今回の記事は『タクシードライバー』(1976年、監督:マーティン・スコセッシ)です。
アメリカン・ニューシネマの最後の傑作と言われる名作で、鬼才マーティン・スコセッシ監督の出世作でもある映画です。
しかし何と言っても若き日のロバート・デ・ニーロが演じる強烈な主人公トラヴィスこそがこの映画最大の見所なのかもしれない。
デ・ニーロってホントに若い頃から超演技派の名優だったんですねー。
第2回午前十時の映画祭上映作品。
■内容紹介 ※午前十時の映画祭ウェブサイトより
ニューヨークの夜の街を、縄張りを決めずに流すタクシーがいた。
ドライバーはトラヴィス(R・デ・ニーロ)。
ある日トラヴィスは、大統領候補の選挙事務所に勤める女性ベッツィに目をつけ、デートに誘い出す。
ところがトラヴィスは彼女をポルノ映画館に連れて行き、絶交されてしまう。
鬱屈した精神状態の彼は、腐ったこの世の中を掃除するため、完全武装での特訓を開始する。
そんなある日、13歳の売春婦アイリス(J・フォスター)がトラヴィスの車に逃げ込んできた。
ダウンタウンのざわめき…街の女
光のカクテル…濡れたアスファルト けだるいジャズの吐息…
ニューヨークの夜が、ひそやかな何かをはらんで いま、明けてゆく…
■感想
この映画は、元海兵隊員のタクシードライバーの青年を主人公に現代都市に潜む狂気と混乱を描き出した傑作として名高い作品です。
また作品としての評価の他にも、アメリカン・ニューシネマ最後の代表作、鬼才マーティン・スコセッシ監督の出世作、女優ジョディ・フォスターの転機となった作品(当時13歳だったフォスターが売春婦役で出演)、などいろんな付加価値がこの映画には付いている。
注目すべき点は実にたくさんある。
しかしやっぱり何と言ってもこの映画の最大の注目点にして見どころは、主人公トラヴィスを演じている若きロバート・デ・ニーロの演技そのものでしょう。
孤独と狂気をその瞳の奥に堪えた青年役は鮮烈な印象として残ります。
デ・ニーロのモヒカン姿も強烈なインパクト!
鏡に向かって「You talkin' to me?」(俺に向かって話しているんだろう?)と自らに語りかけるシーンの、自分が汚れた社会に鉄槌を与えるのだという自己陶酔気味に狂気を孕んでイッちゃっている様子は、この上ないほどの強烈なインパクトを観客に与えます。
このセリフは2005年映画の名セリフベスト100で10位に選出されたほどであり、映画史に残る名シーンだとも言えるのかもしれない。デ・ニーロ、凄い。
映画の物語は、現代を生きる上で誰もが少なからず抱えているであろう孤独な内面を描いた名作だと思う。
誰だって日々を生きて行く中で正体不明の寂しさに囚われ孤独感を募らせたり、上手くいかない毎日に鬱屈してしまい、今とは全く別のことをやりたい、別の所へ行きたいなんて迷い思い悩むことはあることだろう。
そんな苦しい日々の中で「今の自分は何をやっているのだろう…」と自虐的に思いつめるのではなく、「今は力を溜めている時期なのだ」と思うようにして何とか自身を再び奮い立たせる英気を溜めるようにしてほしい。
ただしそんな日々で溜まったエネルギーを今作のトラヴィスのように危険な方向へと向かわせてはいけない。
この映画は、当時13歳だったジョディ・フォスターが売春婦役として出演しているということでも問題作として騒がれた作品です。
ジョディ・フォスターはこの役でアカデミー賞助演女優賞にノミネートされ、本格的に女優としての第一歩を踏み出した作品なのだと自身で語っています。ぜひ彼女の演技にも注目してみてください。
女優賞を数多く獲得し今では名実ともにトップ女優となったフォスターの子供の頃の演技は、13歳ながら堂々としていてさすが。
ちなみに彼女が演じるアイリス、すっごく可愛い。
ここまで褒めまくりましたが、この映画のストーリーが良かったかというと、そうでもなく、主人公に共感できたかというと、これもまたそうでもない。
トラヴィスの行動は一部理解に苦しむ。彼がアイリスを救うためにとった行動と大統領候補襲撃がどうしても繋がらず、彼にとっては正義感云々よりもとにかくデカイことをやりたいという衝動で動いたという感じがどうにも強くてあまり共感できず好きにもなれない。
また映画全体の雰囲気がどうにも病理的に鬱屈し過ぎていてあまりに暗い。これと比べると『真夜中のカーボーイ』の暗さが爽やかに感じるぐらいです。
ただしデ・ニーロの演技は観なきゃ損と言っていいほど凄く、『タクシードライバー』は名作か?と聞かれたら、確実に名作だと答える作品です。
↓予告編(字幕なし版。HDで観たい方はプレーヤーの画質上げて下さい)
(★は最高で5つです。★:1pt, ☆:0.5pt)
■Link
+⇒公式HP(Japanese)※午前十時の映画祭特設ページです。
+⇒タクシードライバー - goo 映画
+⇒第2回午前十時の映画祭レビュー記事一覧
←ランキング参加中。よろしかったらクリックお願いします。
アメリカン・ニューシネマの最後の傑作と言われる名作で、鬼才マーティン・スコセッシ監督の出世作でもある映画です。
しかし何と言っても若き日のロバート・デ・ニーロが演じる強烈な主人公トラヴィスこそがこの映画最大の見所なのかもしれない。
デ・ニーロってホントに若い頃から超演技派の名優だったんですねー。
第2回午前十時の映画祭上映作品。
