ユーラシアの風~2010年・自転車による単独ユーラシア大陸横断記

2010年・自転車による単独ユーラシア大陸横断記

チーム肖加、中国行(4)

2010年07月04日 | 中国(2)呼市→西寧
昨日肖が言い出した今日の予定は、午後3時出発、20キロ走った集落で
ネットカフェに行く!というもの。

だいたいなんでそんなにのんびり出発なのかよく分からないが、
それよりもっと分からないのが、もう2時半なのに一向に片付かない
彼の荷物と計画性。



今日の青海湖は、昨日とうって変わって白い湖。
薄雲が空を覆う。風も冷たい。

3時半を回った頃、ようやく荷物整理の区切りがついたようだ。


肖は、前にも触れたとおり、お金がない。
青海湖に来て、ついに底をついたようだ。
金策を練っているが、とりあえず年上の知人に当たってみるようだ。
湖北の町で待ち合わせをするとか。
こちらも、だいぶ日程が押してきているので、先を急ぐことにした。

いよいよ、チーム解散である。


出発前に、とある儀式をすることになっていた。
お互い手紙を書き、それを二人で空けたビール瓶に詰めて
埋めるというもの。
「10年後の今日、双方の家族を連れて、ここを掘り返そう!」
そんなこと言われて、「分からない」ならともかく、
「来れない」とは言えない。

10年後…全く予測がつかない未来だ。
家族、仕事、日本と中国…
肖は、「創業する!」と言っていた。
歯切れの悪い日本朋友も、手紙は書いた。


二人で交互に穴を掘り、念入りに土をかぶせた。


○あのスコップが大活躍。
 まさか君はこのためにはるばる広州からやって来たのか…?




1ヶ月、ともに中国を旅した肖との別れは、翌日の朝。
結局昨日たどり着いた街は、20キロどころか、40キロも先。
しかも、ネットカフェなどどこにもない。(更新遅れてすんません)

そんな適当な地元住民の情報や、それを信じてきて結果全然違っても
何一つ文句を言わない肖にもすっかり慣れてしまった。
話が違うのは嫌だけど。

彼は今日、金策の続きや資料整理などのため走らない。
連絡先の再確認や、最後の精算(結局肖もちで押し切られえた)、
絵葉書をあげたり、写真のデータを交換したりしてるうちに、
出発時間の7時になった。


表に出て見送ってくれる。

「お世話になりました、肖」
「そんなあいさつ要らねえよ!友達だろ!」
「また会おうな。さよなら!」

握手。

「中国にいる間は、いつでも電話してくれよ!
 新疆も広州も同じ中国なんだからな!」

握手が終わっても、次から次に言葉が出てくる。

「何か困ったら、おれに連絡するんだぞ!」
「いつものように、筆談で誰かに頼んで電話してもらえ!」
「気をつけていくんだぞ、チャータン(中国語名)!」

聞き取れたのはこのくらい。
本当はもっと早口に、色んなことを言ってくれた。
どうせ聞き取れないことなんて、肖も分かってる。
でも、感情は、口からこぼれだして止まらない。

肩を叩き合う。
肖は、帽子で顔を隠す。
例えば、言葉が何不自由なく通じていたなら、
おれ達はここまで一緒に来たんだろうか。
今日、こんな別れ方をしていたんだろうか。

「10年後に!再見!」
「ああ、再見!」


雨上がりの、ひんやりとした朝だ。
小慣れた足取りで、雑踏に乗る。

また、ひとりっきりになってしまった。



肖恒。
彼は、サイクリストではなく、旅人である。
彼の目的は、速く走ることではなく、旅をすることである。
速度や装備の重量、快適性など、二の次なのだ。
彼にとって大切なものは、出会いであり、その数であり、人である。

時速13kmで見つめる中国を教えてくれた、
そんな中国朋友の言葉で、この記事を締めくくろう。

看 万里河山
知 風俗人情
得 世態変迂
做 和諧社会


さようなら、肖。



下のバナーかテキストをクリックし、応援いただけると嬉しいです。
にほんブログ村 旅行ブログへ
にほんブログ村


最新の画像もっと見る