goo blog サービス終了のお知らせ 

氷流日記

氷(筆者)と流さんの奇妙な徒然記

釜芸 天文学 ”月見” Vol.5

2013-11-06 07:06:43 | 釜ヶ崎人情
釜芸 天文学 ”月見” Vol.4 からの続き



参加者が口々に話す。
ここは黙ってじっとして聞いているところではない。
ちょうど小学校低学年のようなにぎやかさ。
無論、立ってうろうろする人はいないが、
そういう人がいても誰も気にすることがないし、
襟を正して聞け!というものもない。
ゆるいゆるい会。
しかし、みんなからは専門用語や裏づけした数字がバンバン出る。
だから、講師の人は油断していたら足をすくわれる。
みんな好奇心の塊。
そして、本を読むのが好きな人が多い。
講座の前にきちんと調べて、データを頭に入れて
そしてより深く内容を知るようにしている。
もしくは若い頃、大学や本で勉強した専門知識を装備して講座に参加する。
だから、あやふやな態度で前に立つことが出来ない。
「東大と京大の対決はアポロが帰ってきたときに決着しました。
そう。万博に展示されていた月の石。
その解析をすると月にある物質とは違うものであった。
つまり、隕石。
月にぶつかったクレーターが出来、溶けて飛び散る。
だから、みかんの白いヘタみたいなようにいっぱい線が出来て、
溶けたところはツルっとしている。
では地球に隕石は落ちないのか?
月と同じように落ちてます。
大気圏で蒸発したりして全部が落ちてこない。
7000年前、メキシコに隕石が落ちて、メキシコ湾の形が出来る。
そのときの震度はマグニチュード11。
想像できないとてつもない大きさ。
300mの津波が世界中、何往復もしました。
2億年前にも隕石が落ちて恐竜が滅亡しました。
そして恐竜じゃない爬虫類が生き残り、
その子孫が我々になっている。」







ん?恐竜はそもそも爬虫類じゃないし、どちらかと言えば鳥類。
恐竜は変温動物じゃなくて、恒温動物。
だから、あきらかに爬虫類じゃない。
それに恐竜の骨も鳥類と同じように小さな穴が開いて、軽い。
軽量鉄骨みたいなもの。
見た目が爬虫類なので仕方ないが、
まあ恐竜は恐竜という分類にしていたほうがいいか。
それに恐竜の時代、我々人類の祖先の形は
爬虫類ではなくて、ねずみのような哺乳類。
捕食される側であったので夜行性で隠れて暮らしていた。
「では中秋の名月。暦の話をしたいと思います。」



釜芸 天文学 ”月見” Vol.6 からの続き








釜芸 天文学 ”月見” Vol.4

2013-11-05 07:14:17 | 釜ヶ崎人情
釜芸 天文学 ”月見” Vol.3 からの続き



「月の成り立ちを調べるために月に地震計を置きました。
つきにも地震があって、そのゆれ方を調べました。
それはスイカを叩いて中身を調べるようなもの。
このコンコンと叩くと音で中身の詰まり具合がわかる。
その音はどうか?
中身が詰まっていないような音。
じゃ中心に空洞があるのかと言えばそれはない。
そうするとふわふわのスポンジみたいなものが宇宙に浮いていると考えればよい。
恒星や惑星の成り立ちを考えるならば、
ガス状の星を除き、ふわふわのものが形成されるはずがない。
普通は中心が詰まっていて密度がある。
いろいろと考えてある仮説が今は主流になっています。
日本人が考えました。
46億年前(45億5000年前)、火星くらいの星が地球にぶつかりました。
ぶつかったときにその表面をえぐり、宇宙空間に飛び出しました。
その軽いものだけ集まって月が出来た。
絵空事のように思えるけれども、
コンピューターで解析すると一ヶ月で出来てしまう。









そのときに地球は傾いた。
それまでは地軸は太陽に対して垂直に回っていた。
そのときの傾きは約21度。
今は23.4度。徐々に傾いている。
しかし、そのときのおかげで四季が生まれました。」
その衝突のおかげで生命が誕生する土台が出来た。
四季の誕生と月。
夜になっても月の明かりで方向性を保つことが出来、
また月の満ち欠けのおかげで生命の周期が出来る。
女性にみられる月経などもその一つである。
「月にはクレーターいうものがあります。
そのクレーターの仮説。2つに分かれました。
隕石説と火山説。
隕石は東大、火山は京大。
日本を大きく二分しました。
さて、皆さん、どっちでしょう?」