■内容紹介 ※午前十時の映画祭ウェブサイトより
ニューヨークの夜の街を、縄張りを決めずに流すタクシーがいた。
ドライバーはトラヴィス(R・デ・ニーロ)。
ある日トラヴィスは、大統領候補の選挙事務所に勤める女性ベッツィに目をつけ、デートに誘い出す。
ところがトラヴィスは彼女をポルノ映画館に連れて行き、絶交されてしまう。
鬱屈した精神状態の彼は、腐ったこの世の中を掃除するため、完全武装での特訓を開始する。
そんなある日、13歳の売春婦アイリス(J・フォスター)がトラヴィスの車に逃げ込んできた。
ダウンタウンのざわめき…街の女
光のカクテル…濡れたアスファルト けだるいジャズの吐息…
ニューヨークの夜が、ひそやかな何かをはらんで いま、明けてゆく…
■感想
この映画は、元海兵隊員のタクシードライバーの青年を主人公に現代都市に潜む狂気と混乱を描き出した傑作として名高い作品です。
また作品としての評価の他にも、アメリカン・ニューシネマ最後の代表作、鬼才マーティン・スコセッシ監督の出世作、女優ジョディ・フォスターの転機となった作品(当時13歳だったフォスターが売春婦役で出演)、などいろんな付加価値がこの映画には付いている。
注目すべき点は実にたくさんある。
しかしやっぱり何と言ってもこの映画の最大の注目点にして見どころは、主人公トラヴィスを演じている若きロバート・デ・ニーロの演技そのものでしょう。
孤独と狂気をその瞳の奥に堪えた青年役は鮮烈な印象として残ります。
デ・ニーロのモヒカン姿も強烈なインパクト!
鏡に向かって「You talkin' to me?」(俺に向かって話しているんだろう?)と自らに語りかけるシーンの、自分が汚れた社会に鉄槌を与えるのだという自己陶酔気味に狂気を孕んでイッちゃっている様子は、この上ないほどの強烈なインパクトを観客に与えます。
このセリフは2005年映画の名セリフベスト100で10位に選出されたほどであり、映画史に残る名シーンだとも言えるのかもしれない。デ・ニーロ、凄い。
映画の物語は、現代を生きる上で誰もが少なからず抱えているであろう孤独な内面を描いた名作だと思う。
誰だって日々を生きて行く中で正体不明の寂しさに囚われ孤独感を募らせたり、上手くいかない毎日に鬱屈してしまい、今とは全く別のことをやりたい、別の所へ行きたいなんて迷い思い悩むことはあることだろう。
そんな苦しい日々の中で「今の自分は何をやっているのだろう…」と自虐的に思いつめるのではなく、「今は力を溜めている時期なのだ」と思うようにして何とか自身を再び奮い立たせる英気を溜めるようにしてほしい。
ただしそんな日々で溜まったエネルギーを今作のトラヴィスのように危険な方向へと向かわせてはいけない。
この映画は、当時13歳だったジョディ・フォスターが売春婦役として出演しているということでも問題作として騒がれた作品です。
ジョディ・フォスターはこの役でアカデミー賞助演女優賞にノミネートされ、本格的に女優としての第一歩を踏み出した作品なのだと自身で語っています。ぜひ彼女の演技にも注目してみてください。
女優賞を数多く獲得し今では名実ともにトップ女優となったフォスターの子供の頃の演技は、13歳ながら堂々としていてさすが。
ちなみに彼女が演じるアイリス、すっごく可愛い。
ここまで褒めまくりましたが、この映画のストーリーが良かったかというと、そうでもなく、主人公に共感できたかというと、これもまたそうでもない。
トラヴィスの行動は一部理解に苦しむ。彼がアイリスを救うためにとった行動と大統領候補襲撃がどうしても繋がらず、彼にとっては正義感云々よりもとにかくデカイことをやりたいという衝動で動いたという感じがどうにも強くてあまり共感できず好きにもなれない。
また映画全体の雰囲気がどうにも病理的に鬱屈し過ぎていてあまりに暗い。これと比べると『真夜中のカーボーイ』の暗さが爽やかに感じるぐらいです。
ただしデ・ニーロの演技は観なきゃ損と言っていいほど凄く、『タクシードライバー』は名作か?と聞かれたら、確実に名作だと答える作品です。
↓予告編(字幕なし版。HDで観たい方はプレーヤーの画質上げて下さい)
映画データ | |
---|---|
題名 | タクシードライバー |
製作年/製作国 | 1976年/アメリカ |
ジャンル | ドラマ/サスペンス |
監督 | マーティン・スコセッシ |
出演者 | ロバート・デ・ニーロ シビル・シェパード ピーター・ボイル ジョディ・フォスター アルバート・ブルックス ハーヴェイ・カイテル ジョー・スピネル マーティン・スコセッシ ダイアン・アボット ヴィック・アルゴ レオナルド・ハリス、他 |
メモ・特記 | PG12指定 第2回午前十時の映画祭上映作品 カンヌ国際映画祭:パルム・ドール(最高賞)受賞 全米批評家協会賞:主演男優賞(R・デ・ニーロ)・助演女優賞(J・フォスター)・監督賞受賞 ブルーリボン賞:外国作品賞受賞 |
おすすめ度 | ★★★★ |
■Link
+⇒公式HP(Japanese)※午前十時の映画祭特設ページです。
+⇒タクシードライバー - goo 映画
+⇒第2回午前十時の映画祭レビュー記事一覧
←ランキング参加中。よろしかったらクリックお願いします。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます