天愛元年

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新元号『天愛』元年にスタート

富沢摩崖仏群

2023-05-04 10:30:07 | 日記

 宮城県柴田町富沢の岩崎山の岩肌に阿弥陀如来坐像が彫り出されている。側面に嘉元2年(1306年)や恵一坊藤五良などの刻字があり、籐五良が父の供養のため、その年に彫ったと伝えられている。途方も無い信心であり、遠路を厭わずお詣りした。
 周囲に虚空蔵菩薩像4体も彫られていると記されていたけれど見付からなかったため、ウロウロしていると、付近に珍しい植物がいろいろ生えており、お陰で牧野富太郎博士も悔しがりそうな新種の植物を発見した。
 すると初老の男性が現れ、磨崖仏群のほか、近隣のことをいろいろ說明、案内してくれた。植物にはかなり詳しく、これは榊だ、イロハモミジだ、タラだ、マムシソウだなどと教えてくれた。しかし、私が一番興味があった三つ葉の真ん中に舌が出ているのは、山野草だとしか答えられなかった。あとでグーグル・レンズで調べると、トリリウム・フレクシプスだとするが、似ても似つかない。やはり日本古来種の新発見に違いなかった。
 その人と出合えて幸運だったのは、所在の分からなかった虚空蔵菩薩の在り処を教えてくれたことだった。阿弥陀如来の裏手をぐるっと回った民家の間の細道を伝って上った崖の上にひっそり掘られていた。場所が分からないのでほとんど誰も来ないけれど、たまに来ると滑って転んで大怪我したりすることが何回もあったので、積極的に案内していないそうである。私の守り本尊がいつも肌身離さない虚空蔵さんなので有り難かった。
 その人の案内癖はとどまるところを知らなかった。近くの能化寺の大仏さんは有り難いよと連れて行き、写真撮っておいた方が良いよ、というのが口癖だった。住み着いた大勢の猫まで撮らされた。向こうに韓国どぶろく醸造所があると、付いていったら冬場の商品のため休業中だった。土産に買って帰りたかったのに休みですかとガッカリすると、「そうよ」と言うのも口癖だった。しかも本人は体調の加減で酒を一滴も飲まないという。次は貝塚。ここら辺りは数百年前は海だったと説明してくれた。山向かいの鹿島神社に參ろうという。いや、来る途中、茨城の鹿島神宮に寄ってきましたと言ってもお構いなしだった。自分で参拝したあと、もう一度賽銭を入れ、あんたの分も出したから拝んでおいた方が良いよと勧めてくれ、いい人だった。ずうっと自転車で先導して案内してくれた。いろいろ世間話、身内話も交わした。最後はホテルまでの帰り道を途中まで案内してくれた。別れづらくなり、写真を撮らせてもらった。狸か、狐のような方だった。何が遭遇させてくれたのか、今回の紋次郎旅のハイライトになりそうである。

みちのくの
岩崎山に
彫り出さる
阿弥陀如来ぞ
富さはにせむ























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