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終楽章 Disc-1/倉橋ヨエコ(音楽)

2009-11-28 16:02:30 | 音楽

倉橋ヨエコ 人間辞めても


今回の記事は倉橋ヨエコさんのアルバム『終楽章』です。
Disc1,2の2枚組みアルバム。今回はそのDisc1編です。
ピアノ・ジャズ歌謡の曲調はどこかレトロな感じで懐かしく好きです。
歌詞も好き。

倉橋ヨエコさんをご存知でしょうか?
知らない人のために簡単に説明しておくと、ピアノで曲を歌う女性アーティストさんです。
“昭和の捨て犬”“平成のシャバダ女”の異名を持つ異端のアーティストで、その歌詞は初めて聴く人は驚くんじゃないかというぐらい暗くて自虐的です。
(今回のレビューでは対象外ですけど、『解体ピアノ』収録の「マネキン人形」という曲は僕が生涯に聴くであろう曲の中でも屈指の暗さを誇る曲になると思う)
けれどその歌詞はきっと誰もが抱えてるであろう寂しさや悲しさ、自己嫌悪、弱さ、孤独感といった暗い感情を素直に歌っていてとても心に響きます。
不思議と元気がもらえるんです。
毎日生きていると楽しいこともあるけれど、悲しいことや嫌なこともたくさんあるでしょう。
理由もなく悲しくなってしまうなんてこともある。
そんな時に僕の場合は明るい歌より悲しい歌を聴きたくなる。
悲しいときに悲しい歌を聴いたらより悲しい気持ちが増してくるかもしれない。
けれど、日々の辛さを代弁してくれているような倉橋ヨエコさんの歌を聴くと心が幾分スッと軽くなるような気がします。

音楽を聴くだけだったので、倉橋ヨエコさんってどんな人かは知らなかったのですが、ある音楽番組のインタビューで見たヨエコさんは、綺麗でほんわかした感じの女性でした。
これは曲のイメージからは想像もつかない。

倉橋ヨエコさんは、2008年7月を持ってアーティスト活動を引退しています。
『終楽章』は彼女の集大成的なベストアルバムなので、もし興味を持たれた方がいたら、このアルバムから聴いてみるのも良いと思う。
実際に収録曲はどれもとても良いので。

それでは、終楽章 Disc-1編の感想を。

■感謝的生活
歌詞がいいな。ピアノの旋律も良い。
毎日生きていて、感謝の気持ちは忘れちゃいけない。
大事なものはお金と…。
必要なものは時間と…。
‘…’に入るのはどちらも「ありがとう」という気持ち。

■聴こえたから
倉橋ヨエコさんにしては珍しいかなり前向きな曲。
すごい好きだな、この曲。
「ハッピーはやって来る きっとやって来る
頑張った人には頑張っただけ
信じたっていいと思う 私思う」
日々頑張ってみようかなという勇気をもらえます。

■過保護
中毒的な曲です。
この自己犠牲的な歌もやっぱり好きです。
とっても共感できます。
一日50時間欲しいもん。
「あの子の代わりに私を泣かせてよ
神様 神様 これでいい?」

■ままごと
この曲もヨエコさんの曲にしてはかなり明るい。
歌詞からは可愛らしい印象を受けます。

「明日から私が小さなママ 小さなママになったげる
食事屋さん 洗濯屋さん 代金はいりません
野菜ジュースの用意 Yシャツの用意
私を選んでくれて どうもありがとう」

けどタイトルが「ままごと」であることを深読みすると、切ない曲にも思えてきます。
大好きな曲です。

■盗られ系
この曲も中毒的。
歌詞暗い。でも好きです、こういう曲。
トップのPVが気に入った人はこの曲でも同種のPVが見れます。コチラから。
作った人はもう天才としか思えない。

■ラブレター
下手なラブソングよりこの曲の方がずっと心にグッとくる。
どこまでも純粋で真っ直ぐで真に迫っていると思う。

■夜な夜な夜な
ピアノの旋律が聞かせる名曲。
サビに入る前の「傷つけるより傷つく方がいいって弱虫かな」の所のメロディーすごい好き。
サビの歌詞もすごい。
「夜は自己嫌悪で忙しい 夜は自己嫌悪で忙しいんだ
反省文 反省文 反省文 提出します」
こんな歌詞、ヨエコさん以外書けん。
(非公式ですがPV見れます。コチラから)

■梅雨色小唄
これまでの曲とはだいぶ印象が変わって、ピアノメインの聴かせるアレンジがされてます。
歌詞の暗さはDisc1では1、2を争う暗さを誇ります。
「あなたの一言で生きれる人もいて
あなたの一言で消えてく人もいる
悪くないんだよ 悪くないんだよって言って」

■人間辞めても
今回のトップの動画に使った曲。
初めてPV見たんですけど、すごいなー、これ。
ハロウィン辺りに聴くとピッタリな感じがします。
中毒的な曲で、好き。

■恋の大捜査
ノリが良い曲です。
平成のシャバダ女を地でいく曲のような気がして耳に残る。
ヤサグレた感じがすごい。

■流星
この曲も良い!
ノリが良く聴かせる曲でかつ歌詞も良くて好き。
最初にDisc1を聴いた時はこの曲が一番好きになった。

■迷い猫
すごく頭に残ります、この曲のメロディー。
この寂しい感じの歌詞が曲調も相まってもうたまらなくなるレベル。
「遊んでよ 遊んでよ 優しいあなた
一人ぼっち 猫も 私も」
猫がすごく良いアクセントになってる。

■東京
この曲もまたレトロな感じがすごいする。
メロディーから昭和の匂いを感じます。

■白い旗
Disc1のトップ・オブ・暗い曲、です。
とにかく暗いぞ、歌詞も曲調も。
けど、悲しい絵本を見ているような不思議な気持ちにしてくれるこの曲もやっぱり好きです。
「私には明日なんてもうないのでしょう
私には武器なんてもうないのでしょう
空が近い屋根によじ登り 今日も歌う」

■はないちもんめ
子供の遊び(童謡?)の「はないちもんめ」の倉橋ヨエコ版。
意外すぎるアレンジになってます。
はないちもんめの掛け言葉って何だかすごいですよね。よくよく考えてみると。
「勝って嬉しい はないちもんめ
負けて悔しい はないちもんめ
あの子が欲しい あの子が欲しい あの子が欲しい…」

想像以上に長くなった。
やっぱりDisc1と2で記事を分けるのは正解だったかな。
曲の深さも歌詞の自虐っぷりも爆発的に増してゆく、倉橋ヨエコさんの音楽活動の後半戦。
『終楽章』Disc-2編へ続きます。

Disc-2編へ


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