釜芸 天文学 ”月見” Vol.5 へ続く







釜芸 天文学 ”月見” Vol.3

2013-11-04 07:16:16 | 釜ヶ崎人情
釜芸 天文学 ”月見” Vol.2 からの続き



「地球の自転は500m/s。飛行機で約300m/s。
音速で340m/s。戦闘機でもこれくらいだから、地球の自転はとっても早い。
じゃ太陽の周りを回転する公転はどのくらいの速さか?
どれくらいと思います?
答えは30km/s。
めっちゃ早いです。
京都まで2秒で行ける。(大阪から)
景色が見えないから酔うことがないけど、
見えれば目がまわって酔う。」
そうか、どんだけ早くても景色が見えなければ目がまわらないのか。
「あることはないけれども地球が急ブレーキすると人間みんな宇宙に飛んでしまう。
では、もう一つの回転。
銀河系。太陽系全体が銀河系の中心に回っている速度。
これは200km/s。
早いですね。1秒間で200kmも進んじゃう。
そうやって銀河系を2億年かけて1周する。」
長っ。宇宙の始まりは137億年前とされているが、
それでも7周していなんて。
太陽系よりもっと外側のものはもっと時間がかかるね。
まだ1周もできていないところがあったりするのか。
時間の単位が大きすぎて想像できない。
そういう気持ちに浸っていると現実の世界に引き戻される。










「ソ連への嫉妬からはじめた有人月面調査が今はもうやっていない。
なぜか。それはお金がかかりすぎるから。
人間が宇宙に行くと何が必要ですか?」
口々に空気、水など言葉が飛び交う。
「そう。そういうものを維持することはものすごくお金がかかるんです。
この前、帰ってきたハヤブサ。
あらば人間のいない探査機だから、空気が漏れないように密閉する必要もないし、
空気や水といった余分なものをつまなくてもいい。
だから、ソ連もアメリカも無人に切り替わりました。
最近、中国やインドが月面に人を送ろうとしています。
同じような理由で国の威信のために。
日本はどうかというと。お金がないのでそんな余裕はありません。
無人探査機の”かぐや”で月の様子を写真で撮りました。
そして、月の地図が、精密な月の地図が出来上がりました。
今までで最高のものです。
それは1年半かけてNHKのハイビジョンのカメラで撮り続けました。
そして、りっぱな地図が出来上がりました。
では皆さん。その月ですがどうやって生まれたか、わかる人いますか?」




釜芸 天文学 ”月見” Vol.4 へ続く







釜芸 天文学 ”月見” Vol.2

2013-11-02 07:04:47 | 釜ヶ崎人情
釜芸 天文学 ”月見” Vol.1 からの続き



尾久土さんが話し始める。
「みんなは月面旅行って行きたいですか?
月面旅行ありましたね。アームストロング。
では皆さんはなぜ月に行ったかわかりますか?」
みんなが口々に答える。
どれも満足いく解答が出ない。
「それは国の威信、プライドです。
ちょうど冷戦時代でアメリカとソ連は競争しあっていました。
そのソ連。
1959年にルナというロケットで月に行きました。
ドーンていう突き刺さるという感じで。
着陸という上品なものではないです。
でも月に行った。月に行った事実は残った。
そして、毎年月にロケットを打ち上げていった。
そのうち月の裏側に行って写真を撮ってきた。
月というのは地球からは裏側は見えないんですね。
それはなぜか?
月の一方側しか見えないような速度で自転しているからです。
だから、望遠鏡で覗いても月の裏側は絶対に見えない。
そういうものを見せ付けられて火がつきました。
アメリカの威信にかけてやらねばと。
そして、1960年にケネディー大統領が就任すると
月に有人着陸させると宣言した。
まだ月にもロケットが到達していないのに。
そのときは大風呂敷だったんですね。
早速1961年からアポロ計画が開始され、月面着陸に向けて研究をする。
そして1969年7月16日になんと本当に行っちゃったんです。
そして、何日間かかったと思います?







