (waku)
2009-12-06 01:16:19
ヨエコさんをたどって
こちらのblogにまいりましたー!

この度、ヨエコファンによるヨエコファンのためのイベント「喫茶ボッサvol.1」を、下北沢モナレコードにて行います!

廃業後に知った方にも楽しんでいただくべく
ヨエコ一色な会場にて、彼女が愛したフードやドリンクを提供させていただくカフェ形式でお送りしますので、ぜひお茶でも飲みがてら遊びにきていただければと思います♪

詳細は、イベントブログにて!!
http://kissabossa.jugem.jp/

ではでは、失礼いたしました。
返信する
wakuさんへ (ichi-ka)
2009-12-06 14:58:24
コメントありがとうございます。
ヨエコさんって廃業後もやっぱりファンから愛されているんですね。
こんなイベントが開催されるとは。まったりできそうです。
12/30は僕はもう実家に帰ってる予定なので行けないです。
でもみんなで楽しめるイベントになることを願ってます。
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