3日。3日間かかりました。
どれくらいのスピードで宇宙空間を飛んでいたか?
わかる人?」と言って手を上げる。
あげているのは尾久土さんだけ。
まったく想像も出来ない。
「10から11km/s。どれくらい早いかと言うと、新幹線は約100m/s。
それから考えるとぜんぜん違いますね。
まず、7.2km/sの速度になると地球から落ちない。
だから1周出来る。
もし、プロ野球選手でものすごいパワーヒッターが誕生して、
初速7.2km/sの打球を打ったとすると、
ぐっとまわって90分後に球状に戻ってきます。
地球を一周できるか、宇宙に飛び出すかは初速度で決まります。
宇宙に飛び出す初速度は11.2km/sです。」
頭の中でどんどん妄想が膨らみ、楽しくなってくる。
出来はしないが、ようは初速度11.2km/sを越えるスピードを出せば
どんなものでも宇宙に行けるということである。
夢のまた夢であるが、宇宙がすぐ隣になるように感じた。




釜芸 天文学 ”月見” Vol.3 へ続く




釜芸 天文学 ”月見” Vol.1

2013-11-01 06:56:34 | 釜ヶ崎人情
私は小さい頃から星が大好きである。
星といっても星座とかではなく、
惑星とか銀河とかそういうもので
星と星をつなげて星座になるというのはそれほど興味はない。
小学校のときは惑星の本をぼろぼろになるまで見ていた。
その頃カールセーガンが人気を呼び、
たくさんの本が書店に並んだ。
今では無くなったが、分厚いカールセーガンの本、上下2冊と
コスモスという写真集を買った。
写真集は4冊あり、そこまでのお小遣いは無いので第4部だけを買う。
それを何度も見て、宇宙を研究する科学者になりたいと思っていた。
だから、大学も物理学を専攻した。
専攻したのはいいが、思っていたような勉強はしない。
宇宙の勉強はまったくしない。
エントロピーがどうの、シュレディンガーがどうのとか、
ミクロの世界の話ばかりで退屈してしまった。
勉強に熱が入らない。
そうすると偏微分なんて難しい計算もやらなくなり、
授業はちんぷんかんぷん。
2回生はたくさん単位を落とすことになった。
電気力学、分子間力、古典力学などがシュレディンガー方程式から
証明される授業を受けたときは感動した。
美しいと思った。
今までで目で見たどんなものよりも美しいと思った。
それは今も変わらない。
そんな私であるが、釜芸で天文学という講座を見つけると
いてもたってもいられなくなった。
必ず行く。
ちょうど、お客さんのところに行く約束があったので
大阪市内に行ける。







早く用件を済ませて、ちょっと遅れて到着する。
結構な人の入りようである。
私はissaさんの後ろに座り、挨拶する。
すべての講座を制覇するつもりだったのだが、
一日だけ用事があって難しい。
ちょっと残念そうだ。
講師の先生がお辞儀をして自己紹介を始める。
尾久土先生。和歌山大学の教授。
しょっぱなの話はパソコンを忘れたこと。
この日のために用意したプロジェクターは必要なくなった。
それから車の運転で違和感を感じたそうだ。
老眼のメガネで運転していた。
どちらも戻ってとりに帰ることが出来ず、
そのまま釜ヶ崎に到着する。
無論、それからは老眼をはずしての運転である。
シナトラの”fly to the moon”を皆さんにお聞かせできないのが悔しいと話してくれた。
優しい人だなと思った。
シナトラの歌にのせて月の話をしたかったみたいだ。
するとissaさんがfly to the moon ってどんなんやったかなとしゃべりだし、
これやったら知っていると違う曲の名前を言って歌いだす。
他の釜のおっちゃんがアドバイスをする。
これか?と言ってまた歌いだす。
ちゃうちゃう。また別の人がアドバイス。
また歌う。
収拾がつかず、ココルームの裕子さんのストップがかかり、
仕方なく先生が場を沈めるために歌いだす。
fiy to the moon ~♪
ああ、わかった、わかった。
issaさんが納得をする。



釜芸 天文学 ”月見” Vol.2 へ続く